想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

みなみのかぜ ART in KUMAMOTO2

2017-07-05 21:13:36 | Weblog


〈サビ鉄に光を!
  テツに光を!
 スクリューメッシュ!〉

造形作家 山本徹夫展

7月2日〜7月28日 開催中です。 
at:カフェレストランみなみのかぜ
熊本県熊本市中央区出水1丁目7−69
TEL:096-366-0211

市電で市民体育館前下車
バス停は水前寺公園前下車
熊本県立図書館前を通過、右折して
すぐ。タローが迎えてくれます。

タローの話はのちほど。

インスタレーションは創造過程に
意味があるのですが、展示場へ
行って尋ねてみるのもいいですね。
それぞれが感じ、イメージして
自由に解釈できます。


作家の頭の中の設計図…
ここから↓ 展開



ひらひらスクリューは山本さんに
キレイにしてもらって女の肌みたいに
滑らかになって…
じゃーん、実はタケノコの皮なのだ。
メッシュはコンクリート造成に
使う鉄の網。隠れてるばかりじゃ
なんだから、表に出てきたぜぃ。
と渋く立ってみました。

メッシュの向こう側は金明孟宗竹。
右端に「前から見ると山羊みたい」
と詩人の津留清美氏が言ったのは…
本職を終えたミシン。昔はモダンの
象徴だったのよ…ホホホ。

中央に同じく、山本氏宅倉庫で勝手に
余生を送っていた扇風機のエンジン部。
錆を帯び変身して再デビューです。
なかなかかっこいい。





「要らなくなったモノに命を吹き込む」
芸術家山本徹夫さんの手にかかった
モノたちの放つ気が場所を生き生きと
させていく。

このカフェレストランみなみのかぜは
NPO法人福ねこ舎(理事長津留清美氏)
が運営しています。

福ねこ舎は
「障害のある人が働くことを通して
自分らしさを発揮し成長できる就労の
場を作る、地域社会において自立した
日常生活を営む、そして地域に根ざした
福祉を探求する」ことを目的に設立され
たものです。

敬愛する詩人の津留氏の活動にとても
刺激されました。

芸術家は自由です。
詩人も自由です。
人は自由なるものに強く憧れ惹かれます。
けれども芸術と詩がこんなに身近にある
場所も世の中にそうありません。
ここを訪れる人は詩人の優しさにふれて
隠された鋼の意志には気づかないかも
しれません。

NPO法人は賛同者を募って運営します。
福ねこ舎を支援しながら、堅苦しくなく
芸術に遊ぶことができるのだなあと
感心するやらうらやましいやらです。
(ちょっと遠いですからね)それで、
遠いけれども、猫の手になろうと志願
した次第です。
猫なのでたいしたことはいたしません。

安いので心配な年会費は2000円です、
寄付も役立ちます。
振込先 郵便振替 0178-8-145729
口座名義 NPO法人 福ねこ舎 



ところで、最後にタローさんの話を。
「サン・タロー、サンタクロース」
夏は焼けるようなアスファルトの上で、
冬は吹きさらしの木枯らし、吹雪のなか
で、旗を振り、高速道路の安全を守るこ
とに使命を燃やすひとりの働きものが
いました。ところが、ある日、乱暴な
運転手のハンドルの切りそこないに
よって、はね飛ばされ、右腕と脳に重大
な障がいを受けました。
かつての働き者ももう役に立たない、と
永年働いた職場から捨てられてしまいま
した。

ある日、ガラクタ置き場のなかからお払
い箱になった昔の働き者を見つけ出した
人がいます。やまもとてつおさんは、
捨てられ、見向きもされない材料に、命
を吹き込むことに生きがいを感じる芸術
家です。やまもとさんは、お払い箱にな
ったその人をオレンジ色に塗ると
「タロー」と名づけました。

