大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・34
『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』
☆『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』
このタイトルの小説知ってる人は、かなり斜めの文学通です。青島 幸男(放送作家・元東京都知事)の小説で東京日本橋の仕出し弁当屋を舞台にした作品で青島さん自身の体験記みたいな小説です。
元の言葉は『人間万事塞翁が馬』いう故事です。人間なにが幸いになるか分からへんいう意味です。これが丙午になると、やったことが裏目に出て、いっそう悪なる。そやけど笑い飛ばして生きて行こう言う人間賛歌です。
せやけど、うちらは賛歌とは縁遠い……言うたらバチ当たりますけど。
☆演劇部闘争の余波
前のブログでも書いた通り、うちらの闘争は、学校のその場しのぎのスルーで幕を下ろしました。
うちら生徒はおとがめなしで、顧問の淀先生に顛末書書かせて、学校側は紙屑みたいな勝利を得て面目を保ったつもり。そんで全生徒の学校への幻滅という前世期と同じ、踏んではならない轍を踏みました。
もう、その影響は授業にも現れてます。先週までは一応の規律が学校にはありました。スマホを授業中に触る生徒なんかいてませんでしたけど、今日は机の下に隠して触ってる子がいてました。大半の先生が見て見いひんようにしてます。一人だけ注意した先生がいてました。規定通り、こない言わはりました。
「授業中のスマホは禁止。預かるから出せ!」
先週やったら素直に出した思います。その子は、こない言いました。
「ボクがスマホ触ってたて証拠あるんですか?」
「ゴチャゴチャぬかすな! わしは、ちゃんと見てたんや!」
そない先生が言うと、別の子が言いました。
「その言い方は恫喝や、パワハラみたいに聞こえますけど」
「なんやと……」
で、そこらへんの生徒と言いあいしてるうちに、スマホの子は履歴を消しました。その上で、こう言いました。
「分かりましたよ。履歴見てください、なんにもあれへんから」
スマホ見た先生は、言いようのない顔になりました。スマホは取り上げられませんでした。信頼関係築くのは大変やけど、崩すのは一瞬です。一部の先生除いて、先生とは呼べません。呼ばれへん自分らも悲しいです。分かるかなあ、この気持ち……。痛い心に麻酔打ったみたいです。
授業は静かでしたけど、みんなスルーしました。他の授業もスルーです。べつに反抗やないんです。学校に対しては、そんな気力も残ってません。
「愛の反対は憎しみではありません。無関心なんですよ」闘争委員長が最後に先生らの背中に投げたマザーテレサの言葉が浮かびます。
昼休みに、軽音とダンス部の部長が来ました。
「あの『すみれの花さくころ』て、歌とダンスが入るねんね。あたしらもよせてくれへん?」
びっくりしました。あの芝居は三人だけの芝居です。せやけど、何べんも改訂されて上演されてるうちにミュージカルになったりして、歌とダンスが増えました。音大の学生さんらが演ったときは完全なレビューみたいになってしまいました。うちらも、ささやかに歌って踊ります。伴奏は長曾我部先輩がアコステでやってくれはることになってます。
「あたしらYouTubeで観たんやけど、あれ、演奏もダンスも人数増やしたら、めっちゃデラックスになるで。コンクールの締切24日やろ、間に合うやんか、軽音とダンス部の選抜入れたら100人近いよ。なあ、列組もうや!」
まあ、よかったらYouTubeで『すみれの花さくころ』で検索してください。ラストのレビューは感動的です。
というわけで、正規部員3人兼業部員1人の演劇部が一気に100人を超えることになりました。嬉しいような怖いような。
放課後、顧問の淀先生に報告にいきました(相談やのうて報告です)先生の目が引きつってました。
「あんたらね、コンクールは8000円の参加料の他に部員数だけのパンフ買わならあかんのよ。なんぼになると思てる?」
パンフは一部500円……それに100人以上を掛けると……答えは考えんことにしました。
