Goo・ちょき・パーで、なに作ろう!

定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

ナイフづくり後編

2009年10月25日 13時31分56秒 | Weblog

前編より続く~

一方、取っ手の材料のブビンガ木が届いた。

取っ手の大きさに切った2枚の板に、ナイフの左右面の模りを行い重ねる。




糸鋸でそれを切り出すのだが、直線部分は快調、しかしカーブ部分で変によじったために、糸鋸の刃を折ってしまった(ゴメンナサイ)

切り出したブビンガ板の取っ手で、ナイフを挟んでみると、またまた”らしく”なった。

綺麗に洗って、次の作業は乾きを待つのだが、接着とヒルトピンの取り付けは、名人仲間の”スキンヘッドさん”に任せた。 さて、ブビンガ板の接着とヒルトピンの取り付けが出来上がったので、磨きだし作業。刃は既に切れる状態なので、厚紙新聞紙で鞘を作ってのベルトサンダーがけ。ナイフの金属部分までブビンガ板を削り込む。

ナイフの金属部分に当たると火花が散るので、止めどころは分かる。取っ手は握り心地に合わせて、シンメトリー(対照)ではない指のかかりに合わせて大まかに削り込んだ。 すでに9月に入っていた。後はまたまた、SPでの磨き作業~今度は取っ手のブビンガと真鍮のヒルトを磨く~10月はほとんど磨き作業が続いた。

取っ手のブビンガとヒルトの磨きが終わると、鞘を外してナイフも磨く~シノギ(横っぱら)には、焼入れ時の酸化皮膜があり、さび止め効果があるので、そこは磨いてはダメなので、ガムテープやセロハンテープでマスクして磨く。

1000→1200→2000番と粒子を小さくしていき、1200番くらいで、綺麗な波紋(鋼のサンドイッチ)が、鬼の洗濯板(宮崎県青島の地層断面)みたいに浮き出てきて、2000番では顔が映り、ヒゲが剃れるようになった。(笑)

磨きだした鋼の波紋は本当に綺麗だ~しみじみと眺めていると、仲間から『なんか、ニタニタして、危ない人みたいですよ~』

~『う~ん、芸術だ~!』って、答えた(笑)

この日は完成も近いとあって、”スキンヘッドさん”と、皮製のホルダーのデザインを検討し、作成を依頼した。

さて、早くも10月となった。夜な夜なの自習磨きにも徹したので、自分的には完成していた。~先週は台風来襲予想で早々の中止だったので、この夜は勇んで出席した。気持ちは早まり、準備よろしく次の作品のために調達していた”鹿の角”まで携えて~

依頼していた、ナイフホルダーも牛革で、しっかりしたものが出来ていて、満足。ナイフをホルダーに刺して、完成を実感していたところ~”岡秀”名人の~

『切っ先が、甘い!やり直し!』の一言で、次の作品計画もすっ飛んだ(泣)

水砥石で削られて、あのピカピカの切っ先は、またザラザラに戻った~

しかし、うまい具合に尖った切っ先が出来た。

その夜は、それをサンドペーパーで、240番→800番→とひたすら磨いた。

切っ先だけでなく、刃渡り全体まで磨かないと段差がでるということで、すべての刃渡りを磨きなおし~内心『ひえっ~』である(泣)

『名人は切っ先が丸いことは、ずっと前の工程で知っていたはずなのに~どうして完成の今になり、やり直しさせるの?!(泣)』とブツブツ思いながらも、黙って磨いていた。

チラチラ様子を見に来る名人と目が合うと、『最初に妥協させると、これから(複数作っていくとなれば)は、どんどん妥協が出てくる~一番最初の作品をちゃんと作らんといかん!』と、言っては、過去の優秀な生徒の事例話をひときりして、別の生徒の指導へ。

800番を終わったところで、切っ先で新聞紙が綺麗に切れるようになった。

また、晩酌しながら、手を黒い金属粉に汚しての、夜な夜なの”刃物研ぎ”をした。

1000番→1200番→2000番の仕上げ、シンチュウ製のヒルト(鍔:ツバ)の磨きなおしも終わって~11月を前にして完成した。


さ~て、すでに思いは次の作品に馳せている(笑)


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ナイフづくり:前編

2009年10月25日 13時15分25秒 | Weblog

平成21年6月3日水曜日。さ~て、いよいよ念願のナイフ作りに入った。包丁の完成も待たずして気持ちは早まり、ナイフのデザインを厚紙にしていた。

先生方や、仲間たちは『デカ!槍を作るとか!』『ちょっと、危ない人じゃないですか~』って口々に言い出す(笑) 初心者ではあるが、初心貫徹『デカイ、ナイフ!』が目標だったから、1センチも短めるつもりは無いのだ! 名人が、デザインにマッチした

 

 

鋼材を準備してくれた。

   

