魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
89『二転三転のトルネード!』
ガン細胞、みんなやっつけた……ぞ。
美優の中でひっくり返るとガン細胞をカウントしていたカウンターが、小数第二位の『0』をヒクヒクさせながら明るく輝きやがる。もう疲れ切って、視界の中にそれしか見えねえ……スクショ撮って落第天使に見せてやりてえぜ……
カシャ
あ、撮れた。
「え…………うそ、奇跡がおきた!」
「え…………うそ、奇跡がおきた!」
「美優……!?」
「わたしの体の中のガン細胞が、みんな死んだ……みたい」
「え?」
「頭の中にガン細胞カウンターが現われて、ヒクヒクしながら0.00が輝いてる!」
「ほ、ほんとうか!?」
「うん、ぜんぜん感じが違う、ガン細胞が居る気がしないよ!」
「よ、良かった! ほんとうに奇跡は起きたんだ!」
二人の大声で、マダムも部屋に入ってきた。娘の最後の瞬間に立ち会ってやりたかったけどよ、新婚夫婦二人だけにしてやろうと、リビングで、じっと我慢をしていやがったんだ。
二人の大声で、マダムも部屋に入ってきた。娘の最後の瞬間に立ち会ってやりたかったけどよ、新婚夫婦二人だけにしてやろうと、リビングで、じっと我慢をしていやがったんだ。
「お母さん、見て! わたし、予定時間を過ぎても生きてる。どこも痛くない、どこも悪くないんだもの!」
「美優……よかった! よかったね!」
「うん!」
「やっぱり、ここはあの人の部屋だったからね、お父さんも助けてくれたんだ」
「そうね、早く死んじゃったから、残った自分の時間をくれたのかも」
あ……マユがやったんだけどな、ま、いいけどよ……
「美優!」「お母さん!」
今度は、母子で抱き合い、黒羽は会長に電話をした。会長の光ミツルも大感激で、明日の『AKR VS OMOKURO』の生放送に美優を誘うことを提案しやがった。
「お義母さんも、いっしょじゃいけませんか?」
黒羽は、そう提案したが、会長と義母のマダムの両方から断られた。なにか二人の間には秘密のタクラミがあるみてえだったぜ。
――くたびれたので、しばらく美優の中にいたまま休憩するぞ――
聞こえるはずもねえんだけど、なんだかシャクで、マユは美優の心に、そう告げて眠ったぞ。体は、もう一体、拓美とクララを足して二で割った仁科香奈というアバターを持ってんだけど、そいつは研究生に応募させて向こうに送り込んであるからな。
――くたびれたので、しばらく美優の中にいたまま休憩するぞ――
聞こえるはずもねえんだけど、なんだかシャクで、マユは美優の心に、そう告げて眠ったぞ。体は、もう一体、拓美とクララを足して二で割った仁科香奈というアバターを持ってんだけど、そいつは研究生に応募させて向こうに送り込んであるからな。
もっともアバターがいくらあっても、考える頭は一つだし、美優のことでいっぱいいっぱいだったし……「無駄なことをやりおってからに」……デーモン先生の声が聞こえてきそうだけど、もう、どーでもいいし。
――どうぞ、ごゆっくり。ほんとうにありがとう――
え?
「え?」
美優は、あまりの感激と、マユへの感謝の気持ちで、半分声になって出てしまいやがった。
正体までは分かってねえみてえだけど、なにかが自分の中で奇跡めいたことを起こしてるものが居るって分かってやがるみてえだ。
「あ、なんだか世界中の神さまにお礼が言いたい気持ちになって……」
「あらら、いつから美優は信心深くなったのかしら」
ウフフフ( ´艸`) アハハハハハ(* ´▢`) ハハハハハ(⌒▽⌒)
母が、そういうと、自分でもおかしくなって、三人で笑いやがる。
神さまはねえだろうと思うんだけどよ、まあ、サタンも堕は付いても元々は天使だ。まあ、良しってことにしておこうぜ。
笑い声は一階の店まで響き、ちょうど出勤してきたバイトのサエちゃんを驚かせた。
あくる日は、文字通り目の回るような忙しさだったぞ。
事務所に集まったAKRのメンバーは、会長から檄を飛ばされ、テレビ局のスタジオに行くまでに、振りやフォーメーションの確認をやった。テレビ局と事務所のスタジオでは尺がちがう。テレビ局のほうが広く、小さくまとまらないように、両サイドのやつは、立ち位置を念入りに確認したぞ。
『秋色ララバイ』は想像以上にすごかった。癪だけどな!
