今回紹介いたしますのは、かなりマニアックな本で紹介された、ルネについての記述です。『マニアック』…というのも、サブタイトルが「永遠の美少年」ですから…。ちょっとなエロティックな(?)写真もありますが、美少年満載の本で、①映画とロック、②耽美小説・耽美雑誌、③コミックス、④アイドル、⑤合唱団とパブリックスクール、⑥アニメ・同人誌・カセット&CDの6つの章に分かれています。ちなみに、ルネを紹介しているのは「⑤合唱団とパブリックスクール」の中の『少年歌手について』です。
黒髪に黒い瞳の日本人にとって、「金髪碧眼」は憧れであり、美の象徴であった時代もありました。少女漫画の世界ではなおのこと。今回ルネの記述のある章を担当された増山のりえさんは、「少年愛」を描いた少女漫画の先駆者である竹宮恵子先生の作品の原作者でもあった方です。音楽評論家でもある彼女の「語り」による「少年歌手について」を一部抜粋して紹介いたします。
▲左:本書表紙
右:カナダ 国内ばかりか日本でもアイドルとなったルネ・シマール
白夜ムック№3 ラヴェンダーエンジェル
永遠の美少年
1993年12月27日第1刷発行 定価1,800円
天使の歌声~合唱団む・聖歌隊・少年歌手
”変声期の残酷”で輝きを増す、
少年たちの聖なる声
”天使の声”とも称されるボーイソプラノ。肉体の成長と
共に失われてゆくそのさまは少年美の象徴でもある
語り/増山のりえ(構成/編集部)
少年歌手について(本文より一部抜粋)
クラシックの世界ばかりでなく、ポップスやロックの世界にも少年歌手がいます。ちょっと生意気な大人の恋など歌ったりして。一番分かりやすい例がマイケル・ジャクソンですね。今のマイケルではなく、変声前の”ジャクソン・ファイブ”で活躍していた頃の彼。少年時代から、もう飛び抜けて歌がうまかったですね。その後ここまでスーパースターになるとは、さすがに予測できなかった。
日本で有名になった少年歌手はイギリスのニール・リードがブームを作りました。二十年ほど前に「ママに捧げる歌」という彼の曲が深夜放送で流れた時、リスナーから「あれは誰が歌っているのか」と凄い反応がきて、わっとヒットしたんです。すぐに来日して、「将来はトム・ジョーンズみたいな歌手になりたい」と語っていましたけど変声した直後に出したレコードは全然魅力がなくて、結局消えてしまいました。カナダのルネ・シマールも日本の少女たちのアイドルとなった珍しい少年歌手です。彼は第三回東京国際音楽祭に出場して、見事にグランプリとフランク・シナトラ賞を獲得して、一気に人気者となったのですが、本人はシナトラ賞をもらったことを感激してました。このときフランク・シナトラがゲスト審査員として招かれていたんです。本国では、ルネはとっくに国民的大スターだったんですよ。だから歌謡祭で受賞することなど慣れていたんでしょうね。
彼は十七歳ころまで変声しなかったので、何度も来日してコンサートを開いたり、日本にファンクラブができたりと、けっこう長い間活躍してました。その後のルネがどうなってしまったのか、私は全く知りません。少年歌手が、そのまま成長して歌手になれる例はほんとうに少ないんです。マイケル・ジャクソンなどは例外中の例外でしょうね。
ジャクソン・ファイブが人気者だったころ、オズモンド・ブラザーズという強大グループも人気を競っていましたね。日本でもフィンガー・ファイブなどは、明らかに彼らを真似して登場した兄弟(姉妹)グループだと思います。でもどのグループも、最年少のソプラノの少年が変声してしまうと、人気が落ちてゆくのは不思議ですね。コーラスグループとして生き残れない。やはり少年ボーカルが、人気の大半を無背負っていたということでしょうか。
増山のりえ(法恵)
1950年生まれ、漫画原作者、小説家、音楽評論家。 「二四年組」の 拠点であった「大泉サロン」の主催者。
