夏模様

一ページをめくる。

私の好きな藪山、低山である。
高山と違って眺めは悪く、あの眩しい残雪もカールに咲く花もない。
在るのは競い合う雑木、住民の薮蚊、わめきたてる蝉、
この森に不釣合いな鶯、
沢の小さな流れに耳を澄ましていると、なぜか救われるような気がして来る。
そんな見通しのなさそうな藪山でも、
「おお・・・いいじゃ」そう思う沢や尾根のコブが在って楽しい。

夏

でかい太陽
激しく抱きしめて来る熱い抱擁
激写
砕かれる夢

想い
欲望
情熱は無残にも融かされ
汗は一筋の流れとなって迸る

土は極限に乾き
熱く
砕かれ
サラ・・と指からこぼれ落ちる

町も野も渇いて熱く
陽炎となって全体が歪んでいる。