魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
79『オーバーザレインボー』
美優は8桁の数字を入れエンターキーを押したぞ……すると、数秒たって親父が画像になって現れたぜ!
『ハハ、見つかってしまったな。もう見つかった……やっと見つかった……どっちだろう? 多分やっとだと思う。美智子のことだから、わたしの部屋はしばらく手を付けないで、そのままにしているんじゃないかと思う。
だから、これを見つけたということは、わたしの部屋を他の目的に使う必要が出てきたことだと思う。どうだい、それも美優が必要になったからだと……当たったかな?
美優は自分の部屋を持っているから、この部屋の使い道は……お母さんを助けて店の手伝い。そして、そんな美優を助けてくれる素敵な男性が見つかったから……お父さんは、そう思っている。 美優は、一人っ子で優しい子だから、きっとそうだと思っているよ。もし違っていたら、腹を抱えて笑ってくれ。
店は繁盛しているだろう。美智子はバブルの時でも下手に仕事を広げたりはしなかった。堅実に店を守り、マスコミ関係の仕事も確実に取り込んでいる。HIKARIプロの事務所移転と拡張にも目を付けている。わたしも、あそこは先物買いとして狙い目だと思う。
ヒカリミツルは奇行の多い人だけど、しっかりした経営戦略を持っている。彼は、芸能界……古いなあ、エンタテイメントの世界に、新しいスタイルを提示してくるだろうな。
話が仕事っぽくていけない。
一つ心配事……お父さんの家系はガンに罹る者が多い。親父も祖父さんもそうだった。まさか三代続くとは思わなかったよ。お父さんの数少ない、でも大きな見込み違いだった。 美優がお母さんの血を多く受け継いでいることを願っているよ。
でも、検診はしっかり受けてな……ええと、このドロシーの胸像の下のロゴに暗証番号……ハハ、ばかだな。見つけたから、これを見てるんだよね。
ドロシーのお下げを両方いっしょに三回叩くと……ほら、『オーバーザレインボー』が聞こえる。これを見ている美優とお母さんが、虹の彼方に着いていることを願っているよ。あ、もし、美優の彼がこれを一緒に見ていたら……二人のことをよろしく。じゃあね……』
そこで、父はバイバイと手を振りやがる。そして……『オーバーザレインボー』がステレオになったぞ。
「こんな男で……こんな事情で申し訳ありません」
そこで、父はバイバイと手を振りやがる。そして……『オーバーザレインボー』がステレオになったぞ。
「こんな男で……こんな事情で申し訳ありません」
黒羽Dが、二人の後ろに立っていやがった。
「英二さん……」
「一応、声はかけたんですけど、無断ですみません。お父さん、素敵な人だったんですね」
「あ……この部屋、黒羽さんに使っていただこうと思って、美優といっしょに片づけていて」
「今度の新曲、勝負なんでしょ!?」
「うん。ありがたく使わせてもらうよ、今週いっぱい。しかし、本当にお父さんは先見の明だな」
「夢ばっかり、思いこみの強い人だったから」
「いいえ、このお店のことも、うちの事務所のことも、ちゃんと見通していらっしゃる。それに、なにより、病気のこと、ちゃんと気にかけていらっしゃって、その甲斐あって、美優ちゃんも、早期治療でこんなに元気になったじゃないか」
「……そうよね。お父さん大したもんだ。ね、お母さん!」
「うん、そうよね!」
黒羽Dが包み込むように美優の肩を抱き、マダムがもう一度ドロシーのおさげを叩くと『オーバーザレインボー』は二周目になったぞ。
美優の命は、あと6日と30分……にしちゃいけねえ。美優の中でマユは決心したぞ。
美優の命は、あと6日と30分……にしちゃいけねえ。美優の中でマユは決心したぞ。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 美優 ローザンヌの娘
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 上杉 オモクロのプロディューサー
- 片岡先生 マユたちの英語の先生