以前このブログで慰安婦問題の解決策は、朝日新聞が慰安婦問題の誤報を英文で謝罪することだと書いたが、私の発言は所詮ごまめの歯ぎしりに過ぎない。だが、私と同じことを考え、それを実行した人がいる。それはケント・ギルバート氏と山岡鉄秀氏(豪州で慰安婦像撤去に尽力している方)である
以下、「月刊WILL 10月号に掲載された『慰安婦問題 朝日新聞の姑息』からの引用である。
朝日新聞は2014年に慰安婦問題に関し謝罪したが、その後も英語版では印象操作を続けてきた。具体的にはComfort Women を次のように定義している。
Comfort women who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War II. (第二次世界大戦の前および大戦中に、日本兵に対する性行為を強制された慰安婦)
文中のforced to provide sex は受動態であるが、これでは誰が強制したのかわからない。しかし、前後関係からして、誰でも「強制したのは日本軍」だと解釈する。したがって、この英語表現は「comfort women who worked in brothels regulated by the military authorities.(軍が規制する娼館で働いていた慰安婦)」とすべきである、というのが両氏の主張であり、去る7月に文書でそのように朝日新聞社に申し入れた。さらに、女性を拉致したという吉田証言が虚偽であり、朝日はその記事を撤回した事実を改めて英文で告知するよう求めた。なお、海外メディアは日本の大手新聞の英語版を引用するから、英語版は非常に重要なのである。
だが、朝日新聞はこのギルバート氏と山岡氏の申し入れを拒否した。その根拠は上記のforced to provide sex という表現は「女性のためにアジア平和国民基金」のサイトの英語ページで使われていること。このサイトは日本の外務省が作成したものであるから、朝日新聞は日本政府の公式見解に基づいて英語表現を作成した、というわけだ。
政府の見解を錦の御旗に掲げるなら、両氏には勝ち味はない。ギルバート氏は「月刊WILL 10月号」に掲載された論考の中で、「本件はこれで一段落となります」と敗北宣言した。
なお、桜井よしこ氏も「週刊新潮」(8月16/23合併号)に掲載された『朝日英字報道は今も慰安婦で印象操作』と題した論考の中で、このギルバート対朝日新聞の論争を取り上げ、朝日を批判している。
https://yoshiko-sakurai.jp/2018/08/23/7590
以下、頑固爺の意見。
慰安婦に関する日本政府の見解は1993年の河野発言がベースになっている。今さら日本政府はその見解を修正するわけにはいかず、これが足枷・手枷になって動けない。だから、民間がやるしかないが、その適任者は当事者の朝日新聞を置いてほかにはない。
朝日新聞が日本を代表する言論機関を自認するなら、国益かメンツかの板挟みになれば、躊躇なく国益を選ぶはずだが、そうならなかった。私は朝日新聞が“腐っても鯛”だと思っていたのだが(多分、ギルバート・山岡両氏も)、残念だ。朝日新聞の発行部数激減は自業自得である。