大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

かの世界この世界:165『非常食』

2021-01-09 12:59:34 | 小説5

かの世界この世界:165

『非常食』語り手:ポチ    

 

 

 宿のオーナーのオジサンがハンマーが頭上で炸裂して目の前が真っ白になって……意識が飛んだ。

 

 意識が戻ると、真っ白な中を漂っている。

 もし、真っ白じゃなくて真っ暗闇で、無数の光のドットが点滅していたら宇宙空間に放り出されてしまったのかと思う。だって無重力で浮かんでいるんだからね。

 自分の手足を見ると、もうベスの姿じゃない。フェンと出会った時の女の子の姿。

 他に比較できるものがないので、等身大なのか1/6サイズに戻ってしまったのかは分からない。

 しばらく漂っていると、頭の方から風を感じる……あ、こっちが下なんだ。

 そう思って、頭を巡らすと、白の真ん中が緑が浮かび上がってきて、緑の先が細かいトゲトゲになっているので森の上に落ちているんだと分かる。

 ちょっと、いろんなものが焦げる臭いと血の臭いがしたかと思うと、緑の真ん中が開けてきて、いろんな戦車の残骸が転がっているのが見える。

 このままでは、戦車の残骸たちの上に墜落してしまう!

 いそいでエアブレーキをかけると落下傘で降りるくらいの速度になって、下の様子が、さらにはっきり見える。

 え…………!?

 目を疑った。

 二両の戦車に挟まれたところに大の字に転がったトール元帥。

 そのトール元帥のお腹の上に裸の女の人が寝っ転がっていて、不自然にピクピクしている。

 なんだろうと思っていると、トール元帥が女の人をひっくり返したので顔が見えた。

 え!?

 そのショートヘアーの美しい横顔は……タングリスさんだ!

 関節が壊れた人形のようにグニャグニャになって、体がひっくり返されても首と手足が、すぐにはついてこないで、緩くぞうきんを絞ったように捻じれている。

 何してるの……?

 ぞうきんみたいになってるわけだ、タングリスさんの体から中身が抜けてきているんだ!

 上向きになった身体には肋骨が浮かび上がり、腰の所も腰骨でつっぱらかって、手足の肉もしぼんでいっている。

 ムシャムシャムシャ グチャグチャグチャ ズルズルズル ムシャムシャムシャ

 音まで聞こえてきた。

 トール元帥がタングリスさんを食べているんだ((((;'∀'))))!

 

 ダメエエエエエエエエエエエエ!!

 

 叫びながら落ちていくと、トール元帥と目が合ってしまった!

 元帥は、タングリスさんの頭を掴んで、真っ赤な口を開けて丸かじりにしようとしているところだ。

「あ」

 元帥の目が正気に変わったのが分かった。

 元帥の頭に着地する寸前にタングリスさんの頭に抱き付いて横っ飛びに転げる。

 すっかり中身のなくなったタングリスさんは空気の抜けた浮き輪を捩じったみたいになってしまっていた。

 捻じれタングリスさんを体の後ろに隠すと、元帥が上半身を起こした。

 むかし見かけた時ほどじゃないけど、それでも起き上がった上半身だけでも二メートルほどの大きさがある。

 正直怖いよ(;'∀')。

「すまん、あやうく全部食べてしまうところだった」

「な、なんで、こんなことを!?」

「タングリスと、タングニョーストはわたしの非常食なんだよ」

「カロリーメイトですか(^_^;)」

「大丈夫、骨と皮が残っていれば再生するよ……おまえは、ポチか?」

「う、うん……あ、あたしは食べられるために戻ってきたんじゃないからねえ!」

「タングリスとタングニョーストの他は食べないよ。さ、タングリスをここに入れてくれ」

 元帥はポケットからエコバッグみたいなのを出した。

「そのままでは、みんなビックリするからな。なに、時がたてば回復して出てくるよ」

 骨と皮になったタングリスさんを詰めていると、どこかに隠れていたのか、四号のみんなが集まってくるところだった。

 

☆ ステータス

  •  HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
  •  持ち物:ポーション・300 マップ:13 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
  •  装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
  •  技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
  •  白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
  •  オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  •   テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
  •  ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
  •  タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
  •  タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
  •  ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
  •  ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

  •  二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
  •   中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
  •   志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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かの世界この世界:164『瀕死のトール元帥』

2020-12-31 13:02:57 | 小説5

かの世界この世界:164

『瀕死のトール元帥』語り手:テル    

 

 

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 

 少年巨人族のアドバイスで野営のテントを張り終えたとき、森の中央あたりでとんでもない音がした。

「え、なに?」

 ペグを打つ手が止まって、目を向けた時にはヒルデも少年巨人族も駆け出している。

「テル、行くよ!」

「うん!」

「わたし」

「ユーリアと少年は残れ!」

 ペグもハンマーも放り出し、テルと並んでカテンの森を奥に向かって掛け進む。

 ヒルデたちの姿は見えなくなっているけど、森の真ん中と思われるあたりから煙が立ち上っているので、それを目当てに奥を目指す。

 奥に近づくにしたがって、鉄と油と肉の焼ける臭いが濃くなって、すこし息苦しく、目もシカシカしてくる。

 うわあ…………(;'∀')

 言葉にならなかった。

 小学校の校庭ほどに木々がなぎ倒され、その木々を押しつぶしたり下敷きになったりして数十両の戦車が擱座している。煙や炎を噴き出しているもの、これでも戦車かと目を疑うようなひしゃげ方をしたものばかりで、まともなものは一両もないありさまだ。

 そして、その戦車のことごとくがトール元帥の部隊の所属を示すミョルニルハンマーのマークがついている。火や煙を噴いている車両からは肉の焼ける臭いがして、戦車の周囲には半ば焦げた戦車兵たちの骸が転がっている。

