魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
45『シーシュポスの岩みてえだ!』
「このままじゃ、終わらないよ……」
言葉の意味は、すぐに分かっぜ。
言葉の意味は、すぐに分かっぜ。
あたりに、ウヨウヨとサメが集まってカジキマグロを狙い始めやがった!
サンチャゴは、モリを構えて立ち上がった。
波に揺れるボートの上で仁王立ちになり、獲物を狙うサメたちを寄せ付けまいと必死の形相だ。
普通の人間なら、あの揺れるボートに立っていることすらできねえだろう。それをサンチャゴはサーファー顔負けのバランス感覚で立ってやがる。
サンチャゴは、モリを構えて立ち上がった。
波に揺れるボートの上で仁王立ちになり、獲物を狙うサメたちを寄せ付けまいと必死の形相だ。
普通の人間なら、あの揺れるボートに立っていることすらできねえだろう。それをサンチャゴはサーファー顔負けのバランス感覚で立ってやがる。
立っているだけじゃねえ、カジキマグロに寄ってくるサメのやつらを追い払ってやがる!
ガシ! ガシ! ドガ!
最初の三匹は、急所の鼻面を一撃にして仕留めたけど多勢に無勢。一騒ぎ終わったころには、カジキマグロは半分近く食いちぎられていたぜ。
「こういうことなんだな……」
マユは、小悪魔らしからぬ気弱さで呟いちまった。
「こういうことなんだな……」
マユは、小悪魔らしからぬ気弱さで呟いちまった。
「まだまだ、これからよ(-_-#)」
ミファは怒りと闘志のみなぎった声で言うと、船縁をギュッとつかんだ。
「これが夢でなきゃ、魔法で助けてやれるんだけどな……」
「これは夢だけど、サンチャゴじいちゃんが言っていた最後の漁よ」
「……じゃ、これはドキュメンタリーなのか」
「うん。なにもかもサンチャゴじいちゃんの話のとおりだもん……ほら」
また、サメの一群が来やがった。
また、サメの一群が来やがった。
ガブガブ! ガシ! ガシ! ドガ! ガブ! ガシ! ガブガブ!
カジキマグロは半分以上食われちまったぜ!
「まだまだサメは襲ってくるよ」
ミファの予想どおり、サメはもう二回やってきて、とうとうカジキマグロを骨だけにしてしちまいやがった。
「まだまだサメは襲ってくるよ」
ミファの予想どおり、サメはもう二回やってきて、とうとうカジキマグロを骨だけにしてしちまいやがった。
しかし、サンチャゴは最後までサメと戦ったぞ。
カジキマグロが骨だけになっちまって、サメも寄ってこなくなると、サンチャゴは、くたびれ果てて船縁に頬を乗せるようにしてくずおれちまった。
え……?
船べりに顎を載せながらも、サンチャゴは海の様子を窺ってやがる……また獲物の気配がして……え、これってループするんじゃね?
あ、また竿を持ちやがった!
シーシュポスの岩を思い出したぜ。
二度まで神を欺いたシーシュポスは神に「そこの岩を山の上まで持ち上げろ」って言われるんだけど、山の上まで持ち上げた岩は、あくる日には音もなく麓まで降りてきてやがる。シーシュポスはまた岩を持ち上げて、また降りてきてを無限に繰り返すって、鬼みてえな罰だ。
鬼は、こんなことはやらせねえ「鬼差別だ!」って怒ってやがったくれえだ。
シーシュポスは心が折れて、死んだ魚みてえな目になって、今でも岩を運んでやがるけど、 サンチャゴジジイ、ここで無限に獲物を獲ってはサメに食われるやがるんだ!
魔法は使えねえけど、見ることはできるぞ。小悪魔の目であたりを探ってみる……。
「あ、水平線に抜け道があるみてえだぞ!」
ゲームの中のヒントみてえにピカピカしてるのが見えたぞ。きっと、別ルートにちげえねえ!
