どうも、ren.です。
五輪が競技よりも政治的な部分で注目を集めるのは皮肉だね。
● 「二つの歌三つの物語 第1巻」 樹るう/MOMOセレクション
「ニャンコロカムイ」後に樹さんが、またアイヌモノを描いていたとは知らず、2巻発売前にあわてて購入。
今回は4コマ形式ではなく、ある事情からコタンの大家族に引き取られた少女、カンナリを中心として描かれるオムニバス形式の連続ストーリーマンガ。
コタンの民と、コタンを見守るカムイが綴る、何気ない日常物語です。
前にも書きましたが、とにかく樹さんのアイヌの物語世界への探求力がすばらしい。
「ニャンコロ」は、はっきりとした「アイヌラックル伝」や「ポンヤウンペ物語」という元ネタがありましたが、この「二つ三つ」では複数の短いユカラ(神謡)やウウェペケレ(昔話)を元に、アイヌの民俗を含めてアレンジして創作されたオリジナルストーリーです。
各エピソード後には幕間ページで補足説明もあり、アイヌ資料の入り口としても優れています。
またあとがきでは"あえて現代風にした点"についても触れられており、樹さんが膨大な資料からこのマンガを作り上げていることがわかります。
研究歴がほんの10年ほどとは思えないほど。
個人的には、キャラクターの名前以外ではアイヌ語が積極的に省かれている点を評価したいです。
こういう時って、ついついアイヌ語の使用や、その単語の注釈をしてしまいがちですよね。
私も反省しよう(w
読んでいて思い出したのは、こちらの作品。
● 「ハルコロ (1)」 石坂啓/潮出版社
本多勝一さんの著作「アイヌ民族」を石坂啓さんが漫画化したもの。
こちらもハルコロという少女の視点を通じて、和人が現れる以前のアイヌ民族の日常を描いたもの。
まあ、作者二人の名前に眉根を寄せる方もいるでしょうが、この作品はいい意味で淡白で良作。
ちなみに、監修者となっている萱野茂さんの"二風谷アイヌ資料館"には、石坂さんのカラー色紙が飾られています。