「あ、あそこに!」

 タングリスの声がして、わたしとテルも、そこを目指した。

 砲塔が吹き飛んだ五号戦車の横にトール元帥が横たわっている。

「元帥、しっかりしてください!」

 タングリスが駆け寄ってトール元帥を抱き起す。ヒルデは比較的無事な車両からAEDを取り出して、元帥の軍服の胸をはだけようとする。

「姫、そのようなものでは、もう間に合いません……」

「元帥!」

「わたしの手にも負えないところまで来ております、なんとかカテンの森まで撤退してきましたが……ここまでです……姫たちはお逃げなさい……別の次元に……異世界に……」

「じい、死ぬな!」

「間もなく、敵の追手が……」

「元帥!」

 ちょっと違和感……トール元帥が普通の人間の大きさになってしまっているのだ。

 そうか、デミゴッドの呪いめいたものが元帥にまで影響しているんだ。

 若返って消えてしまわないのは、トール元帥の神性によるものなのかもしれない。

「元帥、タングニョーストは?」

「激戦の中で行方がしれん……おそらくは、わしの退路を確保するために……」

「元帥、アルティメイトリカバリーを」

「タングリス!」

 ヒルデが目をむき、元帥が息をのんだ。

「このために、自分は存在しているのです」

 そう言うと、タングリスは軍服を脱ぎ始めた。

「タン……グリ……」

 数秒で美しい裸身を晒したタングリスはトール元帥の上に覆いかぶさっていく。

「お、おまえらは見るな!」

 わたしたちの存在に気付いたヒルデが小さな体を張って隠そうとする。

「あ、あわわわ……」

「すまない!」

 ショックを受けているケイトを引きずって焦げた木の陰に隠れる。

 

 ア! アッ! アア……アアアア……!

 

 苦痛とも喜悦ともとれるタングリスの声が森の中に木霊する。

 この声を聞いてはいけない! 聞かせてはいけない!

 テルの頭を抱えるようにして木陰に蹲った。

 

 

☆ ステータス

  •  HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
  •  持ち物:ポーション・300 マップ:13 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
  •  装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
  •  技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
  •  白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
  •  オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  •   テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
  •  ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
  •  タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
  •  タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
  •  ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
  •  ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

  •  二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
  •   中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
  •   志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

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かの世界この世界:163『ミョルニルハンマーの小型版』

2020-12-21 15:07:27 | 小説5

かの世界のこの世界:163

ミョルニルハンマーの小型版語り手:ポチ    

 

 

 ちょっと予定が狂った。

 

 オーナーのオジサンがうつむいたまま呟いたよ。

 あんまり密やかな声なんで、どこかに人が隠れていて、思わず漏らした声かと思ったくらい。

 でも、すぐに顔を上げて、あたしとダグ(フェンリル二世)の顔を見たんで、オーナーだと分かる。

「仕方がありません、ここで処理しましょう」

 オバサンもゆっくりと顔を上げたよ。

 ダグはどうしているのかとチラ見したよ。

「え……ダグ?」

 ダグは「ところで、オーナーさんたちは半神族じゃありませんね……」の、最後の「ね……」の顔のまま固まってしまっている。

「いやはや、おどかしてごめんね、ポチ」

「ポ、ポチ!?」

 いきなり真名で呼ばれてしまったんで、思わず両手で頬っぺを挟んで、ムンクの『叫び』みたいに驚いてしまったよ。

「あなた、この子の今の名前はポナですよ」

「ああ、そうだったな。ポナ……」

「いえ、わたしはルポライターのエリザベス……」

「もういいのよ、あなたは素直な子だから、フェンの言うままに、ここまで来てしまったのよ」

「フェンは悪い奴じゃないんだけど、思い込みがきつくて、自分の目的の為に人を巻き込んでしまう」

「もう、フェンの力だけで立て直せるほどユグドラシルは簡単じゃないのよ」

「フェンには、少し眠ってもらって、ポナは姫のところに戻ってもらう」

「でも……いえ、いったい、お二人は?」

「主神オーディンに仕える者だよ、もともとはトール元帥の部隊に居たんだけどね」

「あなた、それは……」

 オバサンがオジサンの手を握った。なんだか、あたしが聞いてはいけない話のようだよ。

「時の女神は、もうユグドラシルには居ないわ」

「え!?」

「姫が、このままブァルハラに進まれても何も解決しない。オーディンから姫の進むべき道を示すように命じられてきたんだけどね、わたしたちの姿は、もう姫には見えないんだ。それで、こちらの世界にやってきたポチ(ポナだって(^_^;))に頼もうと思ったんだけどね、フェンが先に……」

「それで、ここに宿を作って、ね……」

「今夜、眠っている間にケリをつけるつもりだったんだがね」

「フェンが余計なことを言うから」

「まだまだ、フェンは子どもだからな」

「じゃ、あなた」

 オバサンがカウンターからトンカチのようなものを取り出した。

「釘でも打つんですか?」

「まあ、釘をさすってとこかな」

 オジサンが釘を出して、オバサンに差し出した……そのトンカチ、見覚えがあるよ。

「ミョルニルハンマーの小型版」

「トール元帥の部下だったって言ったでしょ」

 釘はオバサン、ハンマーはオジサンに持ち替えられた。ちょっと儀式めいている。

「これから起こること、しっかり見ておくんだよ。ポチが人形になって、そして、原寸大になったのは意味のある事なんだから」

「う、うん」

「じゃ……」

 オバサンが目の高さに持ち上げた釘をオジサンがハンマーで打ち付けた。

 ガシッ!

「え!?」

 息をのんだ。

 釘を打つ音は、ごく小さい『カツン』という音なんだけど、『ガシ』って音は、となりで固まってるフェンの頭からしたんだよ。

「え、ええええ!」

 直接釘が撃ち込まれたわけでもないのに、フェンの額にヒビが入って、みるみる全身に広がって行ったかと思うと。

 パリン

 儚い音を立てて、フェンは無数のポリゴンになって崩れていってしまった。

「さあ、こんどはポチの番だ」

「え?」

「大丈夫、死ぬわけじゃないから」

 オジサンがハンマーを一振り……目の前が真っ白になった……。

 

  •  ☆ ステータス
  •  HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
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  • ☆ 主な登場人物
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  •   テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
  •  ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
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かの世界この世界:162『静かな宿』

2020-12-14 06:05:03 | 小説5

かの世界のこの世界:162

『静かな宿』語り手:ポチ           

 

 

 あれ…………?

