2021年9月上旬
私としたことが、刈り払い機のエンジンを焼き付かせてしまいました。
原因は、ホームセンターで買ったコレに踊らされたのです!
『高性能2サイクルエンジンオイル 100:1でもOK!』
慌ただしく柿園の下草狩りに来て、『エンジンの調子が良くなる!』なんて信じて100:1の混合油を入れたものの、ものの1分でストップし、結局その日は出来ませんでした。
日頃メンテナンスしていての急死ですから、原因は予想出来ました。
『混合油しか考えられない!』
実家に帰って、リコイルスターターを引くも、ビクとも動きません。
(完全に、ピストンがシリンダーに焼き付いている!)と分かりました。
(これから下草狩りの時期なのに、新品を買うなら4~5万円の出費か!時間もあるし、やってみるか!)
と、軽トラックの荷台を手術ベッドにして、ばらし始めました。
分解作業のマイ鉄則
①部品を取り付けているネジ類は、ひとまとめに置く。
②バネ類が仕込まれている部分は、小さな部品の飛び出しに注意・慎重に開ける。
③電線の色・オス・メス、バスケット類の裏表・対称部品の左右側、外す順番と、組み立てる順番は逆であるから、メモ・写真記録を残す:記憶は過信しない。
④分解した部品を放置する場合、防塵の布を掛けておく。
雑然とした配置ですが、一応鉄則に従っています。
焼き付いたピストンをシリンダーから抜くのには苦労しました。
金槌でガンガン叩くわけにはいきませんので、潤滑スプレーをして、木の棒を介して叩いたり、プラグを外した穴からピストンヘッドを叩きます。
辛抱強くやっていると、カクッと動き出し、ピストンを引き出せました。
案の定、オイルが焼き付き、ピストンヘッドもバーベキュー後の鉄板です。
ピストン側面には、擦り傷も見えています。
まあ、こんな時修理工・メーカーさんなら『あ~あ、こりゃもう駄目ですね。ピストンが傷だらけです。これを磨いたり、ピストン・シリンダーをペアで部品交換すると、工賃含めて、新品より高くなりますよ!』
シリンダーヘッドの内側には、炭化した煤が固形化しています。(多分、積年の!)
左から、発電機(ダイナモ)、キャブレター継ぎ部分・真っ黒なプラグ。
部品が多いと訳がわからなくなります。
重宝するのが、海苔やセンベイの入っていた四角い缶の蓋です。
トレー代わりになり、この浅さが良いです。
ちなみに敷いている布(ウエス)は、肌着的布地が良いです。
古いタオルが身近ですが、基本的に毛羽立たない綿の布地が最適です。
さて、いよいよ綺麗にしていきます。
時間は夜なべしないとなさそうです。
先ずは、風呂場で洗剤洗い出来るエンジンカバーです。
誰の刈り払い機でも真っ黒に汚れていて当たりまえの内側ですが、歯ブラシで小さな隙間を丁寧に擦り、綺麗になりました。
エンジンのピストンやシリンダーは、洗浄溶液として灯油を使っています。
洗い桶に灯油(汚れをバスタオルで漉してリサイクル)を注ぎ、夕食の間漬け置きしておきました。
ワイヤーブラシを突っ込んで、しつこい油を落としますが、エンジンはアルミニウム合金ですので、鋼製ワイヤーは傷を作り密閉度を下げますので、程度を見図ります。
シリンダーのフィン(放熱板)は、故障には関係ありませんが、この狭い隙間にも、積年の汚れが詰まっていました。
綺麗にして放熱効果を高めます。
シリンダーヘッドの燃焼室です。
圧縮された混合気がスパークにより爆発して、燃える部屋に固形化した煤をルーターの回転ブラシで綺麗にしました。
ここは圧縮には関係のない部分ですので、結構強く磨きました。
夜なべ2日目くらいです。
排気のマフラー側も光り出しました。
4サイクルエンジンは、①吸気 ②圧縮 ③燃焼 ④排気 の工程(ピストンが2回往復して1工程)ですが、2サイクルエンジンは(ピストンが1回往復で1工程)、吸気と排気を同時にやっています。
(回転が2倍近くの高速回転が可能になる)
その吸気と排気の溝がハの字に対面配置になっています。
圧縮の密閉度を左右するのが、この圧縮リング(コンプレッションリング)です。
