戦争が終わるまでは、韓国では日本の天皇を「天皇」と呼んでいたはずだ。それがいつしか「日王」と呼ばれるようになった。では、いつごろから「日王」が使われるようになったのか。そして、なぜ「日王」と呼ぶのか。その答えが6月15日付の朝鮮日報に書いてあった。
日王は最近30年間で新たに生まれた韓国語だ。北東アジア歴史財団韓日歴史問題研究所のナム・サング所長は「世界の中でも韓国だけで使われている言葉だ」と話す。米国でも中国でも台湾でも東南アジアでも使わない。
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日王という言葉は1989年前後に広まり始めた。独島(日本名:竹島)問題、慰安婦問題、教科書歪曲(わいきょく)問題が相次いで浮上した時期だった。
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ソウル大学のパク・チョルヒ教授は「日王という単語は、正確に言えば『メディア用語』だ」と話す。この言葉は学者が論文を書く時に使う言葉でも、外交官が外交をする時に使う言葉でもない。韓国人が日本人と話す時に使う言葉でもなく、韓国人同士が韓国語で韓国メディアに文を書く時、「私は親日派ではない」ことを示す時の言葉だ。
韓国人にとって、天皇はつらい記憶を呼び起こす言葉だし、話にならない言葉でもある。一国の君主が王(king)であり、複数の王を従えた君主が皇帝(emperor)だ。日本は20世紀初頭の数十年間を除き、帝国だったこともないのに、古代から自分たちの君主を天皇と呼んできた。
それでも、真摯(しんし)に考えなければならない時が来た。大統領は日王を天皇と呼ぶのに、メディアは天皇を日王と書く。おかしくはないだろうか。
要するに、「日王」という用語は1989年ごろから使われるようになり、「親日」ではないことを示す目的があるらしい。
下線の部分も釈然としない。“王は皇帝の支配下にある存在だ”という概念は中国を中心とするものであり、その定義に従えば、「天皇」という言葉は正しくないというわけだ。つまり、未だに中国の華夷秩序を引きずっている。
それは韓国人の勝手だからいいとして、韓国人も日本の呼称をそのまま使うのが外交儀礼だと思うのだが、それでは彼らのプライドが許さない、ということだろう。それでも、「日王」と呼ぶのは儀礼的にはおかしくないか、という機運が生まれたことは喜ばしいことである。
いつから「天皇」を「日王」と呼ぶようになったのか、という命題に関して、「韓国『反日フェイク』の病理学」(崔碩栄著)は“昭和天皇の崩御以降である”と述べている。それだと、「日王」が使われ出した時期はわかるが、なぜ昭和天皇の崩御と結びつくのか理由がわからない。崔碩栄氏は、たまたま世代交代期に当たっていたからで、新しい世代の方が反日度が高いからだ、と説明している。
頑固爺の所感
韓国では漢字を廃止したから、朝鮮日報(他の新聞でも)の韓国版は、「日王」は“イルワン”という発音をハングル文字で表示しているはずだ。「天皇」の韓国語による発音は知らないが、「天皇」の韓国語の発音をハングルで表示するのだろう。つまり、「天皇」の漢字を知らず、その発音だけで認識しているわけで、それだと「天皇」の威厳が感じられないのではないだろうか。
日本人は、「テンノー」という発音を聞けば、頭の中に「天皇」という漢字を思い浮かべ、尊崇の念を抱く。一方、韓国人は発音だけで認識しているから、「テンノー」と聞いても尊崇の念どころか、威厳も感じないだろう。
つまり、彼らは言葉の文化的・歴史的背景を知らず、「イルワン」とは単なる「テンノー」の侮蔑語だと思っているのではないだろうか。まぁ、それで彼らの気が済むなら、それでいいけどね。(笑い)