富坂聰「中国という大難」(新潮文庫)。今年5月に発刊された、質のいい内幕本である。
このところ黄文雄氏や石平氏の中国崩壊説本を何冊か読んでみた。
グラフを使い読み易くした黄・石本は愉快だけれど、キツくセッカチな断定調で、少しばかり眉に唾を付けたくなった。
しかし富坂氏は統計やグラフを使わず、現場取材や中国在住の中国人から直接情報を集めているようだ。
新聞・TVでは報道されないありのままの中国を報告している。
例えば、死刑囚と街で面談した、など吃驚な話が満載だ。
文庫本として分厚いこの本の内容は、目次を見れば凡そ分かる。
プロローグ 中国......誰にも”先の読めない”超大国
第1章 三峡ダムが中国を滅ぼす
第2章 汚職大国
第3章 13億人市場という幻想
第4章 人民解放軍という闇
第5章 日中外交戦争
第6章 台湾海峡危機に巻き込まれる日本
エピローグ 日本の”国内問題”となる中国の大難
富坂氏は、共産党一党独裁下の中国は今、崖っぷちにいると見ているようだ。
周近平は国内に積り積った不満を逸らすために、今後も日本を攻撃し続けるだろうが、それは口先だけ。
尖閣を獲りに出る余裕はなさそうだ。ただ、恐ろしいのは人民解放軍の「暴発」とか。
富坂氏は、周が軍を抑えられるかを疑問視している。
この本は、先ずプロローグとエピローグを読み、成毛眞氏による解説を読んでから本文に入るのがいい、と思う。
今、新疆ウィグル自治区が揉めている。
沿岸部の内乱は、難民が日本に漂着する恐れがあるが、ウィグルは奥地なので日本への影響は小さい。
また、深刻な大気汚染は偏西風によって、日本に被害をもたらし始めている。
だから日本にとって、中国国内の環境汚染と少数民族問題に対処する方が、喫緊かつ有効な中国対策になるのではなかろうか。
軍備増強に使う膨大な資金を、中国国内の環境対策や福祉に回さざるをえなくさせる、ということだ。
安倍さんや外務・防衛両省のお役人たちは、この文庫本を是非読んで欲しい。
いずれにしても、中国という隣国は困った「超大国」である。
131105
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