“ほんわか”歯科医

2005年11月16日 | 介護日記 -
素晴らしい歯医者さんに出会った。

こんもりとした山の中腹に位置する“一軒家”の歯科医院。
初めて行く歯科医院である。
「さすがぁ・・・」と言葉がもれる“贅沢に空間を使った配置”の治療スペース。
絨毯の上に、じゃり石を敷いて、緑の鉢植えをいくつも飾っている。
外観も内装も、雰囲気がステキだ。
見ているだけで、癒される。

そのうえに、医療技術が“うまい”・・・ような気がする。
初診なので、まずは面談室に通され、ふかふかソファに腰掛けた。
向かい合って、話をゆっくり聴いてくれてから、治療台に乗る。
(好感度アップ~!)
そして、先週出向いた歯科医院よりも、かなりスピーディに処置を施してくれた。

また、先生は、とにかく優しい。
治療中には、付き添っている私に声をかけてくれて、
「介護は、一人でやっているの?大変だねぇ」とねぎらってくれた。
「介護している人が歯を悪くするんですよ。重いものを持つからね。気をつけてね」
治療が終わった後には、おもむろに父の手をとって、自分の肩につかまらせて、
「ゆっくりで良いからね」と言いながら、ロビーまで促してくれた。
(好感度、またまたヒートアップ~!)
良い先生だ。

そのうえに、つるっぱげ頭で、お顔も大らかで・・・人相が最高に“あったかい”!

今日は、本当に良い歯医者さんに出会った。

「どんなに遅くても、20分以上は待たせません」
そんな張り紙を確認したが、本当に待たされることはなかった。
電話で問い合わせた通り、“完全な予約制”をとっている。
無理なスケジュールは、組んでいない証拠である。
    ちまたの歯科医院は、予約制と言っても、
    30分の間に平均三人の入れ替わりがあり、
    予約したはずなのに、かなり待たされるのが普通である。

同じように時間を割いて、同じ治療代を支払うのだから、
やっぱりこういう豊かな気持ちで帰れる歯科医院に行かなくちゃ・・・ネ!!
いくつも探して、良かった。
インターネットと電話で、“いろいろとあたった甲斐があった”というものである。

今日は、大変な一日だったけれど、本当に嬉しかった。


「父に付き添っていく」ということは、医院だけではなく、看護婦さんや先生など
様々な人の気持ちや対応を、“直截的に感じる”ということである。
耳が聞こえないし、動作もゆっくりでボケっぽいので、きっとイライラするのだろう。
先生のケアでさえ、距離感を感じることが多い。
それらは、あたかも“面倒だなぁ”“分かっているのかい”という言葉を隠して、
“お仕事(営業)、お仕事(お金)”と言い聞かせているような対応である。
思いやりが感じられず・・・私の心の中には、冷風が“すぅ~っ”と吹き通る。
時間がちょっとだけ(ほんの数秒だけ)止まってしまったような感覚である。
私は、すぐに立ち直り、現実をそのまま受け容れるのだけれど・・・
基礎体力の落ちているときなどは、意外とへこんだりもするんだよね(笑)。

だから、今日のような慈愛に満ちた“人間的な対応”をしていただくと、
本当に嬉しかった。

ほんわか、ほんわか・・・・・心が“ほんわか”して、スキップしたい気持ちだった。
「アッタカイ人は、まだまだたくさんいるぞ」と、みんなに言いたい心境だった。
疲れ果てて、荒みそうな“私の日常”にとっては、最高のプレゼントだったなぁ。

「私も、ああいう人になりたいなぁ」と感じると同時に、
できるだけ“ああいう人と接する機会を増やしていこう”と、心からそう思った・・・。