 そう言ったきり、ダグ(フェン)は車を止めてしまった。

「どうかしたの?」

「街の様子が変わってしまってるんだ……大きくなってるし……」

 わたしは初めてだから、大きいもなにも分からないんだけど、ダグの表情から、うかつにデミゴッドブルクには踏み込めないということは分かった。

「さっきの車で、てっきりデミゴッドブルクは縮んでいると思ったんだが……」

「どういうこと?」

「あの婆さんは命のあるうちに葬られようとしていた。半神族は肉体が滅ぶと神になる。だから肉体には未練が無いんだ……だから、肉体の街や世界には未練がないんだと思っていたんだ……それが、このありさまだ。うかつには踏み込めない」

 市街地からは一キロはあるところだけども、建設中の機械や工事車両の音が聞こえてくる。

「今まで通って来たところは、あんまり人気(ひとけ)は無かったでしょ」

「ああ、やつらは、さっさと肉体を捨てて、ヨトゥンヘイムを征服するんだとばかり思ってたからな……どこか郊外で宿をとって考えよう」

 

 しかし、なかなか宿はとれなかった。どこも、工事関係者が泊っていて空き部屋が無かったのだ。

 四軒目で泊まることができた。

 築三十年ほどの二階建てのホテルだ。豪華でもきれいでもないが、清潔で品のいいコロニアル風。クラシックなところが敬遠されるんだろうか。

「先日までは、内外の工事関係者で一杯でしたが、ようやく落ち着きました。ごゆっくりお休みください」

 フロントの、たぶんオーナーだろうおじさんが、のんびりと言う。

「こちらへは、お仕事ですか?」

 部屋のキーをくれながらオバサンが続ける。

「ああ、デミゴッドブルクのルポをね。ぼくらは、夫婦そろってルポライターなんだ」

「それはそれは」

「静かさについては、スヴァルトアルムヘイム随一ですので、記事をお書きになるのにはうってつけです」

「よかったわね、ダグ」

「さ、お部屋へご案内いたします」

「どうも」

「ところで、オーナーさんたちは半神族じゃありませんね……」

 オーナー夫妻の表情が固まった……。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

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☆ 主な登場人物

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 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

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 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

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 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

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かの世界この世界:161『棺の中から』

2020-12-13 05:55:18 | 小説5

かの世界この世界:161

『棺の中から』語り手:ポチ         

 

 

 四人とも固まってしまった。

 

 当たり前だ、吸血鬼がベッドに使っているのでなければ死体が収まっているはずの棺桶から声がしたのだから。

 でも、固まり方が違う。

 あたしはオカルト的な驚き、フェンは犯罪の証拠を見てしまったように驚き、中年夫婦はちょっとした隠匿物資を見つけられたような驚きだ。

『あ……だれか、人がいるのかい?』

 気まずそうに棺の声が続いた。

「棺の中は母なんだ。死亡予定日には間があるんだけど、仕事の都合で、今日しか墓地にいけなくってね……そりゃあ、死亡前埋葬は違法だけども、みんなやってることだし……むろん、母の意思は確認したよ」

「そうなの、そもそも言い出したのはお義母さんの方からなの。そうでしょ、お義母さん?」

 すると、ほとんど音もなく棺の蓋が開いて、顔色の悪いお婆さんが上体を起こした。

「よっ……こらしょっと。そうなの、言い出したのはわたしよ。息子は公務員で、内容は言えないんだけど、とっても忙しい仕事をしているの。それが、来週……グズグズしてたから、もう明日からかしらね、とても忙しくなるの。国や社会にとってもとても大事な仕事でね、この春に課長になったばかりで、繁忙期に休むわけにもいかないし。それで、わたしから言ったのよ。通りすがりのお人なんでしょうけど、これも縁だと思ってちょうだい。この通りだから」

「あ、え、死に装束で手を合わされましてもね」

「じゃ、頭を下げるわ。これ、この通り。ほれ、あんたたちも」

「わ、分かりました。見なかったことにします。見なかったんだから、エンコしてることにも気づかないわけだから、修理は他の人に見てもらってください。じゃ、いこうベス」

「う、うん」

 回れ右した後ろから、小さく「ありがとう」の声がするけど、気持ちは「手を貸してくれたっていいじゃないか」が感じられ、なんだか、わたし達の方が悪いことをしたみたいで、面白くない。

 フェンが車を出すのを待って声をかけた。

「生きたまま葬るってありえあないでしょ」

「死んだら神さまだからね、そんなに抵抗はないんだろう。棺も生前葬仕様で、最長一年の生命維持ユニットが付いている。違法なことなんだけど、半神政府も実質は見て見ぬふりなのさ」

「公務員って言ってたわよね。公務員だったら、有給ぐらいなんとでもなるって気がするんだけど」

「あいつは、情報管理局だ。以前、潜り込んだ庁舎で見かけたことがある。なにか大きな動きがおこる前兆なのかもしれない」

「半神族って、わけわからない」

「ちょっと探りを入れてみよう」

 ニヤリと方頬で笑うフェン。

「フェン、変な笑い方しないでよ」

「フェンじゃない、ダグだよ。ベス」

「そうだったわね」

 車はデミゴッドブルク方面行きの車線に移っていった……。

 

☆ ステータス

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 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

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かの世界この世界:160『国民的大衆車フォルクスオーパー』

2020-12-12 06:14:43 | 小説5

かの世界この世界:160

『国民的大衆車フォルクスオーパー語り手:ポチ   

 

 

 二号戦車のゲペックカステンにソウルを入れてやるとセダンに変わった。

「これは二世代前のフォルクスオーパーだ」

「それって?」

「国民的大衆車だったんだけど、垢ぬけないデザインだったんで、社会が豊かになると売れなくなったんだ」

 フェンは、そう言うけど、カクカクしたボディーは四号や二号に通じるものがあって、とっても実直なイメージで好ましい。

「でも、こういうの好きよ」

「ぼくだって好きだよ。地に足が付いた感じは、いまの僕たちにも通じるところがある」

「フフ、そうかもね」

 そう応えると、フェンは目尻をシワクチャにして笑った。

 いまのわたしたちは、乗り慣れた車で定年後の旅に出た初老の夫婦という感じになっている。

「いこうか、ベス」

 運転席に乗り込むフェンは、何十年も言い慣れたように、わたしをベスと呼んだ。

「こうかい?」

「そうそう、五歳は若くなったわ」

「五歳かい、十歳は若いだろ」

「あつかましいわよ、ダグ」

「おれはダグかい?」

「ミスター・ダグラスって呼んで欲しい?」

「よせよ、他人行儀な」

 エンジンが暖まって街道に出たころには、ダグとベスのベテラン夫婦になりおおせていた。

 カーラジオから流れるオールディーズの曲に耳を傾けていると、前方の反対車線にエンコしたワゴンが見えてきた。

 いったん通り過ぎてからUターンしてワゴンの後ろに停車させる。

「あの車、棺を載せてるわ」

「訳ありなのかな……」

 一言呟くと、ダグは車から降りて声をかけた。

「どうかしましたか?」

「ブレーキの調子が悪くて、今度走り出したら停まりそうもないんで途方に暮れてるんです」

「JAFには?」

「電話はしたんですが、立て込んでて、半日はかかるってことで」

「半日なんて待ってられないわよ、やっととった休暇なんだから」

 どうやら、休暇を利用したドライブでエンコした中年夫婦のようだ……でも、ドライブに棺?