「あ、あそこはダメ」
「なんでダメなんだ?」
「あっちは、よその国の漁場なんだよ。うちの島はね、むかし大きな戦争に巻き込まれたの……で、負けちゃったから、漁場をひどく制限されて……頭の回る大人たちは、よその島に行って雇われ漁師をやっている。うちの島の漁師は優秀だから、どこでも重宝がられてる。あとは、ちょこっとした観光やら、葉たばこ作ったり……だから、島は、年寄りと女子どもだけになってしまったんだ」
「サンチャゴは、そういうのは出来ねえたちなんだなぁ……でも、もう一つの方は?」
「あっちは……(-_-;)」
「あっちは?」
俯いてしまいやがる。
「ミファまでタソガレてどうすんだよ……」
「…………」
言っても仕方がねえ感じなんで、ひとことグチっただけにする。
「それでも、サンチャゴじいちゃんは漁に出た。こうやってリアルに見ちゃうと、こっちまで折れちゃう……」
「でもよ、なんで、サンチャゴを眠らせつづけておくんだ? こんな夢を見続けるのはシーシュポス以上の拷問だぜ」
「そうだよね……」
なんでだよ!?
ノドチンコのとこまで出てきたけど、マユはもう一回吞み込んだぜ。
見てっかぁ、デーモン先生。マユも辛抱強くなっただろうが。
ここは、もう出口がねえ。もう戻るぞ( ' ^ ' #) 。
キリキリキリ
カチューシャが閉まってきやがる!
わ、分かった、もうちょっとだけ居てやっから(>皿<)!
コツン
そのときボートの舳先が、なにかに当たった。
「ん、なんだろう……?」
なにかの先には、まだ海が続いているけど、ゲームのエリア限界にきたように前に進めなくなっちまった。
そのときボートの舳先が、なにかに当たった。
「ん、なんだろう……?」
なにかの先には、まだ海が続いているけど、ゲームのエリア限界にきたように前に進めなくなっちまった。
しかし、サンチャゴのボートは二人のボートを残して、その先に進んでいく。
ジャジャーーン!
すると、目の前に大きなアラームが映し出された。
この先Z指定! CEROレーティング(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)
「なに、これ……?」
「なに、これ……?」
ミファが首をひねった。
「だれだか知らねえけど、この夢に介入してるみてえだな」
「Z指定だったら、あたしたち入れないよ」
「フフ、こんなもの……」
マユが、指を一振りすると、アラームは簡単に消えてしまった。
「え……どうやったの?」
ミファは、マユに聞こうとしたが、マユの姿は見えねえ。
「マユ、どこに行ったの……海に落ちた?」
ミファは船縁から海を見た。すると……。
海面に映っていたのは、ミファでもマユでもない三十過ぎの女だったぜ。
なかなかの美人みてえだ。
海面に映っていたのは、ミファでもマユでもない三十過ぎの女だったぜ。
なかなかの美人みてえだ。
ミファは驚いて、後ろを見て、もう一度海面を見た。その美人は紛れもなく、ミファ。
「……これって、あたし?」
――でもあるし、マユでもある――
自分の頭の中で、マユの声がした。
「マユ!?」
――なんだか無意識にやっちまったぁ。マユとミファを足したみてえだな。すると、こういう三十過ぎのイケたおねえさんになる。三十過ぎだからZ指定は関係なしだ……ちょ、ちょっと、どこ触ってやがんだ(''◇'')!?――
「あたしって、こんなに胸大きくなるんだ!」
――ま、二人分足した姿だからな。どっちの要素で、こうなったか分からねえ。ま、体はミファが動かせ。考える方は、マユがやるから――
「で、とりあえず、どうしたらいいの。もうサンチャゴじいちゃんのボート見えないよ」
――足もとにコントローラーがあるだろ――
「あ、これ……ワイヤレスじゃないの?」
――首からぶら下げんだ。この夢に介入したやつは、ゲーム仕様にしたみたいだから。△ボタンを押してみ――
「あ……!」
水平線に▼マークが現れた。
――その方角にサンチャゴがいる。R2ボタンがアクセル。L3のグリグリが舵だから、がんばれ。ボートが見えたらロックオンの※が出るから、R3で合わせて、押し込む。すると自動追尾になるからな――
「よっしゃー!」
気安く引き受けたミファだったけど、ロックオンまで二時間もかかるとは思わなかった。R2ボタンを押している人差し指がケイレンをおこしかていたぜ(^_^;)。
「よっしゃー!」
気安く引き受けたミファだったけど、ロックオンまで二時間もかかるとは思わなかった。R2ボタンを押している人差し指がケイレンをおこしかていたぜ(^_^;)。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- 狼男
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生