2015年3月
3年前、今の職場に来た時、一つの課題が、自転車の整備でした。
研修生の農作業の実習時には、自啓館(ジケイカン:教室)からほ場(農場)まで長靴で歩くと10分程度かかるので、移動の迅速化のためにと、自転車を計画的に増やしてきたのです。
お金はありませんから、毎年の卒業生(学生)の退寮時に、自転車が寮の自転車小屋に放置されているものが出ますので、担当の先生と相談して、不要な自転車を貰って、自啓館に移動設置してきました。
この中には、部品や、シート・タイヤ取り用に、整備費を浮かせる目的の自転車も含まれていました。
設置台数の最大目標は、実践農業コース30名分の30台でした。
台数の確保は出来たものの、中古自転車なので、パンクが多い~ところが、研修生で自らパンク修理等をすすんでやろうという者はなかなか現れませんでした。
そんな訳で、この3年間、自転車屋さんのごとく時間を見つけて行ったパンク修理・タイヤ交換・スタンド取り替え等は、延べ100台、200箇所くらいはゆうにやったでしょう!
修理代20万円くらいは貢献したかな?
さて、人を育てる事はこんなところでも試されるものですが、『パンク修理を面倒がる者に、これから自分の農機のメンテナンスが出来るもんか!パンク修理くらい自分でせえ~!』を口癖にしたいと思います。
次年度の目標は、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』の環境づくりとして、研修生が自分で出来るよう演習時間も確保する事にしました。(新年度異動がなければ僕が直伝で教えます!)
居なくなる事も想定して、修理道具箱・パンク修理マニュアル『自転車のパンク修理手順!』を作りましたので紹介します。
タイヤの空気が抜けていても、100%パンクとは限りません。パンク修理にかかる前に先ずは、バルグチ(口金バルブゴム:虫ゴム)を点検します。
劣化して破れている時には、虫ゴムセットから出して交換するか、チューブ式の長いゴムを適当な長さに切ってはめます。
かたいので、挿入テクニックは、ツバを付けて滑りを良くすることです。
パンクと判断した時には、レンチを使ってナットを弛めて、外します。
無くさないように、決めた場所に置いておきます。
次は、3本セットの外し具を使って、タイヤを外します。最初の1本は、タイヤを親指で押さえリムに隙間を作り、そこに丸い方を突っ込みます。反対側をぐいっとスポーク側に180度回転させ、スポークにカギ型部を引っかけます。2~3本目は10cm位離したところで同様にはめてタイヤを外していきます。
最初のか3本目をスポークから外し、ぐるっとリムに沿って回すと、タイヤが離れます。この時、中のチューブを引っかけて破らないように注意します。
空気入れ部を押し込み、チューブを引き出します。空気を50%位入れて、洗面器に水を入れ準備しておきます。
水に沈めて気泡の出る所を見つけます。余りパンパンに空気を入れると、次のパンク箇所を探すのにチューブを回す事が出来ません。また、パンク箇所は1箇所とは限りませんので、備え付けの洗濯バサミで印をしておきます。
良くあるのが、釘等がタイヤに刺さったままの場合があります。
パンク箇所をタイヤにあてがい、その場所に釘が残っていないか内外を確認します。
パンク箇所を探す時には、洗濯バサミが外れないように、チューブをずらします。パンク箇所を備え付けのサンドペーパーで磨きます。木片や堅い物に巻いて擦るとやりやすいです。
ゴムノリには、チューブ入りと缶タイプがあります。缶の場合、蓋をドライバー等で開けます。また、布施用のアテゴムは、丸と楕円の2種ありますので、破れ等の大きさによって使い分けます。アルミ箔を剥いで、ゴムノリを均等に塗ります。
ゴムノリは、天候次第ですが、3~5分乾かします。その間、風で飛ばされたり、ゴミが着かないように注意します。湿度が高いと乾きにくく、低いと乾きが早いです。
表面が乾いたら、破れ穴部を中心に被せて、プラスチックハンマーで、中心から外部、縁に向けて軽く叩き圧着します。
ビニール皮膜を剥ぎます。空気漏れがないか、再度水につけて確認します。気泡が出ないなら成功です。
特殊なパンク(パンク箇所が連続的に繋がっている・チューブの劣化・ひび割れが繋がっている)などの時には、備え付けの廃棄チューブを長く切って、同様に、チューブ側も、布施ゴム側もサンドペーパーで磨き、貼り付けます。
次に、チューブをタイヤに戻しますが、ペタンコのチューブよりも、少し空気が入っていた方が、入れやすいと思います。口金部分から、ぐるっと入れていきますが、老化したチューブは伸びて余りが出てきます。その余りを均等にしわ寄せ調整します。一箇所にしわ寄せすると、ねじれ・くびれの『腸捻転』を起こしますので、この作業は大事です。
チューブを全部入れたら、タイヤをリムにはめ込みますが、チューブを挟み込んだりしないように少しずつ360度はめます。
最後になると堅くなるので、外す時に使った外し具を使って、コネ入れます。ナットを締めて空気を入れます。
空気入れは、いきなり100%を入れるではなく、70~80%で、いったん止めて、360度、こっちと向こう側のタイヤを観察します。
チューブの挟み込みや、腸捻転等があると、リムとタイヤのズレや、飛び出た膨らみ『脱腸』が起こります。その様な箇所が無いかを点検し、異常がなければ堅い位にまで、空気を入れて完成です。
ゴムノリ缶は軽く叩いて蓋をし、ひっくり返して缶の中にゴムノリのパッキンを作ります。少々不完全な蓋でもパッキンのみの固形化で他のゴムノリは救われます。
パンク修理のついでに、注油箇所やブレーキの点検も行います。使った道具を点検し、元の箱に戻し収納します。
自転車のメンテナンスには、パンク修理だけではなく、タイヤ交換も出てきます。
前輪はたいしたこと無いのですが、後輪は、ギア付きやブレーキシュー部分とか複雑になりますので、こちらのブログであらかじめ手順を勉強して取り組んでください。
関連:『自転車後輪のタイヤ交換』
http://blog.goo.ne.jp/saisyohagoo_1959/e/c18b5ea081c7333a3d84219359743330