笑うかどには福きたる

日常生活で見たこと、聞いたこと、感じたことを牧歌的にのんびりと書いています。

文庫版「ローマ人の物語」 3巻~5巻(ハンニバル戦記)読了

2020年05月07日 12時32分38秒 | 読書
カエサルから遡ること約150年前の物語です。
カエサルに常に批判的であったキケロが夢見てやまなかった「共和制ローマ」がどのようなものであったのかがこの「ハンニバル戦記」を読むとわかる気がします。あと、古代ローマの軍制もここでしっかりわかります。(3巻P127~)

だから本は"最初から読みなさい"、なのですが(^_^;)

さて、ハンニバル。
カエサル同様「ハンニバルって、象でアルプス超えた人だよね」くらいの知識(知識とは言わない)しか持たずに読み進んだ私としては、これまた

なんなのハンニバル、でございます。

28歳で、8万もの軍隊を率いてアルプス超えて、16年間もイタリア中で暴れていたのですよ。
(まぁ、アルプス超えてそれからどうなったんだろう、と興味を持たなかった私も私なのですが)
その間故国カルタゴからの支援はほとんど得られず、たったひとりで、戦闘も外交も引き受けて転戦していたわけです。
ローマを潰したい、その一心で。

このハンニバル戦記の面白さは、ハンニバルに対抗するためにローマが繰り出す執政官たちでしょう。カエサルの下りでもなかなか馴染めなかったこの「執政官」という役職。なんか"事務方"みたいな印象だけど、立派な武人(軍隊経験者)なのですね。軍隊での功績があって、それが支持されることで、政治的な発言力を持つ、ということなのでしょうか。

ところが、どうにもこうにも対ハンニバルの人材が不足していたため、特例を設けて軍団を任されたのが、スキピオ・アフリカヌス。こちらも、

なんなのスキピオ・アフリカヌス、でございます。(^_^;)

塩野さん流の言い方をすれば「アレキサンダー大王の弟子がハンニバル。ハンニバルの弟子がスキピオ」そして、ザマの会戦はまさに「師弟対決」であった、と。

ハンニバルもスキピオも、なんでいつもこうなんだろう、と、その最後にはどうしようもない物悲しさを感じます。カエサルが企みによって命を落としたように、二人も最後には政治的な企みによって追い詰められ、歴史の舞台から去ることになるのですね。
カエサルを先に読んでいるので、スキピオの敵も共和制ローマの元老院だったのか、と思わざるを得ません。しかも「また、カトー」だし(^_^;)

で、ここまで読むと、今度は
「じゃ、そんな共和制ローマはどのようにしてできたのか?」
「スキピオの子孫たちはどのように元老院に立ち向かったのか?」
が気になり、1、2巻、6、7巻も購入しましたです。もうねぇ、塩野さんの"超絶プロデュース"には脱帽でございます。

そんなわけで、私は2000年前のローマから当分抜けられそうもありません。
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