魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
47『ライオンの夢』
声の主は町長だったぞ。
メタボの禿げ頭だけど、気配は生活指導の梅崎に似てやがる。
「気になってサンチャゴの家を覗いたらベアが倒れていた。君たち二人の姿はないし、サンチャゴは寝てるし。サンチャゴが寝てるのはいつものことだが、ベアは倒れているし、先に来ているはずの君たちはいないし。そこでサンチャゴの瞳を見ると、君たちの気配を感じてな。心配になってここまで来たんだ」
「気になってサンチャゴの家を覗いたらベアが倒れていた。君たち二人の姿はないし、サンチャゴは寝てるし。サンチャゴが寝てるのはいつものことだが、ベアは倒れているし、先に来ているはずの君たちはいないし。そこでサンチャゴの瞳を見ると、君たちの気配を感じてな。心配になってここまで来たんだ」
「町長さん、夢の中に入ってこれるんだ」
「めったに使わんが、この程度の魔法はな……しかし、二人合体してZ指定の結界を超えるとは……君の仕業かな、マユだったな、なかなかの魔法使いだ」
「ふふん、そんなアマチュアじゃなねえよ。こう見えても悪魔のハシクレ、魔法でマユには勝てねえぞ」
「……そうだったのかい」
「どうする?」
「やれやれ……」
町長は、ため息一つついて、岩の上に腰を下ろしやがった。
「もう、こうなったら、お願いするしかないな……ライオンが目覚める前に、この夢から出て行ってくれないかい。ミファ、マユ……」
町長は、ため息一つついて、岩の上に腰を下ろしやがった。
「もう、こうなったら、お願いするしかないな……ライオンが目覚める前に、この夢から出て行ってくれないかい。ミファ、マユ……」
「どうして、起きているライオンを見ちゃいけないの」
「……手に負えないんだよ、ライオンは。昔は……といっても、わたしなんかが生まれる前だけどね。ライオンのことは学校でも教えていた。みんなライオンを信じていた……そして、そのために大きな戦争までやってしまった……大勢の人が死んで、島は、さびれてしまった。だから、わしたちは、もうライオンを見ないことにしたんだ、考えることもやめた。いま、島でライオンを見続けているのはサンチャゴただ一人。だから起こすわけにはいかない。君たちに、起きたライオンを見せるわけにもいかないんだ」
「そうなんだ……でもね町長さん。そんなこと言ってたら、あたし達の島は、いつまでたっても今のままよ。あたし達、まだ子どもだけど、任せてくれないかなぁ。ライオンをどう受け止めるか……それは見てみなくちゃ分からないから、感じてみなくちゃわからないから」
その時、ライオンが薄く開いた。
その時、ライオンが薄く開いた。
(((⁰͈꒨⁰͈))) !!
三人、声にならない叫びをあげたぜ。
気がつくと、ミファと二人、サンチャゴの小屋にもどっていた。ベッドの脇にはケットからはみ出たベアの脚がはみ出ていたぜ。
ライオンが目覚めたとき、それは気配で分かった。島の空気が強い力でみなぎったからな。
気がつくと、ミファと二人、サンチャゴの小屋にもどっていた。ベッドの脇にはケットからはみ出たベアの脚がはみ出ていたぜ。
ライオンが目覚めたとき、それは気配で分かった。島の空気が強い力でみなぎったからな。
サンチャゴの目もライオンの目も……井戸の底のように真っ暗だった。でも、今すぐにでも紅蓮の炎が噴き上がってくるような予感をさせる闇で。町長も合体したマユとミファもその底知れない闇に、声にならない悲鳴をあげることしかできなかった。
「わ、わしが、やったわけじゃない(-_-;)」
町長の震えの残った声がテーブルの下からした。町長は少し遅れて戻ってきたんだ。
「わかってるよ、町長さん。わたしも、ただ怖ろしかっただけだし」
合体が解けて、本来の姿に戻ったミファが言った。
マユは表情を読まれたくなくて、窓の方を振り向いた。
ガタン
でも、余裕が無くて横の椅子を倒してしまったぜ。
「ごめん……たぶん、もどしたのは、マユだ。ライオンの目を見るのには、町長は歳をとりすぎてるし。ミファは、まだ幼すぎる。そして……二人を守るには、マユの魔力は弱すぎたんだ。だから……たぶん、マユが反射的に二人を連れて夢から飛び出したんだ」
「ごめん……たぶん、もどしたのは、マユだ。ライオンの目を見るのには、町長は歳をとりすぎてるし。ミファは、まだ幼すぎる。そして……二人を守るには、マユの魔力は弱すぎたんだ。だから……たぶん、マユが反射的に二人を連れて夢から飛び出したんだ」
「そうなんだ」
「サンチャゴじいちゃんは!?」
ミファの声で三人は、サンチャゴのロッキングチェアーを振り返る。
サンチャゴは安らかな寝息を立てて眠っていた。
「こんな安らかな寝顔を見たのは、初めてだなぁ」
「うん……サンチャゴじいちゃんは、ライオンを見ることができたんだもんね」
そうじゃねえ……二人には言わなかったけれど、マユには見えぞ。ライオンとサンチャゴの目の底にあるものを。ミファは怖さのあまり記憶からとんでしまっているけど、もう少し大人になれば無意識に思い出すだろう。マユは、そう思って言わなかったぞ。
そうじゃねえ……二人には言わなかったけれど、マユには見えぞ。ライオンとサンチャゴの目の底にあるものを。ミファは怖さのあまり記憶からとんでしまっているけど、もう少し大人になれば無意識に思い出すだろう。マユは、そう思って言わなかったぞ。
マユの未熟な魔法で、なんとか戻って来て、だいじょうぶかなぁと思ったけど……うん大丈夫。
言い訳めいた大丈夫だけど、サンチャゴじいちゃんの小屋を出て坂道を町へもどるころには安心してきたぞ。ミファの肩から力みが消えていたからな。
ミ、ミファァァァァァァ!
ミファを呼ぶ声が安心をぶち壊すように坂道を駆け上がってきやがったぞ……!
ミ、ミファァァァァァァ!
ミファを呼ぶ声が安心をぶち壊すように坂道を駆け上がってきやがったぞ……!
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- 狼男
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生