トム・ロブ・スミス著、『グラーグ57』、読了。
2009年版『このミステリーがすごい!』海外編で一位を獲得した『チャイルド44』の続編。
改めて『チャイルド44』を評すると、この作品が傑作足りえたのは、純粋にミステリーとしての出来栄えというよりむしろ、社会主義国家を舞台にした、その設定の上手さにあるんじゃないかと思う。
孤高の主人公が国家を相手にして、自らの汚名を雪ぐ、というプロットは『チャイルド44』とスティーブン・ハンターの『極大射程』に共通している。
単純にエンターティメント小説として比べた場合、『極大射程』の方がはるかに完成度が高く、面白く読める。
あれだけ荒ぶる男が主人公で、読む者の血を滾らせておきながら、クライマックスの裁判シーンの静けさといったら!見事としか言いようがない。
残念ながら『チャイルド44』はそこまでストーリーテリングが上手いとはいえないと思う(後半かなり無理がある展開だった)。
だが、ことインパクトに関していえば『チャイルド44』の方が一枚も二枚も上だ。
あのプロローグに度肝を抜かれなかった読者はおそらくいないだろう。
さて、『グラーグ57』である。
『チャイルド44』と同じレオ・デミトフが主人公である。
今回レオが被る受難は並みではない。これでもかこれでもかとまさに怒涛、あらゆる精神的肉体的苦痛が彼を襲う。
その点に関していえば感心するぐらいだった。
だが、傑作かというとそうはいえないと思った。
面白くないってことはないし、後半ハンガリー動乱に雪崩れ込む展開はそれなりによく出来てるとも思うのだが、やはりインパクトに欠ける。
どうしたって『チャイルド44』の持つインパクトには敵いっこない。
前作が傑作であるが故の続編だが、前作が傑作であるが故にどうしたって評価が低くなってしまう。
『チャイルド44』が『このミス!』一位を見事に当てた自分であるが(これ、本当。笑。)、本作は一位を取れないだろうな、と思う。
とはいえ、本作に続く第三部でもレオ・デミトフには付き合うつもりであるが。
2009年版『このミステリーがすごい!』海外編で一位を獲得した『チャイルド44』の続編。
改めて『チャイルド44』を評すると、この作品が傑作足りえたのは、純粋にミステリーとしての出来栄えというよりむしろ、社会主義国家を舞台にした、その設定の上手さにあるんじゃないかと思う。
孤高の主人公が国家を相手にして、自らの汚名を雪ぐ、というプロットは『チャイルド44』とスティーブン・ハンターの『極大射程』に共通している。
単純にエンターティメント小説として比べた場合、『極大射程』の方がはるかに完成度が高く、面白く読める。
あれだけ荒ぶる男が主人公で、読む者の血を滾らせておきながら、クライマックスの裁判シーンの静けさといったら!見事としか言いようがない。
残念ながら『チャイルド44』はそこまでストーリーテリングが上手いとはいえないと思う(後半かなり無理がある展開だった)。
だが、ことインパクトに関していえば『チャイルド44』の方が一枚も二枚も上だ。
あのプロローグに度肝を抜かれなかった読者はおそらくいないだろう。
さて、『グラーグ57』である。
『チャイルド44』と同じレオ・デミトフが主人公である。
今回レオが被る受難は並みではない。これでもかこれでもかとまさに怒涛、あらゆる精神的肉体的苦痛が彼を襲う。
その点に関していえば感心するぐらいだった。
だが、傑作かというとそうはいえないと思った。
面白くないってことはないし、後半ハンガリー動乱に雪崩れ込む展開はそれなりによく出来てるとも思うのだが、やはりインパクトに欠ける。
どうしたって『チャイルド44』の持つインパクトには敵いっこない。
前作が傑作であるが故の続編だが、前作が傑作であるが故にどうしたって評価が低くなってしまう。
『チャイルド44』が『このミス!』一位を見事に当てた自分であるが(これ、本当。笑。)、本作は一位を取れないだろうな、と思う。
とはいえ、本作に続く第三部でもレオ・デミトフには付き合うつもりであるが。