大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・音系MAPに青春をかける高校生ラノベ

2014-04-05 13:54:46 | カントリーロード
音系MAPに青春をかける
高校生ラノベ
       


 間もなく新学年が始まる。でも、多分行けない……。

 それが聞こえ始めたのは、二学期の終わり頃だった。
 現代社会の授業を受けているときに、それは聞こえた。

 プァーン! プァーン! キキー! ガッシャン! ガラガラ……グシャ。

「ワッ!」思わず声が出た。教室のみんながあたしを見た。
「どうした成島?」
「す、すみません。む……虫が飛んできたんで」
 あたしは、居もしない虫のせいにした。

 本当は聞こえていたんだ、あのクラッシュの音。

 高橋先生は、自分達の街を知ろうということで、この街の地図をプリントして授業をしていた。案外市役所や図書館の位置など分からないものだなあとか、中には、自分の家の位置が分からない者などがいて、案外楽しい授業だった。
 
 そのうち地図から音がし始めた。

 最初は、窓から入ってくる街の喧噪かと思った。ようく周りを見渡すと、どうも音源は、あたしの地図だ。最初は、音も微かで、楽しい錯覚ぐらいに思っていた。それが、次第に大きくなり、さっきの電車の警笛と自動車のブレーキ音。そしてクラッシュ! 音からすると車は電車に引きずられグシャグシャになった様子。場所は、街の駅から一つ離れた私鉄と国道の交差する踏切。四階のあたしの教室からよく見える。
 そっと、そちらの方を見てみると、何事もなく電車も車も通っている。

 なんだ、幻聴か。

 あたしは生理が近くなると、不思議な体験をすることがある。気だるく寝っ転がっていてテレビのリモコン取るのも億劫なとき、気が付くと手許にリモコンがきていたり、あ、スマホがかかると思ったら、直後にほんとに着メロがして、ああ、ヨッコからだと思ったら、本当にそうだった。
 で、今度も、それの一種かと気楽に思った。

 その日の下校途中、本当にその音だけでなく、光景を見てしまった。
「ヨッコ、危ない!」
 側に居たヨッコの袖を思い切り引っ張った。直後に自動車の大きな部品が目の前に飛んできた。
 あたしが声を掛けなければ、ヨッコは頭を潰されていた。

 それから、地図=MAPを見ると音がするようになり、その何時間かあと、本当に事件や事故が起こるようになった。

 ある時など、商店街の宝石店に自動車で突っこんで強盗が入り、ガラスケースやら、店の中をグシャグシャにして、ほんの二三分で逃げていく音がした。同時に商店街のアーケード入り口の機械時計が五時の時報を打つ音がした。時計を見ると五時五分前だった。
 あたしは、迷わずに警察に電話した。
「あと五分で商店街のSS宝石店に強盗が車で突っこみます!」

 警察は、すぐにパトカーを走らせ、犯行の真っ最中の犯人を全員逮捕した。

 で、あたしのところにも警察が来た。当然だろう、犯行を予告したのだから……。
 けっきょくは、なにも証拠もないので、お構いなしになった。だけど、世間に知られてしまい、マスコミに晒されるようになった。二三回はつきあったが止めた。結局は変人と思われただけだから。このままではマスコミのオモチャにされることは見えていた。

 そんなこんなで、三学期に入ると、ほとんど学校に行かなくなった。

 世間が落ち着いたので、新学年からは行ってみようかと思ったが、地図を見るとみんなの悲鳴が聞こえた。若い男がナイフを振り回して、誰彼構わず切ったり刺したりしている。ちょうど登校時間だ。せっかく世間が忘れかけているのに……。

 気を取り直して、パソコンのマップをアトラス(世界地図)に切り替えた。

 さすがに、地球規模にすると静かなものだ……突然、ある地点で強烈な光を感じた。視覚で感じたのは初めてだ。直ぐ後に、猛烈な爆発音。これは……核爆発以外にあり得ない。
 あたしは、お父さんを説得して、その日のうちに街を離れた。

 あたしが住んでいる街? それは混乱が起こるから言えません。



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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ書評・隆慶一郎“一夢庵風流記”

2014-04-05 08:22:14 | 読書感想
タキさんの押しつけ書評
隆慶一郎“一夢庵風流記”



これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している書評ですが、もったいないので転載したものです。



新感線の五右衛門を見て、隆さんが読みたくなりました。

 本作は原哲っちゃんの“花の慶次”の原作であります。 一代の傾希者(すきもの)前田慶次郎を主人公にした伝奇物語、何遍読んでも 読み出したら止まりません。
 前田慶次郎っても殆どの方には馴染みがないかもしれませんが、もとの出自は滝川一益の一党、それが前田利家の兄の養子となり、本来なら前田家の家督相続人だったが、主君信長の指図で前田家家督は弟の利家に譲られた為、養父利久の死を持って前田家とは縁が切れる。まるで戦う為に生まれたような人で、数少ない記録からだけでも、その剛勇、想像にかたくない。
 以前、NHKの大河で及川ミッチーが演じとりましたが、全くのイメージギャップ、なんで? と思ったもんです。
 前田慶次郎は記録や残存する旅日記からみて、単なる野卑な武人ではなく、深く広い教養人であった事も間違いありません。

 “カブク”=“反権威”ですから相当の覚悟と腕前がなければかぶけるものではありません。 織田信長にせよ秀吉にせよ一代の傾希者であった事は違いありませんが、その事よりも“天下人”としての評価が先に来て、その視点から見られる為、自由な一個の人間としての評価は二の次になります。その点 慶次郎は浪人を貫いた(最後は米沢藩上杉家の御家人になりますが)ので、個人としての生き様はさらに鮮烈に浮かび上がってきます。
 四代以降の徳川の時代、戦が無くなり、それでも中央集権/幕府の権威を保つ為、無理矢理持ち込んだ儒教による「主、主たらざれども 臣、臣たるべし」なんてな雁字搦めの存在ではなく(…こんな時代には“カブク”なんてな不可能)武士がもっと自由だった時代に生きた傑物のお話。
 恐らく日本人が世界最強の戦人だった時代(世界中の鉄砲の半数近くが日本に有ったと言われています) “
 唐入り”が秀吉の妄想(と決めつけるのは酷かもしれませんが)ではなく、信長が生きていたなら、もっと違う展開やったんでしょうね。少なくとも制海権を奪われるような無様は無かった筈です。  まぁ 繰り言です。武士がまだまだ自由であった時代においても、さらに突き抜けた存在だった男の物語です。“秩序”ってのは有り難いもんで、ルールに従っていさえすれば身の安全は一応保証されるんですが……そんな世界に息苦しさを覚える魂も……特別な存在じゃなく、誰の中にも少しはあると思います。そんな憂さを払ってくれるお話です。



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