どうも、ren.です。
● 「恐い怪談」 松原タニシ 二見書房
タニシさんの新刊は怪談集。
ここにきてなぜ、怪奇本の基本に立ち戻ったのかは、こちらをご覧ください。
苦心したというページ構成は読み進めていくとシームレスにテーマが移動していくことで理解できます。
序盤にはいつものタニシさん自らの事故物件体験がつづられています。
しかし、その後に突然1ページに2行だけの文章が。
いわばこれが序文となるわけですね。
……これを怪談1本に数えていいのかという気はしますが、でもこのページ構成自体が怖かったw
1センテンスが1ページから数ページで構成される百物語なので、時間が空いた時にちょこちょこ読み進められます。
なので、読み終えるまでに1週間ほどかかっちゃったw
でも、一気に読まない分、一つ一つを咀嚼する時間があるというのは怪談としていいのかも知れません。
話によって、歴史的怪談、恐怖体験、ヒトコワ、なんだかよくわからないオチもない話と、ノリは様々。
この淡々とした文体はタニシさんらしい。
各話のタイトルも「寝ゲロ」とか「ちくわ」とか個性的w
個人的に好きな話は「長い夢」。
なんだか夏目漱石の「夢十夜」や、黒澤映画の「夢」を意識したような文体なのも良いです。
私の父も数年前に入院して昏睡した際に、ずーっと不思議な夢を見た話をしてくれました。
それにしてもタニシさん、また妙な絵や標本を手に入れて所持し始めたんですね。
なんだか、自分自身をナニかの実験台にするのはやめられないようだなぁ。