「よかったらみてみましょうか、多少は車が分かりますから」

 夫婦は、わたしたちの車を見て納得の表情。二世代前のフォルクスオーパーを乗りこなしているのは車のメンテにも長けていると判断したのだろう。

「ありがとうございます。よかったわ、これで間に合う」

 奥さんがバックシートの棺に話しかけた。

『ああ、頼むよ……おまえたち』

 

 ギョエ! 

 棺の中から声がした!

 

☆ ステータス

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  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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かの世界この世界:159『デミゴッドの墓地・2』

2020-12-11 05:55:16 | 小説5

かの世界この世界:159

『デミゴッドの墓地・2』語り手:ポチ       

 

 

 いくつもお墓は見てきた。

 人と言うのは川沿いに住むもので、とうぜんお墓も並ぶ。それにムヘン川は最前線になることが多く、石を一個置いただけの兵士や犠牲者のお墓もある。霊魂と言うのは死んでもなかなか肉体から離れられないもので、お墓の傍に寄ると時どき頭が痛くなったりする。あたしはシリンダーだったので、そういう霊的なものには人よりも鋭いみたい。

 ところがデミゴッドの墓地というのはアッケラカンとしていて、霊的なものを何も感じない。

「デミゴッドは半神。つまり半分神さまだから、死んだら魂は神界に上って神になるんだ。だから、お墓は抜け殻の肉体だけが葬られている。だから怖くはない」

 うん、怖くはないよ、霊ってご近所の皆さんて感じだったし。

「でもね、中には神であるよりも人の属性を大事にしたいデミゴッドもいて、そう言う人の霊は残っているんだよ」

「え、どこに?」

 広大な墓地を見渡すと、ところどころで墓守さんたちが掃除をしているのを見かけるだけだ。

「おーい、一号さーん」

 彼方の墓守さんにフェンが呼びかけた。この距離じゃ聞こえない……と思ったら、フィルムのコマが落ちたみたいに、唐突に目の前に現れた。

「なんだいフェン、おや、今日は女の子連れてんのかい」

「ちょっと訳ありでね。ちょっと方針転換して、半神たちを覚醒させたいと、この子といっしょにね。この子妖精のポナっていうんだ」

「ポ、ポナです」

 ペコンと頭を下げてしまう。

「妖精さんねえ……」

 み、見破られたか!?

「みんな、いろいろ事情があるからね……わたしは墓守一号、よろしくね。昇天しなかった半神と言った方がいいかな?」

 は、半神さん……ど、どうしよう、握手なんかしちゃったよ!

「ここに来たってことは、やってくれるんだね?」

「うん、及ばずながら。逃げてばかりじゃ解決しないからね」

「うん、それでこそオオカミ族の束ねだ。しっかりおやり」

「それで、ソウルを借りに来たんだ」

「ああ、いいよ。こういうこともあろうかと三人分のソウルを用意してある。正体がバレそうになったら心の中で『チェンジ』と呟けばいい。ぜんぜん別の半神ということになるから」

「ありがとう、恩にきるよ。でも二人分あればいいよ」

「向こうに見える二号戦車で来たんだろ、一つは二号に使えばいい。そうすれば乗り物から足が付くこともない」

「そうか、目につかないように人里では隠しておくつもりだったけど、二号もチェンジできるのならありがたい」

「でも、一つだけ注意しとくよ。けっして三年は超えないこと。三年を超えると……」

「元に戻れない、だろ? 大丈夫、それまでにはスヴァルトアルムヘイムもヨトゥンヘイムも、いや、ユグドラシル全体をまともにしてみせるから」

「大きく出たね。ま、無理をせず、半神のできそこないどもをなんとかしてやっておくれ」

「分かった」

「そっちのお嬢ちゃんも。あんたも流転の星に生まれついてしまったみたいだしね」

「は、はい」

「自分が、なにに属するのか、フェンといっしょにお考え」

「はい」

「じゃ、二人とも目をつぶって口をお開け」

 フェンと並んで口を開ける……すると、なにか暖かい空気のようなものが入ってきて、すぐに体全体が暖かくなってきた。

 目を開けると、もう墓守さんの姿は無かった。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

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かの世界この世界:158『デミゴッドの墓地・1』

2020-12-10 06:03:53 | 小説5

かの世界この世界:158

『デミゴッドの墓地・1』語り手:ポチ     

 

 

 半神族ってどんななの?

 

 素朴な質問をしたよ。

 シリンダーの変異体であるあたしはモノを知らない。

 1/6の人型妖精に変異してから、ずっと四号戦車の五人といっしょだった。冒険の旅の中に居たので世間というものを知らない。

 素朴すぎるかもと思ったけど、変に知ったかぶりしているよりもいいと思ったから。自分が変異体だというのを言いそびれただけで気持ち悪いもん。

「人と神さまの間に生まれた種族だよ」

「人と神さまの間?」

「その前に、乗り物が必要だな……この魔法石に乗り物のイメージを吹き込んで」

「どこかに行くの?」

「ああ、目標達成のために。とりあえず人里に出なくちゃ」

「うん」

 思いを込めると、魔法石は二号戦車になった。ずっと四号に乗っていたから乗り物と言うと戦車になってしまう。でも、最初から四号だとおっきいから失敗するかもって思ったから。

