雑感日記

思ったこと、感じたことを、想い出を交えて書きたいと思います。

カワサキ単車の昔話  15     アメリカ視察団

2023-08-29 05:31:12 | カワサキ単車の昔話

★昭和47年(1972)1月のことだからもう50年も前の話だが、
 当時の日本の二輪市場はまだモペット全盛期で、
 ひとりカワサキだけが中大型車中心で『二輪専門の販売店』を創ろうとしていた時代である。
 そんなことで、カワサキは当時の販売店約100店に、
 まさに中大型市場であるアメリカの市場視察を行ったのである。
 
 私は大阪母店長時代であったが、視察団の団長役を仰せつかったのだが、
 まだ海外旅行など殆どない時代で、私も初めての海外だったし
 視察団全員が初めての海外旅行だったと思う。

 1月7日から1月15日までの9日間の日程だが、
 その当時の日記帳にどのように書いているのかその一部を紹介してみたい。

 
  
 


1月8日(土)
 愈々アメリカ視察団の出発日である。
 日付変更線を通過する関係で8日は実に長い。
 午後伊丹をたち羽田・東急ホテルで結団式、ジャンボジェットでシヤトルへ。
 シヤトル着は8日の朝、飛行機を乗り換えてロスへ。
 そしてショウを観に行き、夜はKMC主催の歓迎レセプションに出席、そのあとKMC浜脇社長とホテルのバーで懇談。
 宿舎はグランドホテル、
 長い1日がやっと終わった。

1月9日 (日)
 ロス近郊のサウンドバックパークと言うトレールランドを見学
 スケール大、素晴らしい自然の中にオートバイが一家のレジャーとして完全に沁みついている。
 6~7歳の子どもがコースを逆ハンで駆けているのには驚いた。
 親は殆ど子供に構わずに自由にさせている。
 午後デズニ―ランド見学、ユーモアたっぷり規模は大。

1月10日 (月)
 KMCを訪問。美しく広い。
 浜脇さん以下各マネージャーの部屋は日本の重役室並みの広さと美しさである。
 サービス工場の管理の良さは抜群。
 昼、KMCとの懇談会をグランドホテルで開催、午後市内のでーらー2軒を見学する。
 日本の販売店と規模が全然違う。ショールームの広さ、部品の豊富さ、ロス1000万人の市内にはバイク屋は約700店と言う。
 すべてが羨ましい。夜ナイトツアー。

1月11日 (火)
 ロスは1年で雨の日は10日ほどしかないという。毎朝霧が出るが10時ごろには綺麗な青空が広がる。
 市内観光でヨットハーバーを見学。街は非常に美しい。
 高級住宅は如何にもアメリカ的で開放的である。緑の芝生が手入れされて広々としている。
 街にはいたるところに星条旗が上がっている。国旗に対する敬意、アメリカの国家に対する帰属意識をそこに見た。
 夜サヨナラパーテイー。アメリカのデーラーを読んで開催。

1月12日 (水)
 飛行機でサンフランシスコに移動する。どこまでも続く大陸、実に広大である。
 サンフランシスコは第一印象は土地の狭さ。狭いと言ってもそれは比較の問題でロスに比べてのことである。
 2階建てが多く、家と家との間が狭いのはロスでは見られなかったことである。
 時間が遅れて、デーラーの正式訪問は1軒だけにして、6時ごろから希望者だけで2軒目を訪問する。
 東京組が大挙押しかける。この旅行で東京の販売店の質はまさに最高であった。

 この旅行には全国から約100店が参加したのだが、東京が50店その他全国から50店ということだったが、
 東京だけはすでに二輪専門店ばかりで各店とも遊覧気分が少なく、知識習得に熱心だった。
 他地区の店は多分に遊覧旅行気分だったように思う。
 私の担当してた大阪地区は丁度カワサキ協栄会を創った時期で、東京に次いで非常にまじめに新しいものを身に付けようとしていた。

1月13日 (木)
 サンフランシスコ2日目、1軒のデーラー訪問。
 そのあとは市内観光。ゴールデンブリッジ、美しい眺めである。
 その背景にある街とか民家が自然た絵になっている。
 アメリカ本土最後の夜、ナイトツアーに出掛ける。
 いま日本で流行語になっているポルノ。米国では映画も写真も本も公然と販売され上映されている。
 ものすごい世の中になったものである。

     

1月14日 (金)
 ホノルルに飛行機で飛ぶ。太平洋の真ん中に浮かぶ島ハワイ。
 空港から市内観光での印象は大したことはなかったが、ワイキキのホテル街と浜辺に来てみて
 流石に観光地の面目躍如たるものがある。
 景観も素晴らしいがそれ以上に雰囲気がいい。二人で遊び来るなら最高の場所だろう。
 お土産に清美に260ドルのオパールを買い、夜は本場ハワイのフラダンスを観に行く。

   
    
1月15日 (土)
 午前中、ハワイ買物などして午後の飛行機で羽田に向かう。
 ジャンボは我々の借り切りのようで他の客はほとんどいない
 僅か10日間のアメリカ旅行であったがいろいろなものを観たし、いろんな経験をした。
 それは今後の生活態度にそして考え方の中に生かされてゆくのだろう。
 東京に着いたらホッとした。そしてもう一度乗り換えて伊丹へ。
家へ帰る。本当にほっとした。落ち着くと言うのはこういうことを言うのだろう。

★ざっとこんな9日間のアメリカ市場見学視察団の旅程であった。
 まだこの時期に海外に出かける日本人など殆どいなかった時代で、
 ハワイのワイキキの浜辺も日本人など殆どいなかったし、
 そんなことで帰り飛行機も誰も日本人は乗っていないそんな時代の旅行だったのである。

 日記を読み返してみて、勿論覚えていることも多いのだが、
 完全に記憶に残っていない部分もある。
 この視察旅行で、カワサキの二輪販売店の意識は、相当に変わったと言っていい。
 当時大阪では全国に先駆けての『特約店制度の導入』を目論んでいたのだが、
 この視察旅行が後押しして、この年10月に正式スタートを切ることが出来たのである。
 そう言う意味でカワサキにとっても販売店にとっても私個人にも、
 大きな転機となった素晴らしいものだったと思っている。 


 


 


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