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そう思った山行き、
風、空、森、すべて冬色のまんまの一日
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森、
里には春の足音が満ち潮となって押し寄せているのに、森の中にはその気配さえ感じず、
落葉の蕾は固く閉じ、常緑の緑は精彩をかいて、森の中は寒々としている。
いまも落葉は朽ち葉となって深く積もり、未だに形を保って行く手を阻む、
陽射しが豪雨となって降り注ぐ森は明るく、風は、自由気ままに吹きぬけていくせいか、
寒く、直ぐに温もりは奪われてしまう。
春、未だに遠い森の目覚め、森は冬の名残を未だに色濃く残している。
藪椿
私の好きな藪椿
森に花咲く時期が訪れた早春
朽ち葉の上にそうと置かれた一輪の藪椿
いま落ちたのか
形が壊れないように
優しくそっとリセットされた一輪
褪せず崩れず
いま活けられたばかりの
咲いていた時の表情をみせる藪
見上げる頭上に
藪椿が一輪咲いている
花数は少なく
木の葉に隠れるように咲く藪椿
森に春の明かりを灯す
淡い一輪。
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