Reiko's Travel 記事と現在の英国事情

在英51年、2020年7月未亡人になって以来、現在英国事情と過去の旅行の思い出を記載。

オペラ・オルフェ & ユーリディチ

2019-11-21 00:45:31 | 独り言

ひと月前、ロンドンコリーシアム(London Coliseum)でOrpheus in the underworld というオペラがあった。

もう10数年前このコリーシアムで見たオルフェのオペラがとっても素晴らしかった。

ストーリーはギリシャ神話から採ったもので、愛妻のユーリディチが蛇にかまれて死んだのを嘆いてオルフェが彼女をあの世へ迎えに行ったが、帰りに決して後ろを向いてはならないというのを、彼が振り向いた瞬間彼女はあの世へ引き戻されるというもので、なんと1607年イタリア人のモンテヴェルデ(Monteverdi)がオペラを書き、1645年フランス人のチャペンティア(Charpentier)が書き、1714年ドイツ人のグラック(Gluck)、1725年ドイツ人のテレマン(Telemann)、最後は1858年ドイツ人のオッフェンバッハ(Offenbach)がオペラを書いた。それぞれストーリーは少しづつ違っているが、私が過去2回見たオペラはグラックのオペラでしっとりとした情緒と優しい音楽ののいいオペラだった。

このコリーシアムで見たときは舞台に川のように曲がりくねった道の両側にずらっとろうそくが灯って幻想的な雰囲気、歌も音楽も出演者もとっても良かった。

もう一つ見たのがニューヨーク・メトロポリタンオペラで、これはオペラを映画館でオンラインで見せてくれる。

この時のオルフェになったのがメゾソプラノ(女性)の小太り背の低いアリス・クーツ(Alice Coote)でユーリディチになったのが当時有名途上のインド人と白人の混血美人でソプラノのダニエル・デ・ニース(Danielle De Niese)だった。

このソプラノはすごい迫力、オルフェが彼女をあの世から連れて帰ってくるのに、長い坂道を延々と昇ってくる。その間彼女は ”どうして振り向いてくれないの?どうして言葉もかけてくれないの?” としつこく歌う。聞いているこちらがイライラしてきて ”うるさい!!”と怒鳴りそうになった。それでたまりかねたオルフェが振り向いた。忘れられないシーンだった。

今回初めに見たのが一番最後に書かれたオッフェンバッハのオペラだった。

このストーリーがグラックのオペラとは全く違っていて、ユーリディチは死んで地獄へ落ち、地獄ではカンカン踊りや賑やかな音楽と踊りで全くコメディー。

写真は携帯で写したせいで、あまり良くないが、この舞台装置が地獄だと知れば、ちょっとは想像がつくかもしれない。

さて先週見たのがグラックのオペラ Orpheus and Eurydich で舞台はシンプル。最近の流れとしてお芝居やオペラにはミニマイズとして最低必要な道具だけで舞台装置などほとんどない。

そしてオルフェを演じたのがもう10年以上前に見たメゾソプラノのアリス・クーツだった。

彼女は上の写真では挨拶している男性の後ろにいるグレイのシャツの人。

ユーリディチは若くて細いセーラ・タイナン(Sarah Tynan)メトのオペラのような迫力が無くて、肝心の彼女を連れ戻すシーンで寝てしまった。

はっと目覚めてみればユーリディチはもう死んでいた場面だった。あーあ つまらない。

それにしてもあと知らない作曲家 Harison Birtwistle の The Mask of Orpheus とPhillip Glass の Orphee というのが上演される。一体どんなストーリーに変わることやら。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする