10月半ばから来年一月までロンドンのポートレート・ギャラリーでは上記タイトルの展覧会を開いている。
プレ―ラファエリティというのは、19世紀英国画壇に発生した新しい画法とアイディアのことで、その当時フランスでは印象派が台頭してきていた。日本で知られる英国のプレ―ラファエリティ・ブラザーズではウイリアム・モリスが一番有名である。
今回の展覧会はその新派の画家たちを支えた妻や女友達で、モデルでもあり同時に彼女たち自身が画家でもあった人たちの作品を展示しているもの。
展示されている中には以前からテートブリテンで常備されているものも多かった。
上2枚の写真は当時のプレ―ラファエリティ・ブラザーズと呼ばれたメンバーたち。
上の絵はハムレットの恋人オフェーリアが狂っておぼれ死んだのを描いた作品で、ここの展覧会ではコピーだったため写真写りが悪い。この絵はテートブリテンに昔から飾ってあり、私の好きな絵の一つ。画家はこのブラザーフッドを立ち上げた3人の中の一人でジョン・エヴェレット・ミレー(John Everett Millais)でモデルが33歳で亡くなったエリザベス・シダル(Elizabeth Siddal)
彼女は当時ブラザーフッドの3人の男性の絵のモデルだったが中の一人ダンテ・ガブリエル・ロセッティと結婚していた。
この絵のモデル クリスティーナ・ロセッティ(Christina Rossitti 1830-1894)はダンテ・ガブリエル・ロセッティの妹で・ブラザーフッド間で活躍した。
1860年に発表されたこの絵はファニー・コーンフォース(Fanny Cornforth )のモデルの最初で画家はダンテ・ガブリエル・ロセッティ(Danti Gabriel Rossetti)。日本の琴をつま弾いている高級娼婦とのこと。
彼はこのファニーをモデルに多くの絵を描いているが顔が全く同じで、一目で彼の作品とわかる。
この会場で一番目にひく巨大な絵、女流画家エヴリン・デ・モーガン(Evelyn De Morgan 1855-1919)の素晴らしい作品 Night & Sleep。彼女は1873年、後のロイヤルアカデミーに入学、当時女性画家はまれだった。彼女はギリシャ神話を題材にした絵を多く描いた。
画題プロサピーナ(Proserpina)はローマの女神でワインや農業をつかさどる。
画家はダンテ・ガブリエル・ロセッティでモデルがジェーン・モリス(旧姓ジェーン・バーデン)(Jane Morris 1839-1914年)この画家の描く女性の顔はどんな違うモデルでも同じに見える。
特に彼女をモデルにたくさんの絵を描いているが全く同じ顔で同じ表情。ちょっと引ける。ジェーン・モリスはウイリアム・モリスと結婚して生涯新しい芸術ムーヴメントに尽くした。
ウイリアム・モリスによるLa Belle Isoult (オペラ・トリスタンとイソルテ)のイソルテ。モデルは結婚前のジェーン・バーデン(Jane Burden) 結婚してジェーン・モリスになった。画家が違うとモデルも全く違った顔になる。
マリア・ザンバーコ(Maria Zambaco 1843-1914年)はモデルでありまた彫刻家でロダンに師事した。この絵はThe tree of Forgivenessと題するエドワード・バーン―ジョーン(Edward Burne-Jones)の作品。
画家とモデルは深い仲になり当時の世間でのスキャンダルになった。この絵は彼女が忘れられない画家によって新しく描き直されたものだと言う。
The Bequiling of Merlin はキングアーサーの物語に出てくる、魔法使いであり預言者のマーリンが湖の精二ムエに法典を取られて身動きできないところを描いたエドワード・バーン・ジョーンズの大きな絵。顔のモデルはやはり愛人だったマリア・ザンバーコ。
プレ―ラファエリティの絵を見てゆくと、ほとんどがギリシャ神話やローマの神話、言い伝え、伝説のKingアーサの物語などから採ったものが多い。このような物語性のある絵画はそのストーリーがわかるとなおさら興味がわく。
まるで物語の挿絵にしたらよいような絵が多いと感じた。