「こんなのでよかった?」

「無限軌道だから走破性がよさそうだね」

 フェンはチョイチョイと指を動かして二号を自動運転にした。

「運転は苦手だし、話の邪魔になるしね……意外に中は広いね」

 もともとは三人乗りだからね。

「デミゴッドの墓地へ」

 無人の操縦席に命ずるとブルンブルンとエンジンが起動して動き出した。

「お墓に行くの?」

「うん、このまま半神族の中には入れないからね、半神族のソウルを借りに行くんだ」

 よく分からないけど、質問を重ねると話が飛んで行ってしまいそうなので小さく頷いておく。

「神さまと人間はときどき恋をするんだ。異種族同士だけど、時々子どもが生まれる。その生まれた子と、その子孫を半神というんだ。寿命が人より長かったり魔法が使えたりする。半神族同士の結婚を繰り返して行けば神の属性は薄まることがないからね、半神族は半神族としか結婚しない。間違いが起こらないように、半神族は仲間の半神族を見抜く力を持っているんだ、だからね、ソウルを借りに行くんだよ」

 フェンは半神族の歴史と社会の話を面白おかしく話してくれる。オオカミ族の話も聞きたかったけど、いまはフェンのペース。

 途中、半神族と思われる思念が飛び込んでくる。二人の行方を探っている感じ。その都度、フェンは反対魔法を唱えて打ち消す。三回目くらいからは一緒になって反対魔法を唱えているんだからビックリ。わたしは順応性が高いと言うか、どうも流されやすいようだ。

 峠を二つ超えたところで墓地が見えてきた……。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

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かの世界この世界:157『ポチからポナへ』

2020-12-09 06:31:11 | 小説5

かの世界この世界:157

『ポチからポナへ』語り手:ポチ        

 

 

 目標って……?

 

 直球過ぎたのか、フェンリル二世はゴクンと息をのんだ。

 ヘタに答えると、その答えに質問が出てきて、その質問に答えると、さらに質問が出てくるという質問のラビリンスに落ち込みそうな顔をしている。まあ、仕方がない。わたしは、なんとしてもカテンの森のみんなのところに戻るんだから、フェンリル二世の目標を確かめても仕方のないことなんだ。

「えーと……ユグドラシルを救うのが目標……的な?」

「ありがとう、答えにくそうな質問に答えてくれて」

「きちんと答えようと思ったら、明日の朝くらいまでかかりそうなんでね」

「いいわよ、わたしも明日の朝くらいまでには戻りたいから」

「そうだね、戻れるように知恵を絞ろう……伏せて!」

「どうしたの?」

「半神の使い魔が……」

 這いつくばって息をひそめると、地面が振動し始めた。

 

 ……グゴゴゴゴゴ グゴゴゴゴゴゴ

 

「きみ、空を飛べる?」

 飛べるんだけど、シリンダーの変異体ぽいので返事ができない。彼とは正体を知られないうちに別れたかった。

「じゃ、しっかりぼくに掴まって!」

 返事を渋っていると、指示が飛んでくる。意外と決断力があるのかもしれない。

 胴にまわされた手に力が入って体が密着する。オオカミ族だけあって、意外に筋肉質!

 ドギマギしたのは一瞬で、直ぐに舞い上がって、反射的に彼の首にしがみ付く。

 あたしを抱えたまま、彼は空中で一周する。逃げる方向を探っているのだ。

 一周する間、石が砕けた時のようなキナ臭さが鼻を突く。

「こっちだ!」

 弾かれたように後ろ斜め上に移動。

 バチーーーン!!

 今まで居た空間には軽自動車ほどの岩が激突して、火花を発してバラバラになって落ちて行った。0.5秒遅れていれば、岩に挟まれてペシャンコになっていただろう。

 続いて、ブンブンと唸りを上げて石やら岩やらが飛んでくる。彼は器用に躱すんだけど、逃げる方向が定まらない。

「岩が使い魔なの!?」

「半神はなんでも使い魔にする。なあに、飛んでいれば隙が見つかる……っさ!」

 ブン!

 唸りを上げて岩が間近を通り過ぎていく。いっしゅん目をつぶってしまい、目を開けた時に彼の頬に一文字の切り傷が走っていた。

「魔石を投げるから、考えられるだけの破壊力を籠めて!」

「う、うん」

 魔石を握った彼の拳に想いを籠める!

「いくよ!」

「うん!」

「トーーーーー!!」

 わたしを抱えているから、弱いスイングだったけど、思いのほかの勢いで魔法石が飛んだ!

 

 ドゴーーーーーーーン!!

 

 太陽が爆発したのかと思った。

 前方にはポッカリと岩石たちが居ない空間が広がり、すかさず彼はブーストをかけて突き抜けた。

 何十キロかを瞬くうちに飛んで、川のほとりに着地した。

「あんなに速く飛んだのは初めてだ」

「あ、ありがとう」

「何万て岩石が一瞬で蒸発した。きみの力がなきゃ逃げきれないところだった」

「とうぶん帰れそうにないかも……」

「協力して身を護っていこう」

「う、うん……それしかないかも。フェンリル二世」

「フェンでいいよ」

「フェン?」

「キミのことは、なんて呼んだらいい?」

 ポチとは言えない。

「ポ……ポナ」

 チからチョボ一つ取って、少しだけ女の子らしく言ってみた。

「ポナ……うん、いい名前じゃないか!」

 子供のような笑顔でフェンリル二世……フェンは喜んでくれた。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

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  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

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かの世界この世界:156『魔法石』

2020-12-08 05:42:26 | 小説5

かの世界この世界:156

『魔法石』語り手:ポチ           

 

 

 

 ドドドドドドドドドーーーーーーーン!!!!

 

 小石一つを放り込んだとは思えない音がした(;゚Д゚)。

「なんか、とんでもない音がしたよ……」

「穴が崩壊した……」

「あんなチッコイ物で?」

「九つの世界は、好き放題に国境を固めたからね……ユグドラシルって、本来は木、樹木だろ。樹木と言うのはしなやかなものだけど、固めてしまうと柔軟性を失い、ちょっとした刺激で崩壊してしまうことがある」

「そ、それにしても、凄すぎない?」

「きみが籠めた想いって、どんなの?」

「『スヴァルトアルムヘイムに来てしまったけど、すぐに戻ります』的な?」

「ごく普通だよね……ごめん、もう一度籠めてくれる?」

「う、うん……」

 

 さっきと同じように魔法石に「すぐ帰る」的な想いを籠めた。それを渡すと、フェンリル二世は目の前に仮想タブレットを出して分析し始めた。

 

