この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

あるキング。

2009-09-03 23:01:57 | 読書
 伊坂幸太郎著、『あるキング』、読了。


 読み終わっての一言感想。
 う~ん、、、一体どこに行くというのか、伊坂幸太郎。

 伊坂幸太郎の著作といえば、その緻密な構成に驚かされたり(『ラッシュ・ライフ』など)、登場人物のウェットに富んだ会話にニンマリさせられたり(『陽気なギャングが地球を回す』など)、ともかく読んでいて気持ちいいのが特徴だと思うのだけれど、本作にはそういったこれまでの“伊坂らしさ”がまるでなかった。

 あとがきで、「自分が読みたいと思う物語を書きました」みたいなことが書いてあるのだけれど、これが作者の読みたい作品なのかなぁ、、、と首をひねらずにはいられなかった。
 この作品で作者が何を伝えたかったのかがまるでわからない。
 ミクシィの感想トピックで、シェイクスピアの『マクベス』を読んでいたら理解が深まる、みたいなことが書かれていたけれど、そんなん一々読んでられんがな!!

 ある天才野球選手が主人公で、その主人公が作品の中で王に準えているんだけれど、主人公は九割打者(!)という設定なんだよね。
 九割打者という時点で天才というより超能力者だし、王というより神といった方が相応しいだろう。
 作品では幾度となく彼は「王」と呼ばれるのだが、そう呼ばれることに無理矢理感を覚える。
 作者がそう呼ばせたいから、そう呼びました、みたいな。
 最後に彼は奇跡を起こすのだが、やはり奇跡を起こすのは王ではなく神だと思う。

 何だかボロクソに書いてしまったが、イッキ読みしたのは確かであり、やはり伊坂幸太郎の筆力は相当なものがあるということは再確認した。
 これ一作で伊坂幸太郎を見限るってことはないかな。
 次回作に期待。
コメント (3)
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