都立駒場高校音楽科(現:都立芸術高校音楽科)在学中から少年・少女漫画に夢中になる。アマチュア時代の竹宮恵子、萩尾望都らと知りあい、音楽の世界から漫画世界へ転身を決意。
二十歳から十五年間、少女漫画家・竹宮恵子のプロダクション“トランキライザー・プロダクツ”のプロデュース・ディレクターを勤めたのち独立。在籍当時は、『変奏曲』『ウィーン協奏曲』等、クラシック音楽を主題にした竹宮作品の“原作”を書く。最近、これらの原作作品を集めて『音楽漫画共作集(全三巻)』を竹宮恵子と共同名で出版した。(創美社編集・集英社出版)現在はフリーライターとして、書評、映画評、音楽評論活動をしながら、“のりす・はーぜ”名で小説も発表する。小説作品としては『神の子羊(全三巻)』(光風社出版)…これは竹宮恵子作品『風と木の詩』の、その後の物語を小説化したもの。『永遠の少年(文庫本書き下ろし)』(角川ルビー文庫)…イギリスのパブリックスクールを舞台にした心理ミステリー。
※一般社団法人 日本推理作家協会「増山のりえ」
http://www.mystery.or.jp/member/detail/0660
増山さんは、メキシコのルイス・ミゲールについて語った最後に、「私は少年歌手時代の彼しか好きではないので。私にとってのルイス君は永遠の十二歳であって、二十二歳のルイス君はいらないの(笑)。」と語り、「どうも私は、少年歌手という限り、変声期でくっきり線を引いてしまうんです。」と締めくくっていますが、これは、少年合唱団や少年歌手好きの日本人の典型かと思いました。
少年合唱団では、変声すると退団しなければなりませんが、変声を迎えた外国の少年歌手は、大人の歌手として活動を続けていることが多いです。天使の声をもてはやされた少年時代のような華やかさはなくても、しっかり自分の道を歩んでいます。変声してしまうと、あからさまに人気が無くなってしまうのは、日本だけかも知れません。
現在進行形で活躍を続けている大人のルネを、来日当時の13歳のルネ・シマールに夢中になった日本のファンが、今のルネを応援し続けてくれることを望んでやまないシマ姉です。
黒髪に黒い瞳の日本人にとって、「金髪碧眼」は憧れであり、美の象徴であった時代もありました。少女漫画の世界ではなおのこと。今回ルネの記述のある章を担当された増山のりえさんは、「少年愛」を描いた少女漫画の先駆者である竹宮恵子先生の作品の原作者でもあった方です。音楽評論家でもある彼女の「語り」による「少年歌手について」を一部抜粋して紹介いたします。
▲左:本書表紙
右:カナダ 国内ばかりか日本でもアイドルとなったルネ・シマール
白夜ムック№3 ラヴェンダーエンジェル
永遠の美少年
1993年12月27日第1刷発行 定価1,800円
天使の歌声~合唱団む・聖歌隊・少年歌手
”変声期の残酷”で輝きを増す、
少年たちの聖なる声
”天使の声”とも称されるボーイソプラノ。肉体の成長と
共に失われてゆくそのさまは少年美の象徴でもある
語り/増山のりえ(構成/編集部)
少年歌手について(本文より一部抜粋)
クラシックの世界ばかりでなく、ポップスやロックの世界にも少年歌手がいます。ちょっと生意気な大人の恋など歌ったりして。一番分かりやすい例がマイケル・ジャクソンですね。今のマイケルではなく、変声前の”ジャクソン・ファイブ”で活躍していた頃の彼。少年時代から、もう飛び抜けて歌がうまかったですね。その後ここまでスーパースターになるとは、さすがに予測できなかった。