「す、すごい……破壊値が五十キロ爆弾クラスだ!」

 五十キロ爆弾クラスの程度がどのくらいなのかは分からないけど、フェンリル二世の表情からスゴイと言うのは伝わってくる。

「ただのメールが、なんで、そんなことになるの?」

「僕にも分からないよ、きみは小型妖精のようだけど、どこの種族なんだい?」

「う、それは……」

 元々はクリーチャー、シリンダーの突然変異体だとは言えない。

「あ、ごめん。詮索することじゃないよね。いや、あまりに凄いから、ついね。キミには自覚は無いんだろうけど、魔法石との相性が飛びぬけていいんだと思うよ」

 ウウ、そんな相性は、ありがたくないよ。

「試してみよう」

 フェンリル二世はポケットから、色の違う魔法石を取り出した。

「魔法石のピュアストーン、まだ、僕の思いが籠っていない状態だ。これに、さっきと同じのを籠めてくれないか」

「これに?」

 危険物だと分かって手に取るのは気持ちが悪い。

「あとで解除すれば、ただの魔法石に戻るから」

「う、うん……」

 明るい押し出しに、ソロリと手を出して、さっきと同じようにする。

「これでいい?」

「うん、ありがとう……あれ?」

「どうかした?」

 変な結果がでるのは、ちょっと嫌だ。

「何も変わってないよ」

「ほんと?」

 正直言って嬉しいんだけど、フェンリル二世の期待を裏切るようなので、努めて普通に言う。もう一回やって欲しいと別の魔法石を渡されるんだけど、四回やって結果は同じだった。

「おかしいなあ……じゃ、僕の登録が済んでるので試して」

「う、うん」

 結果は直ぐに出た。

「やっぱりだ、僕の登録が済んだ魔法石に上書きすると起きる現象だ!」

「そ、そうなの?」

 フェンリル二世はズイと身を乗り出した。

「どうだろ、しばらく僕といっしょに居てくれないか!?」

「し、しばらくって……」

「ぼくが……ぼくの目的を果たすまで……」

 

 その瞳には、決して断れない切迫感が溢れていた……。

 

  

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

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☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

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かの世界この世界:155『フェンリル二世の事情』

2020-12-07 06:05:55 | 小説5

かの世界この世界:155

『フェンリル二世の事情』語り手:ポチ     

 

 

 トンネル小僧……フェンリル二世は静かに語った。

 

「ユグドラシルには、もともと世界の区別なんかなかった。九つの種族が、それぞれの習慣や個性をもって生きていて、人も聖霊もみんな自由に行き来していたんだ。オオカミ族は、九つの世界で行き来して自由に暮らしていた。他の部族たちが、それぞれに国を作っても『ま、そういう暮らし方もあるだろう(o^―^o)』くらいに思って、いちばん多くのオオカミ族が暮らしていたスヴァルトアルムヘイムに半神族が国を作っても、我々が自由に暮らせていれば好きにさせればいいと思っていた。ラタトスクたちは『オオカミ族も国を作った方がいい。国を持たない者はのけ者にされていくよ』と忠告もしてくれた」

「ラタトスク……ああ、ナフタリンたちだね」

「でも、気が付いた時には遅くて、オオカミ族はスヴァルトアルムヘイムに小さな自治区での居住しか認められなくなった。父のフェンリル一世は神々に戒めを掛けられ、不遇なままに一生を終えた。このままでは、オオカミ族は絶滅すると気が気ではなかったんだ……。そこに起こったのがヨトゥンヘイムの巨人たちの進撃だ。遠くまで進撃して帰れなくなった巨人たちの隙を狙って半神たちがヨトゥンヘイムを侵略し始めた。ラムノ、ノシホ、ノヤの三人の指導者はヨトゥンヘイムの経営のためにスヴァルトアルムヘイムを留守にすることが多くなって、多くの半神たちもヨトゥンヘイムに移り始めた。それで、ヨトゥンヘイムを偵察して、半神たちが当分帰ってこないようなら、スヴァルトアルムヘイムを僕たちの手に取り戻そうと思ったんだよ」

「ノヤってのは死んだよ」

「え……ひょっとして、君たちがやっつけたの!?」

「ちがうちがう、事故だったんだ。ユグドラシルの近くまで来たら乗ってた戦車が吹き飛ばされて、落ちたのがノヤっていうのが居た神殿だったんだよ」

「え、たまたま落ちたのがノヤの神殿だったって言うのか!?」

「う、うん。最初はとんでもないことになったと驚いたんだけど、小さくなって若返った巨人族たちが喜んでくれて」

「そうか……それは、やっぱり君たちに力と神のご加護がある証拠だよ。神殿と言うのはセキュリティー魔法がかかっていて、落下物なんかは避けられる仕組みになってるからな」

「そ、そうなんだ」

「キミたちには主神オーディンのご加護があるのかもしれないよ」

 ご加護どころか、オーディンの王女が乗ってるんだけど、話がとんでしまいそうなので、スルーする。こっちにも聞きたいことがあるしね。

「ヨトゥンヘイムでは、死んだノヤ以外に半神は見かけなかったんだけど、なんか訳あり?」

「辺境の征伐に出ているやつが多いんだと思う。むろん、街にも居たんだろうけど、君たちが来たんで、隠れているんだよ」

「そうなんだ……とりあえず、一度カテンの森に戻るよ。何をするにしても、あたし一人でなんにもできないし、みんなも心配するだろうから」

「ああ、それがいい。時間がたってるから穴が小さくなってるかもしれない」

「それって、ヨトゥンヘイムが縮んでることと関係あるの?」

「説明はあとだ、とにかく穴に!」

 穴の入り口に戻ると、小さくなっているような気がした。

「縮み始めてる、君が戻るのは危険だよ」

「どうしよう……」

「メッセンジャーを貸してあげるよ」

「メッセンジャー?」

「うん、ラタトスクたちにも気づかれずに通信できる、魔法石の小さい奴……」

 そう言うと、フェンリル二世は無造作に小石を取り出した。

「石ころ?」

「祈るとメッセンジャーになる。さあ、手に取って想いを籠めるんだ」

「う、うん」

 小石に想いを込めて、穴の中に、そろりと放り込んだ……。

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

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かの世界この世界:154『オオカミ王子フェンリル二世』

2020-12-06 06:43:42 | 小説5

かの世界この世界:154

『オオカミ王子フェンリル二世』語り手:ポチ    

 

 

 なにを驚いてるの?