やまもとさんは、カフェレストランみな
みのかぜで開かれる自分の作品展にタロ
ーさんを連れていくことにしました。
そして一番目立つ通りに立たせました。
タローさんはもう昔のように旗を振って
働くことはできません。しかし、もう一
度、道行く人の前に立ち、街とそこを通
る人の安全を見守ることができます。
タローさんは喜び、その姿は輝くようで
した。

冬が来ました。その通りにもクリスマス
がやってこようとしています。しかし、
もうタローさんはいません。どうしたの
でしょう。タローさんは、その後、
やまもとさんといろんな街を訪れ、その
街その町の子どもたちに愛され、人々の
安らぎを見守り続けています。タローさ
んは、サンタクロースになったのです。
いまもあなたの身近なところで、あなた
の幸せを祈っています。見えないけれど
あなたのすぐそばにいるのです。
(文:津留清美氏 2015.クリスマスに)

みなみのかぜに戻ってきてくれた
タローさんに会いに行きませんか?













コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポルトガルの海辺で ART in KUMAMOTO 1

2017-07-05 11:56:50 | Weblog
「復興」の文字がついた熊本の観光は
お城や水前寺公園だけではないと、
訪れた人はよーく知っていると思うが
ここはどうだろうか。

市内繁華街の通り町筋から路面電車に
乗って味噌天神前で降りると目の前に
ある画廊喫茶ジェイ。
その歴史が変わろうとしている。



創業時の店主であり現在はスペインの
セビリア在住の画家川上順一氏、
夏恒例の個展がこの店で開かれるのは
この夏が最後となるようだ。
といってもジェイがなくなるわけでは
なくビルに建替えられてリニューアル
される予定という。



残念…。
レトロという言葉が薄くてここには
使えないくらい、れとろ。
人々の吐息と肌のぬくもりによって
創られてきた場所だ。

まだ若かった川上さんが設計し、
大工さんと一緒に造った。ジェイは
マスターの頭文字。
ジェイを営みながら創作を続けた。

一枚板のカウンターや大きな梁、
床、壁、棚、もちろんテーブルと椅子、
すべてが木で造られている。
入口から入ってすぐに目につくのが
昔懐かしの鋳物の丸いストーブ。

面白い話を聞いた。
スペインで成功した川上さんが帰国し
ジェイで個展を開くようになると
大工さん夫妻が訪れた。
ある年、絵を買ってくれた。
そのお礼を言いに大工さん宅を訪ね
驚いたという。
ジェイがそこにあったから。
大工さんは奥さんにせがまれて
同じつくりのリビングを造っていた。
この話を聞いて笑った。
奥さんの気持ちはすごくわかる。
大工さんにとってもジェイは自慢の
作品だろう。



ネルドリップでいれる珈琲の味、
同じうたい文句の店はあるが、
他所では味わえなかった。
川上さんのことを今でもマスターと
呼んでしまうことがあるが、
マスターのいれた珈琲をカウンター
で飲んでいたのは、私が一番寂しい時
を過ごしていた頃だった。

ジャズを知ったのはここだった。
かかっていたセロニアス・モンクが
心臓の鼓動とピタっとあってから。
心臓なのか脳天なのか、ハートに
しみいって、楽しくなった。
楽しさは、寂しさを和らげてくれた。

独りと寂しいがくっつくと
とんでもない寂しさに襲われ壊れて
しまう、つかのまそれを変えてくれた
場所であった。



今回の絵はセビリアから車で一時間
ほど走ったポルトガルの海辺に滞在
して画いたものという。



それまでも水辺を画いた絵はあったが
セビリアの山や川、白い壁の家々など
内陸部の風景だった。
大西洋に臨んだポルトガルの海というと
作家 檀一雄の晩年を思い浮かべる。



ああ、ここを気に入ってしまった
川上さんは、もう日本には戻らない
そういうことだろうと思った。

ジェイを訪ねてみませんか。
川上順一展 7月10日まで
問合せ:096-372-8732
ぐるなびにマップあります。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする