長い間アポストロフィーと日本語の濁点を見逃していました。我ながら不覚でした。
1970年7月に発売されたCCRの5枚目のアルバムのタイトルをずっと“コスモス・ファクトリー”と思っていたのです。また70年代に同名の日本のプログレ・ロックバンドが存在し、彼らがCCRのアルバムのタイトルをバンド名に拝借したものだとずっとも思っていました。
調べてみると、CCRが当時練習場所として使っていた倉庫をファクトリーと呼び、ドラムのダグ・コスモ・クリフォードのミドルネーム(もしくはニックネームか?)を拝借して、このアルバムのタイトルをCOSMO’S FACTORYとしたみたいです。日本語に訳すと“コスモの工場(倉庫)”となり、なんとも間の抜けたタイトルになるので、発音をカタカナ表記にして邦題をコスモズ・ファクトリーとしたのでしょうね。
思い込みとは恐ろしいもので、A面の1曲目のRAMBLE TAMBLEはカントリー・ロック・タッチの曲であるが、突如プログレ風な結構長めの間奏があったり、B面の4曲めI HEARD IT THROUGH THE GRPEVINEは延々と続くギター・インプロビゼーションがあり、これがCCRの宇宙観(COSMOS)などと深読みしていました。
このアルバムは、CCRのベストと言ってもいいほどで、ロックンロール、カントリー・ロック、R&Bなどバラエティに富んだ内容となっており、英米でもチャートで1位を獲得しました。そして、アルバムからは贅沢にも両面Aサイドのシングル3枚が出され、それぞれ大ヒットしました。
因みに、オリコンでは10位で、次作のペンデュラム(オリコン2位)よりランクが下、これは多分次作に日本人が好む、哀愁に満ちたメロディーを持つ“雨を見たかい”が入っていたからじゃないかと思います。
とはいえ、“雨を見たかい”はベトナム戦争に於いて、ジャングルに隠れているベトコンを炙り出す為、アメリカ軍が空中からジャングルに散布 した、オレンジ・エージェント(枯れ葉剤)のことを歌っているのではと言われています。哀愁に満ちたメロディーからは想像のつかない内容ですね。
I WANT TO KNOW, HAVE YOU EVER SEEN THE RAIN, COMING DOWN ON A SUNNY DAY. 君は晴れた日に降り注ぐ雨を見たことはあるかい?
このアルバムにも、A面の6曲目にRUN THROUGH THE JUNGLEという曲がありベトナム戦争(アメリカ軍のプラトーンの行動)のことを歌ったのではないかと思います。
BETTER RUN THROUGH THE JUNGLE, DON’T LOOK BACK TO SEE. ジャングルの中は走り抜けたほうがいい、振り向いてはダメだ!
ベトナム戦争の時代は、中国は少なくとも盟友の関係でしたが、つい最近ベトナムの首相が対戦国であったアメリカを訪問し、中国の南シナ海進出を牽制するという、その当時では思いもよらなかったことが起こっています。
なんとも不思議な世の中。
Creedence Clearwater Revival: Run Through The Jungle
Creedence Clearwater Revival - Who'll Stop The Rain