笑うかどには福きたる

日常生活で見たこと、聞いたこと、感じたことを牧歌的にのんびりと書いています。

「十二国記」読了 ~通りすがりに読むのであれば…

2021年08月25日 14時55分22秒 | 読書
「ファンタジー作家の頭の中って、どうなっているんでしょうねぇ」、と思わざる得ない奇想天外なシリーズでございます。
上橋さんシリーズ読み終わったと思ったら、ドドーンと、妹から送られてきた全15巻。
読み終えるまでに2カ月かかりました。

ちなみに、このシリーズには通し番号がありません。普通は第1巻、2巻、、と順番があると思うのですが、このシリーズにはそれがない。
発表順序で言うと、

「魔性の子」 1991年
「月の影 影の海」 1992年 上下2巻
「風の海 迷宮の岸」 1993年
「東の海神 西の滄海」 1994年
「風の万里 黎明の空」 1994年 上下2巻
「図南の翼」 1996年
「黄昏の岸 曉の天」 2001年
「華胥の幽夢」 2001年
「丕緒の鳥」 2013年
「白銀の墟 玄の月」 2019年 4巻

のなのだそうですが、妹によると、ファンの間では「『魔性の子』をどこに入れるか問題」なるものがあるようで、私のために妹が考えてくれた順番は、

「月の影 影の海」→「魔性の子」 …以下同じ の順。
確かに全巻読むと「魔性の子」だけ、思いっきりテイストが異なりますね。

ところでこのシリーズ、開始当初はいわゆるライトノベルズのジャンルだったのでは?と思われるのですね。「月の影 影の海」の主人公はいきなりの女子高生だし、山田章博さんの挿絵の美しさも相まって、以後も乙女心ワシ掴みだよ的なキャラのオンパレード。ファンタジー系大好きな女子がこぞって飛びつきそうな雰囲気です。

ただ、ワタクシ的大問題は、作者の小野不由美さんが(分類上)ホラー小説作家であり、この作品が「ダークファンタジー」である、ということ(^_^;)やや苦手。。。

もうねぇ、人が死ぬ死ぬ。

血は飛び散るわ、身体はバラバラにされるわで、血を浴びない場面のない作品がほぼ皆無。
「朝からここを読むのか…」的なページもあったりで(^_^;)そのうち慣れましたが。
確かに「魔性の子」を最初に入れてこなかったのは妹殿の英断だわ、と思いましたですよ。

ここからは私の妄想劇場なのですが、スタートである「魔性の子」を読んだ編集者から、

「センセイ、このテイストで行くのは、ちょっと。。。できれば、もっと女子受けするようなライトノベルズチックな小説にできませんかねぇ。。」などと提案(注文)があったのではないでしょうか。

「えー、でもワタシ、血を見ない本って書けないんですけど」
「じゃ、"適度に入れる"って感じで。あくまでも、"ライト"でお願いできますかぁ?」

などという会話があったのかもかも(^_^;)

「十二国記」は今年、発売から30年経つそうで、9月25日から記念フェアが大きな書店で開催されるとか。この機会に読んでみようかな~、という皆さんもおいでかと思います。
そこで、そんな"通りすがりの皆さま"にお勧めの順番を自分なりに考えてみました。シリーズを前半後半に分けます。
まず前半。紆余曲折ありつつも、堂々のハッピーエンドで終わる作品群です。人物も前後できちんと繋がると思います。


(左)「図南の翼」→ (右)「東の海神 西の滄海」


この2冊、シリーズではスピンオフ扱いなのですが、「十二国記」の世界観に慣れる、という意味からもここを手始めに。個人的には「図南の翼」が一番好き(^^)


(左)「風の海 迷宮の岸」→ (右)「月の影 影の海」


この辺りまで読むと、麒麟と王様の関係が理解できるようになりますよ。
「月の影 影の海」→「風の万里 黎明の空(上下2巻)」と、後半に登場する主要人物が揃います。

で、ここまでが私の考える前半。ちなみに、いくつか短編集もあって、これらを読む順番としては、
「月の影 影の海」 →「華胥の幽夢(「書簡」)」
「風の万里 黎明の空」→「華胥の幽夢(「乗月」)」
「風の万里 黎明の空」 →「華胥の幽夢(「帰山」)」
「風の万里 黎明の空」 →「華胥の幽夢(「冬栄」)」   の順。

