魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
42『ストローハットを飛ばされた!』
「ミファ、サンチャゴにこれ」
ベアおばちゃんがミファに包みを渡しやがる。
気になる包みだけど、ここで聞くのはヤベエ気がしたぞ。ささいな疑問や質問を口にしたとたんに、全部が崩れてしまいそうな危なさがしやがるんだ。
たとえばよ、トランプタワー……って、アメリカの元気なジジイじゃなくて、トランプの札を器用に積んでって、ピラミッドとかビルみたいに積むやつな。ちょっと一枚失敗しただけで全部が崩れっちまうって遊びがあるだろ。たいてい何人もでやって賭けにしてやがる。
魔界でも、いい歳した悪魔のオッサンたちが『エンジェルタワー』って名前つけてやってやがる。崩れたら「奢れえ!」とか、嫌な仕事押し付けたりとかな。
あのエンジェルタワーみたいな感じ。
「その包み、何が入ってんだ?」
港町の狭い坂道を上がりながらマユは聞いたぞ。
「タバコよ」
「サンチャゴの爺さんにか?」
「うん(-_-)」
「だいじょうぶか(^_^;)?」
「うん。もう自分じゃ喫えないんだけどね、これを焚いとくと、サンチャゴじいちゃんはうなされないの」
「爺さん、かなり悪いんだな……」
「うん。もう何年も寝たり起きたり。近頃じゃ、起きてるのは日に二時間ほど。それも起きてるだけで、なんにも喋らないし、面と向かっても視線も合わない……でも、分かるんだ。瞳の奥には、何か訴えかけてくるような光があるから」
「光……」
そこで二人は、坂道の上に出てきた。
そこで二人は、坂道の上に出てきた。
「うわぁ……!」
カリブの海が一望に開け、吹き上げる潮風が心地よく髪をなぶっていく。ストローハットが飛ばされないように反射的に頭をおさえたぞ。「キャ」なんて声上げちまって、その仕草が自分でも可愛くって――こんなのマユじゃねえ!――と戸惑っちまう。
カリブの海が一望に開け、吹き上げる潮風が心地よく髪をなぶっていく。ストローハットが飛ばされないように反射的に頭をおさえたぞ。「キャ」なんて声上げちまって、その仕草が自分でも可愛くって――こんなのマユじゃねえ!――と戸惑っちまう。
「ウフ」
ミファが笑いやがって、ますますオタつくぜ(#'∀'#)。
「う、うわー、すごいね、ここの眺め。100%の海だ( ゚Д゚)!」
わざとビックリして誤魔化すんだけど、ほんとに感動してっから、ますますオタついちまう!
「晴れているときは絶景だけどね、海が荒れたときは、すごい風で、小さい子なんかは、とても通れたもんじゃないんだよ。この道をちょっと行ったとこの岬の先にサンチャゴじいちゃんの家があるの……ほら、あそこ」
ミファが、道の先を指した。三百メートルほど先の岬にくすんだ小屋が見えた。
「お、ミファじゃないか」
潮風に鍛えられた声が間近にして、二人は驚いて振り返った。驚いた拍子に、マユはストローハットを飛ばしてしちまった。
「いや、すまん驚かせてしまったな」
「お、ミファじゃないか」
潮風に鍛えられた声が間近にして、二人は驚いて振り返った。驚いた拍子に、マユはストローハットを飛ばしてしちまった。
「いや、すまん驚かせてしまったな」
「町長さん!?」
「たまには、サンチャゴの様子を見ておこうと思ったんだけど、ミファ、行ってくれるところだったんだね」
「うん、ベアおばちゃんとこで時間くっちゃったけど」
「そっちのかわいい子は?」
「あ、従姉妹のマユ。休暇で訪ねに来てくれたの」
「そうかい。じゃ、わしが行くこともないな。よろしく頼むよ。マユちゃん、帽子すまなかったね」
「いいえ、たいしたもんじゃありませんから(^_^;)」
よそ行きの言葉は口がムズムズするぜ。
「じゃ、わしは、これで。ちょっと日が高くなっちまったけど、漁にに出てみるよ」
「大きなカジキマグロでも釣れるといいね」
「ああ、サンチャゴにあやかってなあ」
町長は、ベアおばちゃんと同じように、瞬間マユの顔を見つめて坂道をもどっていきやがった。
「ねえ、さっきも、そうだったけど、どうして従姉妹になっちまうんだ?」
町長は、ベアおばちゃんと同じように、瞬間マユの顔を見つめて坂道をもどっていきやがった。
「ねえ、さっきも、そうだったけど、どうして従姉妹になっちまうんだ?」
「サンチャゴじいちゃんの家に着いたら話す……ああ、マユ( ゚Д゚)!」
「え……ああ(゚Д゚;) !」
体が透け始めていやがる!
体が透け始めていやがる!
ミファの姿や景色もぼやけ始め、学校のトイレの個室が浮かんできた。だれかに魔法をかけられたとピンときたので、大急ぎで記憶を巻き戻した。
ベアおばちゃんのカフェで飲んだソーダにアラームが点いていた。
――まだ時間がたっていない。間に合う――
マユは、ソーダを飲むところまで戻ってみた。
「大人は世話をしないんですか?」
――まだ時間がたっていない。間に合う――
マユは、ソーダを飲むところまで戻ってみた。
「大人は世話をしないんですか?」
マユがソーダを一口飲んで聞いた。一瞬目が光って、ベアが続けた。
41章の、そこまで戻ると、こう変えた。
「みんなでお世話してるんですね」
41章の、そこまで戻ると、こう変えた。
「みんなでお世話してるんですね」
マユはソーダを飲もうとした手を止めてお愛想を言ったぞ。ベアは一瞬残念な目になって続けた。
景色は、ほとんど学校のトイレの個室に戻っていた。
景色は、ほとんど学校のトイレの個室に戻っていた。
手遅れかと思ったら、青いモヤを吐き出している便器の中から手が伸びてきた。とっさに手を掴むと、もとの坂道に戻された……握った手の主はミファだった。
「危ないところだったね」
「危ないところだったね」
「従姉妹じゃないってことバレてるみたいだな」
「ううん、半信半疑ってとこ。マユが、この世界の人間だったら、ソーダの魔法は効かないから」
「そうか、じゃ、まだしばらくは大丈夫だな」
「でも、ベアおばちゃんまで、あいつらの仲間だとは思わなかった」
「急ごう」
「うん」
二人は、岬のサンチャゴじいちゃんの小屋をめざして足を速めたぞ……。
二人は、岬のサンチャゴじいちゃんの小屋をめざして足を速めたぞ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- 狼男
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生