この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

カムイ外伝。

2009-09-22 21:31:57 | 新作映画
 松山ケンイチ主演、『カムイ外伝』、9/23、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年37本目。


 本当は今日は『ドゥームズデイ』っていう映画を観たかったんですよ。
 血塗れ洞窟ホラーの佳作『ディセント』や兵隊さんが狼男とガチで肉弾戦を繰り広げる『ドッグ・ソルジャー』を撮ったニール・マーシャルって監督の作品なんですけどね。
 よくはわからないんですけど、とにかくB級アクション映画の傑作らしいんです。
 でもこれが福岡でも二館のシネコンでしか上映されてなくて(佐賀では当然やってない)、そのうちの一館であるユナイテッドシネマ福岡(ヤフードームのそばにあるシネコン。遠い。)でも午前中は十時から、午後はもう七時と九時というスケジュールで、連休中はだらだらとした生活をしていたので、とても十時からの上映には間に合わない(七時以降の上映も何やかやあって観に行けなかった)。
 昼一の上映があったら今日でも観に行ったんですけどねぇ。
 で、代わりに近くのシネコンで『カムイ外伝』を観てきました(こっちも観なくちゃいけなかったんですけどね。前売り券を買っていたから。)

 これで、『カムイ外伝』が面白ければ『ドゥームズデイ』が観れなかったことも無問題なワケなのですが、、、『カムイ外伝』、残念ながらグダグダでしたね。
 
 この『カムイ外伝』、原作は未読なのですが、要は抜け忍カムイの悲哀を描いたお話じゃないですか。
 つまり、カムイというキャラクターをどの程度深く掘り下げることが出来るのかが重要だと思います。
 しかし残念ながら本編を観る限りカムイというキャラクターは限りなく薄っぺらかったですね。
 そもそも彼が何故抜け忍になろうとしたのかが語られないんですよ。
 闘うことはやめたんだ、、、みたいな台詞を作中彼は口にしますが、それじゃ理由になってない。
 何か彼が忍びであることを厭うようになった具体的なエピソードが語られないとね。
 もしかしたら、そういったことは原作でも触れられていないことなのかもしれません。
 しかし、そうだとしたら、それは原作が長大であるからこそ許されることで、読者は様々なエピソードの積み重ねからカムイが抜け忍になった理由を想像出来ますが、二時間ちょっとの映画であれば、やはりそれはきちんと観客に説明されるべきです。
 思い入れも何もないキャラに対して、彼が抜け忍になったのは抜け忍にならざるを得ない理由があったからなのだ、それがどういう理由なのかは各自で勝手に想像してくれ、ではあまりに乱暴すぎます。

 今述べたのは主人公カムイへのクレームなのですが、鑑賞中、一番文句をいいたくなったのはカムイよりもむしろカムイが助ける半兵衛というキャラに対してですね。
 物語が始まって早々半兵衛はいきなり領主の持ち馬の片脚を切断する、という暴挙に出ます。
 自分はてっきりそれほどの暴挙に出るのであれば半兵衛にはよほどの理由があるに違いない、と思いました。
 例えば、、、子供が流行り病に罹っていて、助けるには馬の蹄を材料にした薬を与えるしかない、というような。
 程なくその理由が明かされます。
 半兵衛が危険を顧みず命懸けで領主の持ち馬の片足を切断したその理由、それは釣具の疑似餌を作るため。
 え?と思いましたよ。
 そんなしょーもない理由であんな大それたことをするんかい!!って観ながらツッコミを入れちゃいましたね。
 まぁ確かにその疑似餌で釣りをすると面白いように魚が釣れるらしいんです。
 でもだからといってそれが領主の持ち馬を襲う理由にはならないですよね。
 常識的にそれよりは他の動物の、例えば猪や鹿などの蹄で作るんじゃないでしょうか。
 よしんばその疑似餌は馬の蹄からしか出来ないとしましょう。
 であれば、諦めろよ、といいたいです。
 領主の持ち馬を襲わなければ作れない疑似餌は諦めろ。
 他の漁師たちと同じ釣具で漁をすればいいことだろ。
 彼らはそれで生計を立てているのだから。
 自分だけ人より多く魚を釣りたい、自分の家族だけ裕福になればいい、なんて虫のいいことを考える奴だよ、と思わずにはいられませんでした。

 そんなわけで、本作は抜け忍になったカムイの悲哀を描いたお話のはずが、どうしようもなく身勝手で自己中心的で後先を考えない男が引き起こした悲劇、としか受け取れなかったです。
 作中、あるキャラが「カムイ、お前と関わった人間は皆死ぬのだ!」みたいな台詞を口にするのですが、今回の場合、カムイも被害者ですよね?
 そもそも半兵衛が領主の持ち馬の蹄で疑似餌を作ろうなんて思い立たなければ、カムイと半兵衛が知り合うこともなかったのですから。

 今挙げた半兵衛の不可解な行動ももしかしたら原作通りなのかもしれません。
 しかし、かつての名作を今現代に蘇らせようというのであれば、当然原作の中の矛盾点、ありえなさも改善すべきです(改悪は論外)。
 原作が矛盾してるんだから、映画も矛盾しててもいいなんていうのは映画製作者の開き直りでしかないと思います。
 それぐらいの気概であれば、原作付きの映画に関わって欲しくありません。

 あ~あ、『ドゥームズディ』、観たかったなぁ。。。

 お気に入り度は★☆、お薦め度は★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (4)
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