1987年
エース古仙が4点を取られ四回から登板した尾山は、体をいっぱいに使ったフォームで直球、カーブ、シュートを低めに集めて、長崎商に三塁を踏ませなかった。
1993年
尾山は序盤、速球主体の投球、中盤以降は一転、スライダーを低めに集め、ゴロを打たせた。
ルーキーの若さにまかせて、がむしゃらに投げた4年前の優勝と違い、住友金属の尾山は円熟の投球術を披露した。打者との駆け引き、ボール球を使うしたたかさ、試合の流れを読み取る冷静さ。自ら「状況変化に応じた社会人の投球」と評した顔は、自信にあふれていた。落差は小さいが速球と変わりないスピードを持つ尾山のフォーク。この日はそのウイニングショットをボール球にして日産自動車の強力打線を封じた。「フォーク狙いがバットの先まで出ていた。前半はストレートを、後半はスライダーを増やして揺さぶった。今季最高の内容でした」