輪っかの切れ目を開いて、ピストンに着いた2つの溝にはめます。
ピストン側は厳密にはシリンダーと接していないので、ピストンの傷は致命傷ではありませんが、シリンダー側は圧縮リングと接するので、傷の程度では諦めなければなりません。
今回は、そこを見て大丈夫だろうと取り組みました。
コンプレッションリングも慎重に汚れを落としました。
これはハズミ車(フライホイル)のフィン(空冷式の風を送る扇風機の羽です)
せっかくですので、ルーターの回転ブラシを突っ込み、ここも綺麗に磨きました。
綺麗になりました。ピストンに少し傷が見えますが、これくらいの傷は大丈夫でしょう。
2回目の夜なべは、プラグキャップの中にある電極を磨き、終わりにしました。
2021年9月中旬
楽しみにしていた連休が、親戚の通夜・葬儀で吹っ飛びました。
それが終わってからの組み立てです。
先ず、コンプレッションリングをはめました。
これはクランクケースとシリンダーの接合面のガスケットです。
新品交換で左右対称なら裏表は関係ないのですが、そのまま使う場合裏表の間違いは、微妙な隙間を作る事になりますので、ガスケットにうっすらと残った凹型の形を頼りに、裏表を判別します。
これは、シリンダーにピストンを突っ込む前の写真です。
専門家でもありませんので、ピストンリングをはめるピストンリングプライヤーや、ピストンリングを圧縮したままスムーズにシリンダーに突っ込める道具(ピストンリングコンプレッサー)を持ちません。
実は、手作業でこれをすると、ピストンリングを破損したり、ピストンリングでシリンダー内壁を傷付けたりとする可能があります。
オイルを塗って、慎重にやろうとする寸前の一呼吸しているところです。
無事に挿入が終わり、今度はマフラーの取り付けです。
また慎重にすべきところ、キャブレターです。
ここにもガスケットが。
裏表の判別方法は同じです。
キャブレターを固定する前に、キャブレター(出力調整)のワイヤー(スロットルケーブル)をスロットルバルブに伝動する中央のマイナスネジの溝に通しておかねばなりません。
それを忘れていて、出戻りのネジ外しをしたところです。
右:プライマリーポンプ と 左:チェックバルブ です。
100:1の混合油の残りが溜まっているかもしれないので、綺麗に洗浄しました。
黒い部分はダイヤフラムですが、この分解掃除の写真はありません。
繊細箇所なので、余裕がありませんでした。
ここは、直流発電機(ダイナモ)、ちなみに交流発電機は(オルタネーター)。
おや?ハガキの切れ端を挟んでいますね。
ここもフライホイルの役目を兼ねている遠心クラッチ装置に強力磁石があり、これとコイルの接近・分離で発電が起きます。
この強力磁石が曲者で、0.2mmの隙間が無いと、擦れ合って壊れます。
ハガキの厚さは、約0.2mmなので、これを挟んでボルトを通せば、ちょうど良い隙間を保って、固定出来るのです。
いよいよ終盤に近づきました。
遠心クラッチの取り付けです。
右側が刈り取りローター側で、回転が増すと、黒い2つの三日月型の遠心クラッチシューが開いて、刈り取りローター側の丸い枠と接触し、刃(ディスク)が回る仕組みです。
燃料タンクの取り付けです。
実は、燃料タンクが油とゴミのミックスで一番汚い所です。
リコイルスターターの取り付けです。
スターターヒモには油を塗り、ヒモ切れを防止します。
全部元どうりに組み上げました。
点火プラグも磨いて、いざ、スパークテストです。
撮影は無理ですが、元気な火花(約6000ボルト)が飛びました。
安全なところに出て、始動です。
無事にエンジンがかかりました。
めでたしめでたし!
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4サイクルエンジンについてはこちらを参考に!
熊本県立農業大学校2年機械応用・ガソリンエンジン分解組み立て!1日目 - Goo・ちょき・パーで、なに作ろう!
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