いままで、レッスンを含め、この曲はメンバー以外には秘密にされていたけど、リハーサルで、その全貌が明らかになったぞ! マユのもう一個のアバターも仁科加奈って名前で、けっこう生き生きやってやがる! クソ、ご主人さまがこんなに大変だっちゅうのに。生成AIってやつに文句言う人間の気持ちが分かるぜ!
あくる日は、文字通り目の回るような忙しさだったぞ。
事務所に集まったAKRのメンバーは、会長から檄を飛ばされ、テレビ局のスタジオに行くまでに、振りやフォーメーションの確認をやった。テレビ局と事務所のスタジオでは尺がちがう。テレビ局のほうが広く、小さくまとまらないように、両サイドのやつは、立ち位置を念入りに確認したぞ。
『秋色ララバイ』は想像以上にすごかった。癪だけどな!
いままで、レッスンを含め、この曲はメンバー以外には秘密にされていたけど、リハーサルで、その全貌が明らかになったぞ! マユのもう一個のアバターも仁科加奈って名前で、けっこう生き生きやってやがる! クソ、ご主人さまがこんなに大変だっちゅうのに。生成AIってやつに文句言う人間の気持ちが分かるぜ!
「やるわねぇ……」
最年長の服部八重さえ唸っちまいやがる。知井子なんか口を開けたまま圧倒されてやがる。こら、ヨダレガ垂れてるぞ!
「わたしたちだってできてるわよ。相手がすごいと思えることは、自分たちも同レベルにはできている証拠なんだから!」
「円陣組もう!」
AKRのリハになったので、マユの姿をした拓美は、ハッパをかけたぞ!
「AKR47、この日のためにがんばってきた。みんながんばるぞ!」
リーダー大石クララのかけ声に、みんなが応えやがる!
「「「「「「「「「「 オー!!! 」」」」」」」」」」
特急電車 準急停車と間違えて ボクはホームで吹き飛ばされた♫
特急電車 準急停車と間違えて ボクはホームで吹き飛ばされた♫
二回転ショック♪! ショック♫!!
手にした花束、コスモストルネード! トルネードォー♪!
体中に力がみなぎってきやがる。心配していたフォーメーションもバッチリきまったぜい!
体中に力がみなぎってきやがる。心配していたフォーメーションもバッチリきまったぜい!
ニシシシ(*`艸´)
今度は、オモクロのメンバーが、スタジオの隅で圧倒されていやがる。むろん、圧倒されっぱなしじゃねえ、ルリ子たちオモクロのメンバーの目は燃えてきてやがる……。
「ここまでこられたのは、メンバーもがんばったけど、ロ-ザンヌの衣装もすごかったからだよ。ほら、会長とお義母さんが、ファッション誌の記者にとりまかれているよ!」
「ここまでこられたのは、メンバーもがんばったけど、ロ-ザンヌの衣装もすごかったからだよ。ほら、会長とお義母さんが、ファッション誌の記者にとりまかれているよ!」
黒羽が上機嫌で美優の肩をたたいた。
「…………」
「どうした美優。顔色良くないんじゃないか……?」
「え……ううん。ちょっとスタジオの熱気にあてられたかな」
そういうと、美優は、明るい笑顔を黒羽に向けやがる。
がん細胞撲滅のシグナル、小数第二位の『0』がビリビリ震えてカウントを上げ始めてやがる!
クソォ(╬☉Д⊙╬) !
マユは必死で抑え込むけど、ち、力が足らねえ戻らねえ……『0』は桁を二つも三つも増やしては元の『0』に戻るを繰り返しやがる……このままじゃ、マユの力が尽きたところで爆発的に増殖しちまう……!!
「そうか。じゃ、本番二十分前。そろそろ観覧席に行こうか」
「うん」
「あ、黒羽さん達の席は、そっちです」
クララが、ウィンクしながら、観覧席の中央を指差しやがった。
〈黒羽ご夫妻様お席〉
観覧席の真ん中には、そう張り紙された紅白二つの席が用意されていやがる。
〈黒羽ご夫妻様お席〉
観覧席の真ん中には、そう張り紙された紅白二つの席が用意されていやがる。
「あいつら……」
黒羽が、スタジオのAKRのコーナーを睨みつけると、メンバーたちが拍手したり、口笛を吹いたりして冷やかしやがる。
「アハハ……」
精一杯、幸せそうに笑顔を向けるのが、精神的にも肉体的にも美優には限界だったぞ。
マユは、必死で戦いながら、もう一度美優の心に語りかけたぞ……。
マユは、必死で戦いながら、もう一度美優の心に語りかけたぞ……。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 美優 ローザンヌの娘
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生