今ではすっかりジー様になった頑固爺だが、あどけない子どもだった昭和15年か16年に、両親に連れられて沓掛(今の中軽井沢)にある星野温泉に行った記憶がある。といっても、両親から聞いた話がおぼろな記憶とゴッチャになったのかもしれぬが・・・。
今をときめく星野リゾートの発祥地がその星野温泉と知って、一度星野リゾートに行ってみたいと思っていた。そして、たまたま読んだ「辛口評論家、星野リゾートに泊ってみた」(瀧澤信秋著、光文社新書)によれば、「星野リゾートは温泉と旨い料理を楽しむだけではなく、それぞれ工夫をこらしたアクティヴィティに特色がある」という。
そういう観点で調べて、数ある星野の施設の中から、青森屋を選んだ。決め手になった点は、敷地が広大であることと、ねぶた関連のショウがあること。ところが、現地に行ってみると、期待していた事柄についてはすべて想像よりもベターだった。
まず立地。自宅にいても毎朝ウォーキングをするが、青森屋の遊歩道は一周25分と手頃で、大きな池の周囲に高い樹木に囲まれた遊歩道があり、カッコーの声を聞きながら眺望を楽しめる森林ウォーキングは申し分なし。
つぎに劇場でのショウ。美人揃いの踊り子たちが、笛を吹きながら、躍動感あふれる踊りを披露する。舞台装置も大きく、迫力がある。2千円の割り増し料金が必要だが、満足感はそれを補って余りある。収容人数150~200人の劇場は初日に予約がとれず(2泊3日の滞在)、2泊目の晩に席がとれた。連夜満席なんだろうか。
食事も入れて2時間のショウが終わると、大広間で無料のショウがある。これは津軽三味線の独奏と民謡である。
さて、1日目の晩は標準宿泊料金に含まれるバイキング・レストランでの食事だった。帆立貝の炭火焼きなど、地方色豊かなアイテムが揃っているが、刺身は別として料理がやや大味というか、コクがないのは残念(2日目の劇場での料理も同様)。もっとも、他店に劣るのではなく、私が勝手に “星野水準”を高めに設定しただけかも知れぬが・・・。
違和感があったのは、赤い金魚の装飾。写真に見るように、この赤は中国人好みだ。いくら中国人客が多いからといって、ここまで派手にすることはなかろうに。
秀逸なのは大浴場。樹木に囲まれた大きな池に浮かんでいるような露天風呂もさることながら、泉質がネットリしていて、 “温泉”感がある。もっとも、ネットリした泉質が体にいいかどうかは知らぬが・・・(笑い)。この泉質は青森屋のキャッチコピーに書いてない。もっとPRしてもいいのではないか。
青森屋を採点すれば85点。不満な点もあるが、総合すると満足度がかなり高いということである。