若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

共産党は既得権益擁護路線からいつ卒業するのか

2020年09月11日 | 政治
どうもこんばんは、若年寄です。

総務省統計局の発表によると、非正規雇用の減少が止まらないとのこと。

○令和2年9月1日 総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)7月分
======【引用ここから】======
【就業者】
 ・就業者数は6655万人。前年同月に比べ76万人の
  減少。4か月連続の減少
 ・雇用者数は5942万人。前年同月に比べ92万人の
  減少。4か月連続の減少
 ・正規の職員・従業員数は3578万人。前年同月に
  比べ52万人の増加。2か月連続の増加。
  非正規の職員・従業員数は2043万人。前年同月
  に比べ131万人の減少。5か月連続の減少
 ・主な産業別就業者を前年同月と比べると,
  「宿泊業,飲食サービス業」,「建設業」,
  「生活関連サービス業,娯楽業」などが減少

======【引用ここまで】======

この発表を受けて、共産党は次のように論評しています。

○非正規雇用者131万人減 2020年9月3日 しんぶん赤旗

======【引用ここから】======
7月労働力調査
 総務省が1日発表した7月の労働力調査によると、非正規雇用者数が対前年同月比131万人減少しました。新型コロナウイルスの影響が顕在化してきた3月から5カ月連続の減少です。減少幅は、比較可能な2014年1月以降最大です。新型コロナによる経済活動の停滞が雇用環境を直撃し、雇用悪化のしわ寄せがとりわけ非正規労働者へ集中していることが分かりました。

 -----(中略)-----
雇用者数の増加を安倍政権は「アベノミクス」の成果だと自慢してきました。しかし、コロナ危機に直面した3月以降、非正規労働者が真っ先に切り捨てられています。安倍政権が拡大してきたのは、企業にとっての「雇用の調整弁」だったといえます。
======【引用ここまで】======

雇用悪化のしわ寄せが非正規労働者に集中している、非正規労働者が真っ先に切り捨てられている、非正規労働者は企業にとっての「雇用の調整弁」だ・・・という共産党の指摘は、全くもってそのとおり。

そのとおりなのですが、非正規労働者を「雇用の調整弁」にしたのは、正社員解雇規制を求め続けた労働組合、法律の運用面からこれを後押しした政府・裁判所、そして
「企業による不当解雇を許すな、正社員の雇用を守れ」
と正社員保護を要請し続けた共産党です。
労組や共産党らが、政府や裁判所に対し長年にわたり正社員保護を働きかけてきた結果、

 「正社員を解雇する前に新規採用をストップすべし」
 「正社員を解雇する前に転勤、異動で対応できないか検討すべし」
 「正社員を解雇する前にパートやアルバイトを先に解雇すべし」

といった慣行が成立したのです。

正社員保護が、若者や非正規労働者へしわ寄せが集中する原因となっています。
不況期に氷河期世代を生み出したのも、正社員保護による雇用の固定化が原因です。
正規/非正規の身分制を助長してきた側の共産党が、「雇用の調整弁」運用を非難するなんてちゃんちゃらおかしな話ですよ。

(ちなみに、調整弁運用を禁止して非正規労働者も解雇できないようになると、新規の非正規労働者の募集が大幅に減少し、今仕事を探している人の立場はますます悪くなるでしょう。規制の強化ではイタチごっこは終わりません。規制を緩和して、調整弁運用の根本原因たる正社員保護を改めなければいけません。)

【画竜点睛を欠くアベノミクス】

さて。

上記のしんぶん赤旗の記事は、アベノミクスに言及しています。
アベノミクスは、三部構成になっていました。いわゆる「三本の矢」です。

 第一の矢:金融緩和
 第二の矢:財政出動
 第三の矢:規制緩和

でした。
安倍政権は、アベノミクスで挙げた金融緩和や財政出動を実施したものの、本命本丸の規制緩和にほとんど切り込むことなく終わりました。

アベノミクス第三の矢の対象として名指しされた農林水産業や医療、労働市場における岩盤規制改革は、規制に守られていた特権の否定という側面を有します。特権を奪われる側から見たら、これは痛みとなります。
第一の金融緩和や第二の財政出動といった麻薬を鎮痛剤として使用し、一時的に痛みを和らげている間に痛みを伴う第三の規制緩和という外科手術を実施する・・・というのが、私の「アベノミクス」のイメージでした。

しかし、安倍政権は麻薬を注入し続けたものの、手術は行いませんでした。病巣はそのままで、患者は薬物依存に。もうボロボロです。
早く薬をやめた方がいいのに、禁断症状が出るからやめるにやめられない。金融緩和と財政出動でどっぷり薬漬けになっていて、日本経済は自律回復できるのかどうか。

【既得権益擁護の共産党】

この間、共産党が力を入れていたのがモリカケ騒動への追及でした。

共産党が
「獣医学部新設は加計学園ありきではないか?加計学園が新設を認められたのは、官僚が、理事長と総理の友人関係に配慮した結果なのではないか?」
と指摘したのは良いことです。
加計学園だけでなく、獣医学部を新設しようと考える事業者に対し、広く門戸が開かれるべきです。

ところが、共産党は
「文科省の獣医学部新設制限は、既得権を守ろうとする政官業の癒着ではないか?今治の特区に限定せず、他の法人からの申請も許可して新設数を増やしていこう」
とは言いませんでした。

それどころか、共産党は、既得権の象徴たる獣医師会の声をそのまま紹介し、「新設はせめて1校だけにして」という獣医師会の立場に寄り添ってきました。
首相と業者の癒着疑惑を非難しつつ、同時に、長年にわたる政官業癒着構造を擁護していたのです。

獣医学部の新設を非難し参入制限を擁護する共産党。
冒頭で挙げた、正社員保護を求め解雇規制の存続強化を訴える共産党。
いずれも、既に獣医になっている人、既に正社員になっている人の権益を守るものです。

共産党は、しんぶん赤旗で自ら「共産党の論理 保守論客も注目」と紹介するくらいの、既得権益保守政党に堕してしまいました。
もう自由民主党と日本共産党が合併して、「日本国家社会主義党」って名乗ればいいのに。
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