 

 トンネル小僧が不思議そうな顔で聞く。

「そ、それは(ついさっきまで1/6サイズだったなんて言えない)……おまえが、か、かわい……変わってるからだ! お、オオカミの耳こそしてるけで、まだ、ほんのガキじゃないよ!」

「子どもでも立派なオオカミだ」

「どこがよ! あたしと目が合っただけで、ぶっ飛んで逃げちまうし、グニャグニャトンネルとラビリンスの区別もついてないし、あたしみたいな女の子に組み伏せられるし!」

「おまえが怖すぎるんだろ! おまえ、目が合った時は人形みたいにちっこかったくせに……」

「ちっこいゆーーーな! あ、あたしは、最初っからこのサイズよ、あんたの目がおかしいんだ!」

「え? そ、そうなのか…………また見間違えたのか」

「え?」

「………………」

「簡単にしおれないでよ。だいたい、何者なのよ、あんた?」

「おれは、フェンリル二世だ」

「ニセ? おまえ、なにかの偽者か?」

「二世だ、に・せ・い、二代目って意味の二世だ!」

「二世? おまえ、田舎貴族かなんかか?」

「田舎貴族だと!? 失礼な! おれはオオカミの王子だ」

「オオカミの王子? お、おまえが!?」

「お、おう」

「オオカミの王子が、なんで、泥棒みたいにエスケープハッチから入ってくんのよ!?」

「森の出口が二重になってんのかと思ったんだよ」

 森の出口? 

「カテンの森も縮んでしまえば、ヨトゥンヘイム(巨人族の国)は完璧に縮んで、スヴァルトアルムヘイムがユグドラシルの中心の地位を取り返せるからな」

「取り返すだと?」

「そうだよ、世界樹ユグドラシルの中心は根っこのスヴァルトアルムヘイムだ。ヨトゥンヘイムの巨人たちじゃない。いや、もう巨人でさえない半神族にやられた上に、縮んでしまったからな」

 むかつく話だけど、疑問が大きくなる。

「ちょ、その半神族のスヴァルトアルムヘイムに、なんでオオカミ族のあんたが肩入れしてんのよ?」

「スヴァルトアルムヘイムは、元々はオオカミ族のものだ。半神族が大オオカミ王たるフェンリル一世を姦計にかけるまではな」

「大オオカミ王?」

「ちょっと長い話になるけど、いいか?」

「お、おう、聞いてやろうじゃないのよ」

 フェンリルは、記憶を整理するように空を仰いでから語り始めた……。

 

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

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かの世界この世界:153『カテンの森のトンネル小僧』

2020-12-05 06:10:18 | 小説5

かの世界この世界:153

『カテンの森のトンネル小僧』語り手:ポチ    

 

 

 横に伸びる穴をトンネルというんだ。

 当たり前のことを思い出したのは十分くらいガスマスクを追いかけた時だ。

 トンネルだとは思えないくらいに地底の穴はグニャグニャなのだ。でも、トンネルと推測するのは間違っていないと思う。

 だって、いっこうに枝分かれというか分岐が無い一本道だから。

 これは、落ち着いてアナライズすれば簡単に分かるだろう。

 

 地べたに座り込んで、両方の壁に手を伸ばす。

 グヌヌヌ……体がちっこいので、両方いっぺんにタッチすることができない。

 

 エイ! エイ! エイ!

 

 仕方なく、反復横跳びみたくステップ踏みながらタッチ。

 グニャグニャになっている訳が分かった。ここはカテンの森の地下なので、カテンの巨木の根っこが深くまではびこっている。

 トンネルは根っこを避けて掘られているのでグニャグニャなんだ。もし、横穴とかを掘っていたらラビリンスになって、もっと迷ったことだろう。

 地中なので捜索には時間がかかるけど、反復横跳び100回で全体が分かった。

 トンネルは、カテンの森の地下一面に及んでいるみたい。みたいなんだけど、出口は意外に近い。

 右横の壁を一メートルほど行ったところから縦になっていて、そこを下りて行った形跡がある。ちなみに、そのまま足跡をたどっていくと、総延長は100キロを超えてしまい、大変なロスをするところだ。

 ポチという名前を付けられたせいでもないだろうけど、横穴は十分足らずで開けられた。あ、でも、ちゃんとタガーを使ってだからね。手で掘ったわけじゃないから。

 竪穴の底は青く光っていた。海かなあ? とりあえず飛び込んでみる。

 

 エイ!

 

 勢いで抜けると、引力が逆さまになって、三メートルほど突き抜けてから逆に落ちる。そのまま落ちては、また穴の中に落ちてしまうので、穴の縁を蹴って、ドサリと着地。一面の草が生えていて痛くはなかった。

 あ、こいつ!

 目の前に、探検隊みたいなコスで、脇にガスマスクを転がして寝ている男の子がいる。

「おい、起きろ!」

 馬乗りになって、頬っぺたをペシペシ叩いてやると「ギョエ!」っとカエルみたいな悲鳴を上げて目覚めやがった。

「あんたでしょ、デバガメみたくエスケープハッチから覗いていたのは!?」

「な、なんでえ!?」

 目をまん丸にして驚いた顔は意外に可愛い……んなことはどーでもいい!

 はずみで、緩くかぶっていたしょうちゃん帽がポロリと脱げて、立派な耳がピョコンと現れた。

 弧の耳はオオカミさんの耳だ! それが、ひどく似合っていて、自分でも目尻が下がるのが分かった。下がった目尻なんて観られたくないから、両手の人差し指で目尻を上げて詰問した!

「お、おまえ、正直に言え! 何者なんだあ!#o#!」

「な、なんで、来られたんだ!? あんなグニャグニャのラビリンスに掘ったのに!?」

「ああいうのはラビリンスとは言わん!」

 トンネルの単純さを指摘してやると、ガックリと肩を落とす。

「とりあえず、お腹の上から降りてくれないかなあ、ちょっと苦しいよ」

「あ、あ、ごめん」

 慌てて降りて、びっくりした。

 

 あたしってば、普通の大きさになっていたよ!