さっそく、焼き釜に差し込んだ。久しぶりの機械ハンマー~適温になるまで、ペダルを踏んで、空打ち練習し、感覚を取り戻す。 名人指導『今度はナイフだから、刃渡り18センチなら、13センチ位の鋼材部分を伸ばして、18センチにするつもりで打たやんバイ~先ばかり打つと伸びらんで、シャモジになるから、手前から打って先に延ばすように~』 適温に焼けた~、ペダルを踏んだ、『カンカンカン!』ハンマーはリズム良くたたき伸ばしている。FUFUFU~うまく行っている~と思いきや。


『手前から先へ、手前からさきへ~、刃・刃!~ただ延ばしていたら、刃はつかん!刃の側がこっちなら、鋼材の半分だけに、ハンマーを落として、薄くしていく~手間から、先に~手前から、先に~、延ばして延ばして!~もう冷えてる!~焼いて!』


ってな調子で、金属の差し棒で場所を支持するから、やはり緊張。3回くらい焼いて叩いて延ばして、形が出来ていった。 今度は、日本刀のような切っ先の整形。これは、金床の上で、ゲンノウを使っての作業になる。 名人指導『ミネとシノギ部分は、ゲンノウの平らなところで叩いて、まっすぐ平らに綺麗にして~切っ先は、包丁の取っ手部分を尖らせた様に、金床のこの丸い角を使って、尖らせる~』


『ハイ叩いて~トントントントン、返して、ヤットコの持ち方が逆!トントントントン、返して~、切っ先!~ゲンノウは斜めに打たんと尖らんばい~』ふう~!~指導があるときには、息をするのを忘れていた自分に気づく。


名人は交代して、出来を検査!『う~ん、まあ、良かか!』と言いながらも、結構打ち直して仕上げてくれた。 刃渡り約20センチ位のナイフの原型が出来た。しかし、冷えたところでディスクカッターで、18センチくらいに切断された!


理由は、取っ手の部分まで鋼材を使うと、全体で30センチも使うので、高価な鋼材節約の為に、刃渡り部分を切り出し、取っ手部分は、普通の軟鉄を溶接で継ぎ足して30センチのナイフにするとの事。~そういうもんかと従うしかない。って言うか、返事するまもなくもう切られている!


次回では、鋼と軟鉄が溶接されて出来上がっていた。

グラインダーで大まかに出っ張りを取り、綺麗にしたら~80番のSPで磨き作業。


そしたら、次は水砥石で全体をぴかぴかに磨いた~では、さっきの80番のSPで磨きしなのは何?どうせ水砥石で簡単に磨くんだったらSPでの磨きしなくて良かったんじゃ?という疑問が出てきた~?名人も作業工程を間違えるのかな?って事は何度かあった(笑)



毎回、入門生徒が3~5人居て、それぞれ作業工程が違うので、指導に手が回らない時には、SPで磨きの時間調整~って事か?と、”放置プレイ”の意味がわかると、SPがけには突っ込まなかった(笑) 次は、刃をつける前の、ヒルト(ツバ・鍔)と、取っ手部分の製作に入った。

分業体制かどうか分からないが、今度は1キロくらい離れた、名人仲間の工房に移動して、ヒルトがはまる部分の削り込み、真鍮(シンチュウ)の棒から、ヒルトの切り込みと切り出し、ヒルトを留めるヒルトピン(真鍮棒)が入るところの穴あけ~取っ手の材料はブビンガ木(東南アジア系の硬い木)を使うが、それを留めるための穴あけ作業をした。これらの作業は、刃をつけると危なくて出来ないので、今、やっておく工程とのこと、納得。


季節は8月、この工房の蚊の多さにはマイッタ!その名人仲間はスキンヘッドで、頭に蚊が入れ替わり立ち代り止っている(笑)でも、叩いてやるわけもいかず、後ろでジッと見ていた(笑) 出来上がったヒルトをナイフにヒルトピンで留めると、ナイフらしさにいっそう近づいた。

 
ここまで来て次は、焼き入れ工程。包丁のところでも説明したが、鋼は1気圧で、鉄の純度100%の場合には、911℃~1392℃の温度で、オーステナイト組織になり、これを水中または油中で急冷すれば、マルテンサイト組織の非常に硬くて脆い層組織に変化する。 これまでの焼きの回数は、包丁よりも少なかったから、炭素量は0.3%以上はあるだろう~『脱炭素』にはなっていないと期待できる。今回もこの焼入れ作業は、名人の手によって行われた(泣)  さて、マルテンサイト組織になったナイフを水砥石で研いで刃をつけた。もう、振り下ろせば木でも切れる状態。  

それからしばらくは、ずっと磨きの週が続いた。水砥石の80番の磨き傷が入っているのを消し去り、顔が映ることが目標!この作業は、指のスライスが出来る、危険一杯の作業!~小さいゴム板や板にSPを巻いて、指を当てないように注意。それでも、何100回もSPを滑らすのだから、角度を油断するとSPはすぐ短冊になる~幸い怪我はしなかった。 8月は殆ど磨き作業、80番から始めて、120→180→240→600番まで進めた。

ある夜、パチンコ屋に止めていたら、『無断駐車、1万円の罰金』の張り紙~無視をして気にしなかったが、次回から、コンビニに駐車するようにした。


1ページ10000文字以内の制限のため、後編へつづく!





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