文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)
『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』
☆『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』
このタイトルの小説知ってる人は、かなり斜めの文学通です。青島 幸男(放送作家・元東京都知事)の小説で東京日本橋の仕出し弁当屋を舞台にした作品で青島さん自身の体験記みたいな小説です。
元の言葉は『人間万事塞翁が馬』いう故事です。人間なにが幸いになるか分からへんいう意味です。これが丙午になると、やったことが裏目に出て、いっそう悪なる。そやけど笑い飛ばして生きて行こう言う人間賛歌です。
せやけど、うちらは賛歌とは縁遠い……言うたらバチ当たりますけど。
☆演劇部闘争の余波
前のブログでも書いた通り、うちらの闘争は、学校のその場しのぎのスルーで幕を下ろしました。
うちら生徒はおとがめなしで、顧問の淀先生に顛末書書かせて、学校側は紙屑みたいな勝利を得て面目を保ったつもり。そんで全生徒の学校への幻滅という前世期と同じ、踏んではならない轍を踏みました。
もう、その影響は授業にも現れてます。先週までは一応の規律が学校にはありました。スマホを授業中に触る生徒なんかいてませんでしたけど、今日は机の下に隠して触ってる子がいてました。大半の先生が見て見いひんようにしてます。一人だけ注意した先生がいてました。規定通り、こない言わはりました。
「授業中のスマホは禁止。預かるから出せ!」
先週やったら素直に出した思います。その子は、こない言いました。
「ボクがスマホ触ってたて証拠あるんですか?」
「ゴチャゴチャぬかすな! わしは、ちゃんと見てたんや!」
そない先生が言うと、別の子が言いました。
「その言い方は恫喝や、パワハラみたいに聞こえますけど」
「なんやと……」
で、そこらへんの生徒と言いあいしてるうちに、スマホの子は履歴を消しました。その上で、こう言いました。
「分かりましたよ。履歴見てください、なんにもあれへんから」
スマホ見た先生は、言いようのない顔になりました。スマホは取り上げられませんでした。信頼関係築くのは大変やけど、崩すのは一瞬です。一部の先生除いて、先生とは呼べません。呼ばれへん自分らも悲しいです。分かるかなあ、この気持ち……。痛い心に麻酔打ったみたいです。
授業は静かでしたけど、みんなスルーしました。他の授業もスルーです。べつに反抗やないんです。学校に対しては、そんな気力も残ってません。
「愛の反対は憎しみではありません。無関心なんですよ」闘争委員長が最後に先生らの背中に投げたマザーテレサの言葉が浮かびます。
昼休みに、軽音とダンス部の部長が来ました。
「あの『すみれの花さくころ』て、歌とダンスが入るねんね。あたしらもよせてくれへん?」
びっくりしました。あの芝居は三人だけの芝居です。せやけど、何べんも改訂されて上演されてるうちにミュージカルになったりして、歌とダンスが増えました。音大の学生さんらが演ったときは完全なレビューみたいになってしまいました。うちらも、ささやかに歌って踊ります。伴奏は長曾我部先輩がアコステでやってくれはることになってます。
「あたしらYouTubeで観たんやけど、あれ、演奏もダンスも人数増やしたら、めっちゃデラックスになるで。コンクールの締切24日やろ、間に合うやんか、軽音とダンス部の選抜入れたら100人近いよ。なあ、列組もうや!」
まあ、よかったらYouTubeで『すみれの花さくころ』で検索してください。ラストのレビューは感動的です。
というわけで、正規部員3人兼業部員1人の演劇部が一気に100人を超えることになりました。嬉しいような怖いような。
放課後、顧問の淀先生に報告にいきました(相談やのうて報告です)先生の目が引きつってました。
「あんたらね、コンクールは8000円の参加料の他に部員数だけのパンフ買わならあかんのよ。なんぼになると思てる?」
パンフは一部500円……それに100人以上を掛けると……答えは考えんことにしました。
文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)