若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

司法サービスにおける小倉流「サプライサイドの理論」

2010年01月21日 | 政治
高校や大学を卒業したばかりで専門知識に乏しい新人を迎え入れ、職場で専門知識と実務能力を身に付けさせる。多くの業界では、こうしたことがごく当たり前のこととして行わなれている。

ところが・・・

la_causette: 需要が増えていないのに、拡大期の企業以上に大量の新人を採用し教育せよと言われても。
 それでも「3000人」という数字を出したのは弁護士の側なのだから、新人弁護士を教育する為のコストは専ら弁護士のみが負担せよと言われてしまうと、何だかなあと思ってしまいます。


「専ら弁護士のみが負担」?

政府に法曹人口の上限を設けてもらい、政府から補助を受ける法科大学院や司法研修所である程度教育を施された新人を受け入れる。このような他業界には珍しい措置を受けておきながら、「新人弁護士を教育するためのコストは専ら弁護士のみが負担」と言われると、何だかなあと思ってしまいます。

このような「法曹は特別扱いして当然」というのは、小倉氏の過去の文章を見て何度か感じたのだが、今回も・・・

la_causette: 後進育成の役割を既存の法律事務所にのみ押しつけるのなら、その上限人数について財界は口を挟まないで!
(「路頭に迷う弁護士が大量に現れるのを見て溜飲を下げたい」というのであれば、既存の法曹三者の吸収能力を無視して、司法試験合格者数を3千人だ、1万人だと闇雲に増やすのが合理的だということになろうかと思いますが、その場合、「もはや優秀な人材は法曹にはならない」社会となることを覚悟していただく必要があります。)


水産業、農林業、建設業、食料品、鉄鋼業、機械 電気機器産業、電気・ガス業、運輸業、情報・通信産業、卸売業、小売業、銀行業、不動産業、サービス業と、世の中には様々な分野で優秀な人材を必要としている。弁護士業だけが優秀な人材を必要としているわけではない。「合格者数を闇雲に増やしたら優秀な人材が法曹にならなくなりますよ。大変なことになりますよ」と言ったところで、弁護士業だけを特別視する理由にはならない。

高校や大学を卒業したばかりの素人を雇い、政府の特別な研修等を介さず、働きながら専門知識と実務能力を身に付けさせる。多くの業界で一般的に行われていることが、弁護士業界では出来ないらしい。職場での新人教育を施す前に、法科大学院と司法修習という二重に下駄を履かせてもらっている現状は、他の産業から見ればかなり特殊であろうし、他の法律系士業(司法書士、社労士など)から見ても異色の存在だろう。

さて。

世間では、
「小泉改革の規制緩和は、大企業だけを優遇するサプライサイドの理論だ!」
なんて批判がなされている。小泉改革全体としての評価なんぞ知らんが、規制緩和がサプライサイドの理論というのには違和感を覚える。
小倉氏のように
「大企業は雇用確保のため、不必要でもどんどん採用して社会的責任を果たせ。解雇要件は厳格に運用せよ。でも弁護士は違う。今の所得レベルを落とすのは嫌なので、雇用は控えめにしたい。同業者との競争はきつい。また、政府はそうした弁護士の要求を満たすため、司法試験合格者数を低く抑えるべきだ。そうしないと優秀な人材が弁護士にならない社会になるぞ」
と非難し、規制で弁護士人口を抑制しようとする主張こそ、サプライサイド、すなわち供給側の都合に合わせた理屈だ。

現在はまだ「高い分良い」か「高いけど悪い」司法サービスしか提供されていない印象が強い(多くの事務所の相談料がほぼ横並びで30分5000円とか)。規制強化の理屈には、「安かろう悪かろう」な司法サービスや、「お値段以上」な司法サービスも提供し、消費者の多様な選好に応えようとする視点が欠けている。規制緩和論というのは、消費者の選好が直接的に反映するものだ。


la_causette: 需要が増えていないのに、拡大期の企業以上に大量の新人を採用し教育せよと言われても。
弁護士もまた普通のサービス業者であると位置づけようとした司法改革推進論はどこに行ってしまったのだろうという気になってしまいます。


やれ大学院だ、やれ司法修習と、法律で義務付けられた(本人が負担したり、税金で負担したりする)初期投資があまりに大きすぎるから、「弁護士にそれなりの収入を確保させるため、人数は抑える方向で~」なんて議論が出てくる

そこで。弁護士もまた普通のサービス業者として位置づけするために・・・

1・法曹になるために大学院の卒業を義務化した法科大学院制度を廃止
2・新規参入を阻む試験制度を廃止
3・官立の研修所での1年間(かつては2年間)の修習の廃止

そして、弁護士業を届出制にしたら良い。なりたい奴が手を挙げて、弁護士になってみる。ダメだったら撤退する。それで良いじゃないか。弁護士の人数を政府が決めるのではなく、消費者の選好で決めれば良い。
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温暖化を疑う ~ スケプティック ハンドブック ~

2010年01月21日 | 政治
MikeRossTky氏のブログ「保守思想 Conservatism」にて、温暖化に懐疑的な人の背中を押してくれるハンドブック(日本語版)が紹介されている。

保守思想 Conservatism Skeptic Handbook - スケプティック ハンドブック 温暖化論疑問者向けハンドブック - Windows Live

国民・企業へ負担をかけて、二酸化炭素排出量を目標どおり25%削減したとして、
「温暖化に二酸化炭素は関係なかったみたいですね、ってかそもそも温暖化してなかったみたいですね。」
なんてことになったら、費やされたものは無駄になる。脱税総理がお母さんから貰ったお小遣いを全て吐きだす位では、この損失は埋まらないだろう。
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