1990年
小野は長身の速球投手。「しり上がりにスピードが出るタイプ。真っ向から押してくのがいい」(宮川スカウト)。「ひじの使い方が北別府にちょっと似ている。体が柔らかく、西武の渡辺久のような投手に育つのでは…」(佐伯スカウト)と広島では高い評価。140㌔を上回る速球と大小二種類のカーブ、フォークが武器の楽しみな素材。日本石油に就職が内定したが、「いまは白紙に戻した」(宮川スカウト)と獲得に自信を持っている。
「直球で押していく野茂投手(近鉄)のようになりたいです」。2位指名の小野投手(鹿児島商)は、早くもプロに思いをはせていた。この日は昼過ぎ、学校から帰宅した小野は、チームメートとテレビの前に陣取った。「朝、広島球団から指名します、と電話がかかってきました。しかし、まさかあそこ(2位)で指名されるとは思っていませんでした。高い評価をしてもらってうれしい」あどけなさが残る顔をくしゃくしゃにして喜んだ。すでに、社会人の日本石油に就職が内定しているが、「プロにお世話になる方向で、前向きに考えていきます」とキッパリ。