
「トレイシー・ローズの美女とエイリアン」
原題:NOT OF THIS EARTH
1988年 アメリカ 81分
■監督:
ジム・ウィノースキー
■出演:
トレイシー・ローズ
アーサー・ロバーツ
エース・マスク
レニー・ジュリアーノ
モニーク・ガブリエル
●あらすじ
ロジャー・コーマンが自身の監督作“NOT OF THIS EARTH”(57)をリメイクしたSFスリラー。
宇宙から飛来した謎の異星人はとある館を拠点にし、次々と人を襲ってはその血液を採集していた。
それは核戦争によって崩壊しかけている母星を救うための作戦だったのだ。
だが、彼の輸血を行うために雇われた看護婦は、館の中で起きつつある異変に感づいた……。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
私はジム・ウィノースキーが大好きである!
ちょっと長くなるが、私がどうしてジム・ウィノースキーを好きになったのか。
それをレレレ好きになったキッカケと共に語っていこう。
まずこんなレレレ好きとなったキッカケは、6歳の時に購入した秋田書店の「ドラゴン大全科」から。
李小龍(ブルース・リー)をトップに持ってきながらも、1970年代の膨大な日本公開作・未公開作が紹介され
その全てが観たいなあと思ったのが全ての始まり。
1日50円のお小遣いを毎日貯め、650円になった瞬間に本屋にダッシュして買った思い出の一冊。
記憶にあるのが、本屋さんで「ドラゴン大全科」を見ながら今日から何日後に1日50円が650円になるのか分かっていたこと。
あれまだ1学期くらいだった気がするが、一体どうやって正しい結果が分かっていたのか今でも不思議だ(きっと足し算したんだろうが)
そしてようやっと購入した「ドラゴン大全科」には李小龍以外にも、王羽(ジミー・ウォング)の「片腕ドラゴン」シリーズや「スカイ・ハイ」
梁小龍(ブルース・リャン)と倉田保昭の共演作「帰って来たドラゴン」や「無敵のゴッドファーザー/ドラゴン世界を征く」
傅聲(アレクサンダー・フー・シェン)や羅烈(ロー・リエ)、陳觀泰(チェン・カンタイ)などのショウブラ作品の数々。
さらに偽物李小龍特集まで組まれていて、黎小龍(ブルース・リィ)の「新死亡遊戯 七人のカンフー」や「ブルース・リーを探せ」
他にも小龍の「決闘死亡塔」まで掲載されており
私の人生を狂わせる作品たちを知ったのだ!
そうやって過ごすうちに、今度はホラー映画版の「ドラゴン大全科」と出会うこととなる。
それは1990年に出版された「ホラー&ファンタスティック映画」と言うムック本で、スクリーンから出ているのが時代を感じさせる。
この本の内容は、当時流行していた東京国際ファンタスティック映画祭の作品を中心に
ホラーを撮る有名な監督たちと、国別・会社別にホラーを分けるという画期的に入り込みやすい内容だった。
ジョージ・A・ロメロ、トビー・フーパーを筆頭に、デーヴィッド・クローネンバーグやウェス・クレーヴン。
ジョン・カーペンターにジェームズ・キャメロンやティム・バートン、サム・ライミなど、後に普通の映画を撮って巨匠になる監督たちも
期待の若手枠で紹介していたりするのだ。
他に良く観ているエンパイア・ピクチャーズという会社や、ダリオ・アルジェントに代表されるイタリアン・ホラーなどと共に
ロジャー・コーマンのZ級映画の紹介のコーナーがあり、そこで紹介されていたのがジム・ウィノースキーなのだ!
ジム・ウィノースキーの紹介文を書いたのは塩田時敏さんと言う方で、この人の紹介文がもう最高だった!
一部引用させてもらうと
ロジャー・コーマンの門下生で最も新しい優等生がウィノースキーである。
とにかくこの人は予算をもらえない。もらえないからといっていじけたり、手を抜いたりしない。
逆に金の無さを、チープでキッチュな独自のノリ、ウィノースキー・スタイルにまで高めているのが凄いのだ。
スコーンと抜けきっているのが彼のスタイルである。
他にもあるけど出だしはこんな感じで、続いて本作の紹介にいくと
人間そっくりのエイリアンの攻撃なんてストーリーは今さらどうでもよく
見どころは誰が何と言おうとB級スーダラなウィノースキー・タッチ。これに尽きる。
無責任な50年代調ピコピコ・サウンドにのって、何ともスコーンと抜けきった
アメコミをまんま実写にしたような楽しさにあふれているのだ。
ダマされたと想って見なさい。ウィノースキーは必ずやヤミツキになる。
この言葉通り、私は
ウィノースキーがヤミツキになってしまったのだ!
一応オリジナルと比較すると、まず冒頭のエイリアンが車に乗る時に警官に注意されるシーン。
あれはロケ場所もカット割りもオリジナルとまんま同じなんだっけ?
内容も映像もほとんどオリジナルと同じ展開だが、オリジナルと大きく違うのはおっぱい!
主演が元ポルノ女優のトレイシー・ローズなのを除いても、とにかくやたら無駄におっぱいが出てくる。
流石一部の人にはポルノ専門の監督と思われているだけはある。
だがOPクレジットで、他の作品からの流用である宇宙船とかモンスターが暴れる
恐らくほぼ全てクライマックスのシーンなのであろう、その羅列シーンは一番楽しかったかも。
50年代調ピコピコ・サウンドもあわせて、オリジナルより圧倒的に面白くなっている本作。
必見です!
いいから、ダマされたと想って見なさい!