2020年10月20日午前
今日は火曜日。
熊本農大新規就農支援研修生の実践農業コースは休みですが、彼らの希望で『チェーンソー教室』を開催しました。
農業(特に中山間地・兼林業)では、チェーンソーを扱う場面も多く、『ぜひとも習っておきたい!』 3分の1の11名の有志の要望に応えての臨時研修となりました。
講師は、農業機械の嘱託職員のK先生。
たぶん参加者のみんなは、エンジンのかけ方とかで始まると思ったでしょうが・・・。
基本的なエンジンの構造と特徴からの講義で始まりました。
2サイクルエンジン・利点欠点・燃料の混合油の働き・・・
機械の構造や理屈が分からないと、不調な時も、メンテナンスも勘所が分からないというものです。
”急がば回れ” は大事な事ですが、独学は難しくこんな勉強会は有意義です。
さて講義が終わり、いよいエンジンをかけるか・・・?と思いきや、先ずはばらしての掃除・メンテナンスです。
これで、具体的な駆動の仕組みを見ることが出来ます。
それぞれ持ち寄ったチェーンソーのサイドケースを開けて、内部を掃除しました。
ガイドバー取り付けナット・スプロケット・クラッチ・ロックレバー(ブレーキ)・ソーチェーン・ソーチェーンオイル吐出穴の確認・・・・・。
持ち寄ったものの中には、初めて開けるという人も居て、おが屑のオイル塊で詰まっているものもありました。
構造が分かったら、汚れの塊を綺麗に欠きだし、ガイドバーの溝を、金切りノコの折れたもので掃除し、プラグ掃除から放電確認・・・・で掃除と構造を理解しました。
機械庫の外で、コンプレッサーで吹いて積年のゴミや汚れを吹き飛ばしました。
そこまで終わると、誰もが経験する『リコイルスターターのヒモが切れた場合の交換の仕方』です。
ホワイトボードに巻き取りバネと巻きヒモの関係、遠心力により広がる引っ掛けフックの働きを丁寧に説明してもらいました。
刈り払い機や管理機でも共通の知識です。
ただし、リコイルスターターのバネが飛び出すと大変です。
これは飛び出した場合の、元のように収納する巻き方(治具チグ・道具作り)まで習いました。
今度は『目立て・ヤスリの正しいかけ方』です。
ヤスリへのチョークによる油とりから始めます。
新品のヤスリならともかく、数回使っていると必ずオイルが着いてしまい、ヤスリ掛けしても潤滑油となり、上手く研げなくなります。
その様な時には、チョークを塗り主成分の 炭酸カルシウム で油分を吸い取ってもらい、食いつきを良くするという方法です。
『刃を動かない様に固定し(いっぱいに張りブレーキを掛けておく)、正しい径のヤスリを先のヤスリの無い部分から入れ、角度は一般的には30度で、横に8割、下に2割の力配分で水平に掛けていきます。
また、始点の刃にはマジック等で目印をして始めて、1つの刃を5回なら5回と均等回数で1周します。刃先の上の方を指先で撫でてみて、バリが出ていたら研げている証拠です。
終われば、向きの違う刃を同様に1周します。』
『また、切れる刃の隣の出っ張りが(デプスゲージ)です。長く使っていると刃が短くなると共に、相対的にデプスゲージが高くなります。こうなると切れないデプスゲージが先に当たり、全く切れなくなります。(デプスゲージ・ジョインター)という器具がホームセンターにありますので、それを当てて、約0.6mm低くしておきます。』
目立て講義が終わると、一斉にそれぞれの作業台で目立てに取り掛かりました。
丁寧な講義と実習であっという間に時刻が11:30になってしまいました。
いよいよエンジンを掛け、切断となりますが、ここでソーチェーンの張り方・キックバックの危険性。もしもキックバックで跳ね上がっても、自分の顔や頭を切らない様にバーの位置を右肩側にすること。
立木伐採の場合には、倒す方向の受け口の楔形の切込み、その反対側の5cm上の位置からの、追い口の切込みの仕方を習いました。
いよいよエンジンをかけて、準備した木の試し切りです。
綺麗に切れています。
これは桜の倒木で、薪ストーブの燃料にと貰っている大径木です。
クサビを撃ち込み割るために、研修生にクサビの追い口を切ってもらおうと前日のうちに準備していました。
良し良し!もっと切り込め!
研修計画には無い『チェーンソー教室』でしたが、知りたい人にはためになったと思います。
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