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)

 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)  思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

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かの世界この世界:152『カテンの森』

2020-12-04 05:55:26 | 小説5

かの世界この世界:152

『カテンの森』語り手:ポチ       

 
 
 
 ちょっと怖い。
 
 なにがって、カテンの森よ。
 ハンシン族とかにやられて、縮んでしまったヨトゥンヘイムの中で、このカテンの森だけが昔のままにおっきい。
 低い木でも80メートルほど、高い木になると300メートルもあるそうよ。
 そうだと言うのは、自分で確かめたわけじゃないから。案内してくれた巨人族の少年が言ったことなんだけどね。
 メスシリンダーの変異体であるあたしは身の丈が人間の1/6しかない。だから、森から受ける圧は人間の六倍。300メートルの木は1800メートルなのよ。
 そんなのが何千本、何万本もおっ立ってるんだから、あたしはテントの設営も勘弁してもらって、四号の中に留まった。通信機の上のお布団が一番よ。
 
 ハッチが半開きになってるんで外の様子は分かるんだ。
 
 巨人族の少年(お爺さんが縮んで若返った)が、いろいろとレクチャーしてくれている。
――ラムノ、ノシホ、そしてみなさんが押しつぶしたノヤが半神の三傑です。ノヤは孤高の神官でしたが、ラムノは実戦派、ノシホは魔導士で黒魔法に長けています。カテンの森は木々が神性を帯びていて、森全体として強力な結界になっています。全てが縮んだヨトゥンヘイムの中で、ここだけが元の大きさを保っていることでもお分かりの事と……――
 レクチャーは微に入り細を穿つって感じで続いている。少年はかなり口うるさいと言うか、くだくだしい年寄りだったんだろうなと思う。ま、それだけ半神族をやっつけて欲しいという願いが強いんだろうけど。
 あたしは、カテンの森は性に合わないから、ここを出るまではお昼寝を決め込むの。
 
 少年の説明が、心地よい子守唄になったころ、戦車の底の方から音がし始めた。
 
 コツコツ コツコツ カチャカチャ カチャン
 
 通信手席と砲塔のターレットの間からだ。
 えーと……四号戦車の仕様を思い出す。たしか、底の方に非常脱出用のハッチがあったはず。
 首を捻って覗いてみる。
 
 あ……!?
 
 ハッチが半分ズレて、ガスマスクをかぶった怪しい奴が、半身を車内に覗かせている。
「ブハ!」
 空気が漏れる音をさせると、アタフタとハッチの下に落ちて行った。
「待て!」
 飛び起きると、そのまま開いたままのハッチに飛び込んだ。ハッチの下は地面なんだけど、ハッチと同じ大きさで穴が開いていて井戸のようになっている。
 勢いのまま飛び込んで、あとを追いかける。穴は二メートルほど落ちると水平になって、闇の中を逃げていく姿が感じられた。
 
 え、なに? あいつ、だれ!?
 

☆ ステータス

  •  HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
  •  持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
  •  装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
  •  技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
  •  白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
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☆ 主な登場人物

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  •   テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
  •  ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
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  •  タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
  •  タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
  •  ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
  •  ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態

―― この世界 ――

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かの世界この世界:151『大神官の住まい』

2020-12-03 06:09:45 | 小説5

かの世界この世界:151

『大神官の住まい』語り手:タングリス         

 

 

 広場に面した三階建てのアパルトメントだった。

 

「半神がやってくるまでは役目がら神殿に住んでいたのですが、いまは単身者用の2DKです。狭いところですが気楽になさってください」

 気楽と言われても、そもそも椅子が二脚しかなく、姫にお座りいただくと、我々は立っているしかない。

「大神官様、椅子をお持ちしました!」

 元気な声が廊下や階段からしてきたと思うと、少女たちがズカズカと入ってきて、要領よく全員分の椅子を並べてくれた。

「ありがとう。みなさんに神のご加護があらんことを」

 マシガナ大神官が礼を言うと、少女たちは見かけの可憐さには似合わない豪快さで笑った。

「ガハハハ、神のご加護は半神どもが居なくなってからいただきますよ」

「あんたたち、大神殿ごとノヤをやっつけてくれた人たちだろ?」

「その皆さんが集まって、ヨトゥンヘイムにはびこった半神どもをやっつける作戦会議をぶつんだから、期待してるよ!」

「じゃね、なにか必要なことがあったら言ってくださいな」

「じゃ、わたしらは、瓦礫の片づけに行ってますから」

 ガハハハハハ

 再び豪快に笑って少女たちは広場に向かった。

「ギャップに驚いたでしょうが、あの子たちは定年で引退した神殿護衛隊の女戦士たちなんです」

「あんなに若いのに引退?」

 姫の驚きにマシガナ大神官は微笑みを返すのみだ。

「あの子たちは、大神官様同様に若返ったんですね」

「はい、もう腰の曲がった者もおりましたから、あの変化を喜んでおるようです」

 わたしには分かった。喜んで見せることでヨトゥンヘイムの人々が落ち込まないようにしているのだ。あれ以上若返ったら幼女戦士になってしまって瓦礫どころか小石一つ持てなくなってしまうだろう。

「ひとつ聞いていいですか?」

 ロキの肩に止まっていたポチが手を挙げた。

「なにかな、可愛い妖精さん」

「もともと若かった人たちはどうしたんですか? 街の空を飛んでも見かけないんですけど?」

「居なくなってしまいました……若い者が、その年齢以上に若返ってしまったら……」

「存在そのものが無くなってしまう……ということですか?」

「ヨトゥンヘイムの人口は半分に減ってしまいました。減った分だけ半神たちが入り込み、いずれは半神族が取って代わるでしょう。ぶしつけなお願いですが、半神族を駆逐してはいただけますまいか」

「お気持ちは分かりますが、少し考えさせていただけませんか」

 

 思ったのだ。

 巨人族が衰退したのは巨人族が無謀な進撃をしたからだ。いわば自業自得。

 我々が成し遂げたいのはユグドラシルの復活なのだ。特定の種族の肩入れをすることではない。

 

「どこか野営に適したところはないでしょうか、広場では落ち着かないので、我々だけで考えてみたいと思うのですが」

「いやはや、ごもっともです。わたしも、つい余計なことを喋ってしまいました。町はずれにカテンの森があります。野営にも適しております。人を呼んで案内させましょう」

 大神官は、広場の瓦礫撤去をしている少女戦士に向かって手を振った。

 

☆ ステータス

  •  HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
  •  持ち物:ポーション・300 マップ:14 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
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☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

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