この「華胥の幽夢(「冬栄」)」から約18年経って、シリーズの後半が始まります。
ファンの皆さまの辛さと言ったら、、ってところですかね~(^_^;)

さて、後半。後半は「魔性の子」泰麒(と、それを取りまく人々)の、大きな物語です。


(左)「黄昏の岸 曉の天」→(右)「魔性の子」(入れるのならここ)

「黄昏の岸 曉の天」では、前半の登場人物たちが大集合しますよ。


そして大作「白銀の墟 玄の月」 (左)1巻、(右)2巻


ちなみに、前半後半をそれぞれを重ねると、

ご覧のように、なんと、左右がほぼ同じボリューム!。


妹は「小野不由美さんは、もともと"泰麒の物語"を書きたかったのに違いない。なので、それ以外の物語は全てその"前触れ"に過ぎないのではないか」と言っておりましたですよ。
なるほど、そうとも思えますね~。

ダークファンタジー、などと書きましたが、どの物語も「何者かになるためのブレイブストーリー」です。
そんなところが、血飛沫を浴びても多くの人を引きつける魅力なのかもしれませんね(誉めてます)。

とりあえず、この機会に読んでみよっかな、って方は無理せず前半だけでもお読み下され。
麒麟が王様を選ぶ、摩訶不思議な異界ワールド「十二国記」、ちょっとクセになるかもですよ(^^)
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「竜とそばかすの姫」 ~その後「彼ら」はどうなったのだろう。。。

2021年08月01日 14時40分00秒 | 映画
ヒロインの相手役、竜の声を演じるのが佐藤健くん!、
そしてディズニーの「美女と野獣」を思わせるような映像!(しかもヒロインの名はベル!)、
加えて「アナ雪」のように歌う主人公! 


「これはもう、ポップコーン食べながら、ママと子供が楽しめる作品、間違いな~し!」

お昼前の時間だったせいか、会場にはそんな子供連れのママたちがあちらこちらにおられます。
が、それを"しちまった"ママたちのご期待には残念ながらお応えできなかった作品かも。。とエンドロールを眺めながら、そんなことを考えていました。
決して最後にハッピーエンドが待っているような、単純なエンターテイメント作品じゃありません。
作品の中身を知っていた広報の人、苦労したんだろうなぁ~。(あくまでも個人的な意見です)

佐藤健くんがインタビューで「精魂込めた(←だったか)」と言っていた台詞は、多分あの場面の、あのセリフ。
ちなみにここ以外、タケルくんに台詞らしい台詞はほとんどありません(^_^;)
 
長く長く、そして何度も何度も、強く強く。

観ていた人の多くが、ここで気持ちを"持っていかれちゃった"のでは?、と思います。それくらい、心に刺さる場面でした。
「い、いいのか、このシーンは!? 子供が観てるぞ!」と、え?え? と思っちゃいましたもの。

「サマーウォーズ」で社会インフラをネットに依存した時の怖さを描いた細田監督が、この作品で描いたのは、人の生き方に影響を与えている今のネット社会の怖さなのかも、と考えずにはいられませんでした。

そして、画面の向こう側の多くは、どんな正論を吐こうとも、常に傍観者である、ということ。 

それはまるで、増水で荒れる川の中州に取り残され、泣きじゃくる子供を「なんとかしなちゃ」と思いながら、「誰か助けてあげて」と叫びながら、ただ見つめていた大勢の姿に重なります。
ネットで自分の姿を晒し、新幹線に飛び乗って本当の"彼"に会いに行ったすずの勇気と、子供を助けようと川に飛び込んだすずの母親の勇気。「あ、つながった」、と思った時、ホロホロと泣ける自分がおりました。

ベルのビジュアル原画は、ディズニーで「アナ雪」のビジュアルを手掛けたアーティストなんだとか。それが細田作品の特徴でもある細い描線と相まって、実にゴージャスな画面になっておりますですよ。ディズニー作品にも負けてない、日本アニメーションの進化形ですわ。
<U>の世界も、大好きな「サマーウォーズ(2009年)」を思わせ、なんともいえぬ懐かしさでいっぱいになります。ひょっとしたらあの中に陣内(じんのうち)家のみなさまもおいでになるのでは? なんて思っちゃいました(^^) 月末にリピートかな~♪

「竜とそばかすの姫」公式サイトは、こちら
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