大橋むつおのブログ

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銀河太平記・283『ツナカンの北京秋空』

2025-03-03 12:10:48 | 小説4
・283
『ツナカンの北京秋空』 ツナカン 





 入園料の5元払って朝陽公園にいるっす。


 朝陽公園は芝生も池もメチャ大きくていいっす。

 ヒンメルは全長1200メートルの巨大宇宙戦艦で、両舷の中甲板には一周1000メートルのプロムナードデッキもあったっすけど、この朝陽公園の広さと豊かさには勝てねえっす。

 むろん、ヒンメルはいいっす、上等っす。この何十年副長として乗り組んできたヒンメルは、もう自分の一部、いや、自分の延長……ボキャ貧なんでうまく言えねえっすけど、ヒンメルへの愛情は艦長よりも強いと思うっす。

 そのヒンメルを離れて、この北京にいるのは、このツナカン一世一代の大チョンボを挽回するためっす!

 長い航海の慰めにボートレースをやったっす。ココちゃん(心子内親王殿下)を勝たせたくて、みんなココちゃんの2号艇をギンギンにチューンしちまって、かえって事故らせちまったす(-_-;)。1号艇に乗っていた殿下(森之宮茂仁殿下)がブーストかけて救助に向かったっす。

 ココちゃんは助かったっすけど、ココちゃんを救助した1号艇は暴走して光速を超えちまって地球の周回軌道まで吹っ飛んで、漢明の船に救助されちまったっす。

 プロキシマ・ケンタウリbを目指してワープエンジンを起動していたヒンメルは、もう引き返すことができなかったっす。

「自分が責任とるっす!」「待て、ツナカン!」

 船長の制止を振り切って2号艇に乗り込んで、まだエンジンが暖まったままの2号艇はあっという間に亜光速になって地球に戻ったす。

 考えたら無謀なことっす(^_^;)。

 ヒンメルはプロキシマ・ケンタウリbに向けて発進したばかり。いかにパルスギ燃料を焚きまくっても、地球に戻ってしまっては目的地のプロキシマ・ケンタウリbに着けなくなってしまうっす。

 殿下を見つけてもヒンメルを追いかけてプロキシマ・ケンタウリbに向かう手段がねえっす。


 それでも、ツナカン、なんとかするっす! 

 茂仁殿下を見つけるっす!


 とりあえず北京に来たっす。

 漢明の輸送船は殿下を救助して漢明に戻って、船長は漢明政府に身元不明のまま引き渡したと情報を掴んだからっす。

 ……空が青いっす。

 ヒンメルに乗ってると宇宙空間の星空ばっかし、大チョンボをやったばかりなのに、地球の青空は素直にきれいと思ってしまうっす。

 北京の青空……ハンベに打ち込むと『北京秋天』というのが出てきたっす。

「へえ……」

 梅原龍三郎って二十世紀の画家が描いた北京の青空の絵っす……上2/3が青空で下1/3が北京の街っす。とんがり屋根は天壇公園の二層屋根の天壇。それを背景に広がる青空はなかなかっす。

 なんて読むんだろ……ペキンアキテン?

『ペキンシュウテン、と、読みます』

 親切なハンベが呟きを拾って返事をするっす。

 北京終点……そんなふうに聞こえてしまうツナカンっす(-_-;)。


「あら、猫猫(マオマオ)」


 自分の偽名を呼ぶ声がしたかと思うと、芝生の小道を今の雇い主の月城かけるさんが笑顔でやってきたっす!

 

☆彡主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士 
加藤 恵             天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ)     将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶                小姓頭
児玉元帥(児玉隆三)         地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人)          児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 
テムジン              モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人      
森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ               児玉元帥の副官
マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン)   銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁)          西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト)          西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷)           西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平             西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん)    今上陛下の妹宮の娘
劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく)       輸送船の船長  大統領府参与
朱 元尚 大佐           ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった

※ 重要事項

扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 

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