日本で有名になった少年歌手はイギリスのニール・リードがブームを作りました。二十年ほど前に「ママに捧げる歌」という彼の曲が深夜放送で流れた時、リスナーから「あれは誰が歌っているのか」と凄い反応がきて、わっとヒットしたんです。すぐに来日して、「将来はトム・ジョーンズみたいな歌手になりたい」と語っていましたけど変声した直後に出したレコードは全然魅力がなくて、結局消えてしまいました。カナダのルネ・シマールも日本の少女たちのアイドルとなった珍しい少年歌手です。彼は第三回東京国際音楽祭に出場して、見事にグランプリとフランク・シナトラ賞を獲得して、一気に人気者となったのですが、本人はシナトラ賞をもらったことを感激してました。このときフランク・シナトラがゲスト審査員として招かれていたんです。本国では、ルネはとっくに国民的大スターだったんですよ。だから歌謡祭で受賞することなど慣れていたんでしょうね。
彼は十七歳ころまで変声しなかったので、何度も来日してコンサートを開いたり、日本にファンクラブができたりと、けっこう長い間活躍してました。その後のルネがどうなってしまったのか、私は全く知りません。少年歌手が、そのまま成長して歌手になれる例はほんとうに少ないんです。マイケル・ジャクソンなどは例外中の例外でしょうね。
ジャクソン・ファイブが人気者だったころ、オズモンド・ブラザーズという強大グループも人気を競っていましたね。日本でもフィンガー・ファイブなどは、明らかに彼らを真似して登場した兄弟(姉妹)グループだと思います。でもどのグループも、最年少のソプラノの少年が変声してしまうと、人気が落ちてゆくのは不思議ですね。コーラスグループとして生き残れない。やはり少年ボーカルが、人気の大半を無背負っていたということでしょうか。
増山のりえ(法恵)
1950年生まれ、漫画原作者、小説家、音楽評論家。 「二四年組」の 拠点であった「大泉サロン」の主催者。
都立駒場高校音楽科(現:都立芸術高校音楽科)在学中から少年・少女漫画に夢中になる。アマチュア時代の竹宮恵子、萩尾望都らと知りあい、音楽の世界から漫画世界へ転身を決意。
二十歳から十五年間、少女漫画家・竹宮恵子のプロダクション“トランキライザー・プロダクツ”のプロデュース・ディレクターを勤めたのち独立。在籍当時は、『変奏曲』『ウィーン協奏曲』等、クラシック音楽を主題にした竹宮作品の“原作”を書く。最近、これらの原作作品を集めて『音楽漫画共作集(全三巻)』を竹宮恵子と共同名で出版した。(創美社編集・集英社出版)現在はフリーライターとして、書評、映画評、音楽評論活動をしながら、“のりす・はーぜ”名で小説も発表する。小説作品としては『神の子羊(全三巻)』(光風社出版)…これは竹宮恵子作品『風と木の詩』の、その後の物語を小説化したもの。『永遠の少年(文庫本書き下ろし)』(角川ルビー文庫)…イギリスのパブリックスクールを舞台にした心理ミステリー。
※一般社団法人 日本推理作家協会「増山のりえ」
http://www.mystery.or.jp/member/detail/0660
増山さんは、メキシコのルイス・ミゲールについて語った最後に、「私は少年歌手時代の彼しか好きではないので。私にとってのルイス君は永遠の十二歳であって、二十二歳のルイス君はいらないの(笑)。」と語り、「どうも私は、少年歌手という限り、変声期でくっきり線を引いてしまうんです。」と締めくくっていますが、これは、少年合唱団や少年歌手好きの日本人の典型かと思いました。
少年合唱団では、変声すると退団しなければなりませんが、変声を迎えた外国の少年歌手は、大人の歌手として活動を続けていることが多いです。天使の声をもてはやされた少年時代のような華やかさはなくても、しっかり自分の道を歩んでいます。変声してしまうと、あからさまに人気が無くなってしまうのは、日本だけかも知れません。
現在進行形で活躍を続けている大人のルネを、来日当時の13歳のルネ・シマールに夢中になった日本のファンが、今のルネを応援し続けてくれることを望んでやまないシマ姉です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます