『月の女王』7冊目のノートから、要約と抜粋2。
↓↓↓
東京、目黒にある織田邸の一室、菅原司のプライベート専用の部屋に、スタン=ウェーバーは幼馴染のリンクス=ホウジョウと共に呼びだされた。内容はあいかわらず聞かされていない。リンクスもあいかわらず何もいってくれない。
「リンクス=ホウジョウ、スタン=ウェーバー、参りました」
「入れ」
人を命令するのに慣れた声が厚いドアの向こうから聞こえてきた。何度聞いても好きになれない、と密かにスタンは思う。
「・・・ということから『月の姫』の封印はいまだ完全にはとけていないと思われます」
司の前に立っている少女が入ってきたスタン達には見向きもせずに報告を続けている。
「ですが、感情の高まりにより、一時的に本来の力を発揮するということは、今までの実験結果でもおわかりのことと・・・」
「ああ、わかった。もういい」
面倒くさそうに話を打ち切り、
「お前はもう帰っていいぞ」
「はい・・・あの、司様、お願があります」
ついと少女が顔をあげた。司は尊大な口調で、
「なんだ。言ってみろ」
「はい・・・・・・司様の先鋭隊の高校生を五人ほど派遣いただきたいのです」
「別にいいが・・・何に使うんだ?」
「はい・・・近頃『月の姫』の通う高校の生徒をターゲットにした恐喝事件が相次いでおりまして・・・本日も危ういところで姫が巻き込まれそうになりました」
ポニーテールがかすかに揺れる。
「姫に危険が及ぶ前に、その者たちの排除を・・・」
「ああ、かまわん」
司はにやりと笑うと、
「五人などではなく、もっと連れて行ってもいいぞ。なにしろ『月の姫』はオレの妻となる女だからな」
「つ、妻ぁ?!」
思わずすっとんきょうな声で叫んでしまい、スタンは並んでいるリンクスに小さくこずかれた。
(つ、妻・・・・・・げーーー香ちゃんかわいそーーー)
思いながら、はたと一つのことに気がついた。
(ってことは、香ちゃんの決められた男って・・・司?)
司の顔色をうかがおうと視線を走らせたが、司のほうはなにやら考えこむように少女を見つめていた。
「妙子、お前、今いくつだ?」
「・・・・・・十八です」
少女・・・・・・本庄妙子がうつむいたまま答えると、
「顔をあげろ。・・・・・・十八か。だんだん美奈子に似てきたな。初めて会ったときはとても親子には見えなかったのにな」
「司様・・・・・・」
目を伏せた妙子の横顔がなぜかさみしそうに見える。
「ではこの先も『月の姫』のそばから離れるな。わかっているな?自分の役目は」
「はい・・・失礼いたします」
音もなく立ちあがり、妙子は出て行った。
↑↑↑
部屋に残ったリンクスとスタンは司から、
・月の姫の封印をとくには月の戦士の力が必要なはずだから、封印が完全にとけるまでは監視のみでよい。
・封印が完全にとけてから、自分の元に月の姫を連れてくるように。
・月の戦士・西の白龍の両親は、ホワイト家当主が直接関わっていた汚職事件のもみ消しのために自殺に追い込まれた。東のクリスは当主の甥である。この事実は二人を仲違いさせるのに使える。
という話をされる。
(えっらそうだなぁ。自分は何にもしないくせに・・・・・・)
と、スタンは心の中で思っても、リンクスのために口にも顔にもださないよう気をつける。
部屋を出たところで、待っていた妙子に呼び止められる二人。客室に案内される。
白龍とクリスの話が、どうも司が独自に調べたことではなく、忍がわざと司に漏らしてきた話のようなのが気になる、と妙子は言う。
妙子自身はそのことに、桔梗との会話から気がついたのだが、そうなってくると、自分がそのことに気がついたこと事態も、忍の計画の一つなのでは?と・・・忍の考えがまったく分からないのが不安だという。
「それって、司・・・様(←リンクスに「様をつけろ」と言われている)が弟に利用されてるってことじゃないの?」
スタンの発言に、リンクスが激しく言い咎める。
男二人の険悪なムードをあえて無視して、妙子が淡々と話を進める。
桔梗のことを「桔梗姉さん」と呼ぶ妙子に、「妙子と桔梗って姉妹なの?」と聞くスタン。
妙子が司に仕えはじめたときに、忍が年の近い桔梗を紹介してくれたのが、桔梗との出会いだという。
↓↓↓
「とにかく」
前触れもなくリンクスは立ちあがり、二人に向かって宣言した。
「オレ達がすべきことは司様の命に従うこと、それだけだ。これが忍様の計画だろうがなんだろうが関係ない。司様のために行動する。それのみ」
そしてさっさとドアに向かって歩き出し、
「いくぞ、スタン」
と、一言だけ声をかけて部屋を出て行った。
「あーもー置いていくんだからー」
スタンはぶつぶついいながらコーヒーを飲みほし、慌てて立ち上がると、
「コーヒーごちそうさま」
といい、続いて出て行こうとしたが、
「あ、そうだ、妙子」
ふと思い出して立ち止った。
「なに?」
「香ちゃんの『決められた男』って司のことなの?」
「・・・・・・」
一瞬とまどったような間が空いたが、
「分からないのよ。まだ。でも、司様にならなくてはならない・・・・・・」
「ふーん・・・・・・」
よくわからない日本語だなあ、とスタンは思った。
「でさ、香ちゃんって、結局何なの?リンク、そういうこと全然教えてくれないんだよ」
「あたしも詳しいことは知らないの。でも、一つだけ確かなのは『月の姫を手に入れた男は世界を手にいれることができる』ってこと・・・」
「へぇぇぇぇ・・・想像つかないなぁ。香ちゃんって普通の子なのにね・・・」
「そうね・・・・・・でも不思議な子よ、あの子。なんかそばについていてあげたいって気持ちにさせられるの」
「ふーん・・・あ」
外からバイクのエンジンの音が聞こえてきた。リンクスが待っているようだ。
「じゃ、いくね。妙子。香ちゃんを・・・」
「なに?」
「香ちゃんを守ってあげてねっ」
勢いよく飛び出していったスタンを見送ったあと、妙子は力なくソファーに座りこんだ。
「守ってあげたいわよ。できることなら。・・・・・・でも」
クッションを抱き込み、小さくつぶやく。
「司様・・・・・・あなたを裏切りたくない」
その声は誰にも聞かれることはなかった。
↑↑↑
香の部屋。香がオーラを操る練習をイズミにしてもらっているがなかなかうまくいかない。
力を大きくしようとすると、頭の中に靄がかかってしまい、何かがこれ以上力を大きくするのを止めようとする、と香が言う。
香がイズミに「いつから能力がつかえるようになったの?」と聞く。
するとイズミは、十年前、夢に老婆が現れてからだ、と答える。おそらく他の三人も同じ夢を見ていると思う、というイズミの言葉に、香は自分は見ていないから能力ないのでは・・・というが。
(あなたは夢などではなく直接本人に会っている・・・十年前に。そしてあまりにも強すぎるその能力を封じられたんだ。今こそ封印を解く時がきたのに・・・・・・)
「イズミくん?」
香の声にはっと手を離した、不思議そうな瞳で見上げる香は無邪気そのものだ。
(なぜ、封印はとかれたのに能力が戻ってこないのだ?やはり白龍がいっていたように姫自身が封印を・・・・・・)
真剣に見つめてくるイズミに照れる香。ただでさえカッコいいのに・・・という香のセリフに、イズミはカッコいいと言われるのは複雑・・・という。
CMに出て以来、女子からプレゼントが届くようになったし、バレンタインのチョコレートもたくさんきてお返しが大変だったという。
あげるほうも一生懸命なのよ!という香に、チョコあげたことあるんだ?と聞くイズミ。
実は中学三年生のときに、塾が一緒だった男の子に片思いをしていて、チョコをあげようとしたけれども、彼女がいると知ってできなかった、という香。
彼のことはただ見ているだけで、一度も話したこともなく、彼女がいると知った時も別にショックを受けなかったという。
↓↓↓
「なんで話しかけてみなかったんだ?遠くで見ているだけで十分ってやつ?」
「ま、それもあるけど・・・」
香はちょっと肩をすくめると、
「私、男の子と話すの苦手だから。基本的に初対面の人とも話せないし」
「そのわりには、クリスト・・・・・・クリスとはよくしゃべってるじゃないか?あれはなんだ?」
「あれは、あっちが話しかけてくるからっ」
急にムキなったように香が反論した。イズミは面白そうに、
「でも白龍や高村さんと話すときはやけに緊張しているし、アーサーと話すときは真っ赤になってるし・・・」
「や、やっぱり赤くなってる?!私?!」
「なってるよ。やっぱり香、アーサーのこと・・・・・・」
「あーもーっ。イズミくんまであのバカと同じこと言わないでよっ」
「あのバカ・・・・・・?」
少し考え、それがクリスのことだと気がつき、
「そんな風にいうのってクリス相手だけだよな、香って。本当は香、アーサーじゃなくてクリスのことのほうが・・・・・・」
「きゃーきゃーきゃーっ」
ばしばしとクッションではたきながら、香は真っ赤になっている。イズミはそれを受け止めて、
「図星、か?」
「なにいってるのよっ。アーサーさんはその中三のときに好きだった人にちょっと似てて、好きな本に出てくる人にも似てて、憧れてただけっ」
「じゃ、クリスは?」
「あ、あれは・・・なんか初めから話しやすくて・・・昔から知ってた人みたいっていうか・・・」
香はうーんと考えこんだが、ポンッと手をうつと断言するように言った。
「弟よ。弟がいたらこんな感じよきっと」
「ふーん・・・弟ね・・・仲良し姉弟だねぇ」
ひやかし気味にいうイズミに香はがなりついた。
「私のことはいいからっ。イズミくんはどうなわけ?!好きな人は!?いるの?いないの?!」
「え、私?!」
「そうよっ白状しなさいっ」
「そ、そんなこと言っても・・・」
女同士の長い夜はまだまだ続きそうである。
↑↑↑
-------------------------
七冊目、もうちょっとで終わるんだけどーーー。
夏休みでなかなか書けませんっ。
今、子供達が習い事いってる隙に書いてみたっ。
あと5分くらいで帰ってくるはず。
とりあえず切りのよいここまで!!ギリギリセーフ!
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東京、目黒にある織田邸の一室、菅原司のプライベート専用の部屋に、スタン=ウェーバーは幼馴染のリンクス=ホウジョウと共に呼びだされた。内容はあいかわらず聞かされていない。リンクスもあいかわらず何もいってくれない。
「リンクス=ホウジョウ、スタン=ウェーバー、参りました」
「入れ」
人を命令するのに慣れた声が厚いドアの向こうから聞こえてきた。何度聞いても好きになれない、と密かにスタンは思う。
「・・・ということから『月の姫』の封印はいまだ完全にはとけていないと思われます」
司の前に立っている少女が入ってきたスタン達には見向きもせずに報告を続けている。
「ですが、感情の高まりにより、一時的に本来の力を発揮するということは、今までの実験結果でもおわかりのことと・・・」
「ああ、わかった。もういい」
面倒くさそうに話を打ち切り、
「お前はもう帰っていいぞ」
「はい・・・あの、司様、お願があります」
ついと少女が顔をあげた。司は尊大な口調で、
「なんだ。言ってみろ」
「はい・・・・・・司様の先鋭隊の高校生を五人ほど派遣いただきたいのです」
「別にいいが・・・何に使うんだ?」
「はい・・・近頃『月の姫』の通う高校の生徒をターゲットにした恐喝事件が相次いでおりまして・・・本日も危ういところで姫が巻き込まれそうになりました」
ポニーテールがかすかに揺れる。
「姫に危険が及ぶ前に、その者たちの排除を・・・」
「ああ、かまわん」
司はにやりと笑うと、
「五人などではなく、もっと連れて行ってもいいぞ。なにしろ『月の姫』はオレの妻となる女だからな」
「つ、妻ぁ?!」
思わずすっとんきょうな声で叫んでしまい、スタンは並んでいるリンクスに小さくこずかれた。
(つ、妻・・・・・・げーーー香ちゃんかわいそーーー)
思いながら、はたと一つのことに気がついた。
(ってことは、香ちゃんの決められた男って・・・司?)
司の顔色をうかがおうと視線を走らせたが、司のほうはなにやら考えこむように少女を見つめていた。
「妙子、お前、今いくつだ?」
「・・・・・・十八です」
少女・・・・・・本庄妙子がうつむいたまま答えると、
「顔をあげろ。・・・・・・十八か。だんだん美奈子に似てきたな。初めて会ったときはとても親子には見えなかったのにな」
「司様・・・・・・」
目を伏せた妙子の横顔がなぜかさみしそうに見える。
「ではこの先も『月の姫』のそばから離れるな。わかっているな?自分の役目は」
「はい・・・失礼いたします」
音もなく立ちあがり、妙子は出て行った。
↑↑↑
部屋に残ったリンクスとスタンは司から、
・月の姫の封印をとくには月の戦士の力が必要なはずだから、封印が完全にとけるまでは監視のみでよい。
・封印が完全にとけてから、自分の元に月の姫を連れてくるように。
・月の戦士・西の白龍の両親は、ホワイト家当主が直接関わっていた汚職事件のもみ消しのために自殺に追い込まれた。東のクリスは当主の甥である。この事実は二人を仲違いさせるのに使える。
という話をされる。
(えっらそうだなぁ。自分は何にもしないくせに・・・・・・)
と、スタンは心の中で思っても、リンクスのために口にも顔にもださないよう気をつける。
部屋を出たところで、待っていた妙子に呼び止められる二人。客室に案内される。
白龍とクリスの話が、どうも司が独自に調べたことではなく、忍がわざと司に漏らしてきた話のようなのが気になる、と妙子は言う。
妙子自身はそのことに、桔梗との会話から気がついたのだが、そうなってくると、自分がそのことに気がついたこと事態も、忍の計画の一つなのでは?と・・・忍の考えがまったく分からないのが不安だという。
「それって、司・・・様(←リンクスに「様をつけろ」と言われている)が弟に利用されてるってことじゃないの?」
スタンの発言に、リンクスが激しく言い咎める。
男二人の険悪なムードをあえて無視して、妙子が淡々と話を進める。
桔梗のことを「桔梗姉さん」と呼ぶ妙子に、「妙子と桔梗って姉妹なの?」と聞くスタン。
妙子が司に仕えはじめたときに、忍が年の近い桔梗を紹介してくれたのが、桔梗との出会いだという。
↓↓↓
「とにかく」
前触れもなくリンクスは立ちあがり、二人に向かって宣言した。
「オレ達がすべきことは司様の命に従うこと、それだけだ。これが忍様の計画だろうがなんだろうが関係ない。司様のために行動する。それのみ」
そしてさっさとドアに向かって歩き出し、
「いくぞ、スタン」
と、一言だけ声をかけて部屋を出て行った。
「あーもー置いていくんだからー」
スタンはぶつぶついいながらコーヒーを飲みほし、慌てて立ち上がると、
「コーヒーごちそうさま」
といい、続いて出て行こうとしたが、
「あ、そうだ、妙子」
ふと思い出して立ち止った。
「なに?」
「香ちゃんの『決められた男』って司のことなの?」
「・・・・・・」
一瞬とまどったような間が空いたが、
「分からないのよ。まだ。でも、司様にならなくてはならない・・・・・・」
「ふーん・・・・・・」
よくわからない日本語だなあ、とスタンは思った。
「でさ、香ちゃんって、結局何なの?リンク、そういうこと全然教えてくれないんだよ」
「あたしも詳しいことは知らないの。でも、一つだけ確かなのは『月の姫を手に入れた男は世界を手にいれることができる』ってこと・・・」
「へぇぇぇぇ・・・想像つかないなぁ。香ちゃんって普通の子なのにね・・・」
「そうね・・・・・・でも不思議な子よ、あの子。なんかそばについていてあげたいって気持ちにさせられるの」
「ふーん・・・あ」
外からバイクのエンジンの音が聞こえてきた。リンクスが待っているようだ。
「じゃ、いくね。妙子。香ちゃんを・・・」
「なに?」
「香ちゃんを守ってあげてねっ」
勢いよく飛び出していったスタンを見送ったあと、妙子は力なくソファーに座りこんだ。
「守ってあげたいわよ。できることなら。・・・・・・でも」
クッションを抱き込み、小さくつぶやく。
「司様・・・・・・あなたを裏切りたくない」
その声は誰にも聞かれることはなかった。
↑↑↑
香の部屋。香がオーラを操る練習をイズミにしてもらっているがなかなかうまくいかない。
力を大きくしようとすると、頭の中に靄がかかってしまい、何かがこれ以上力を大きくするのを止めようとする、と香が言う。
香がイズミに「いつから能力がつかえるようになったの?」と聞く。
するとイズミは、十年前、夢に老婆が現れてからだ、と答える。おそらく他の三人も同じ夢を見ていると思う、というイズミの言葉に、香は自分は見ていないから能力ないのでは・・・というが。
(あなたは夢などではなく直接本人に会っている・・・十年前に。そしてあまりにも強すぎるその能力を封じられたんだ。今こそ封印を解く時がきたのに・・・・・・)
「イズミくん?」
香の声にはっと手を離した、不思議そうな瞳で見上げる香は無邪気そのものだ。
(なぜ、封印はとかれたのに能力が戻ってこないのだ?やはり白龍がいっていたように姫自身が封印を・・・・・・)
真剣に見つめてくるイズミに照れる香。ただでさえカッコいいのに・・・という香のセリフに、イズミはカッコいいと言われるのは複雑・・・という。
CMに出て以来、女子からプレゼントが届くようになったし、バレンタインのチョコレートもたくさんきてお返しが大変だったという。
あげるほうも一生懸命なのよ!という香に、チョコあげたことあるんだ?と聞くイズミ。
実は中学三年生のときに、塾が一緒だった男の子に片思いをしていて、チョコをあげようとしたけれども、彼女がいると知ってできなかった、という香。
彼のことはただ見ているだけで、一度も話したこともなく、彼女がいると知った時も別にショックを受けなかったという。
↓↓↓
「なんで話しかけてみなかったんだ?遠くで見ているだけで十分ってやつ?」
「ま、それもあるけど・・・」
香はちょっと肩をすくめると、
「私、男の子と話すの苦手だから。基本的に初対面の人とも話せないし」
「そのわりには、クリスト・・・・・・クリスとはよくしゃべってるじゃないか?あれはなんだ?」
「あれは、あっちが話しかけてくるからっ」
急にムキなったように香が反論した。イズミは面白そうに、
「でも白龍や高村さんと話すときはやけに緊張しているし、アーサーと話すときは真っ赤になってるし・・・」
「や、やっぱり赤くなってる?!私?!」
「なってるよ。やっぱり香、アーサーのこと・・・・・・」
「あーもーっ。イズミくんまであのバカと同じこと言わないでよっ」
「あのバカ・・・・・・?」
少し考え、それがクリスのことだと気がつき、
「そんな風にいうのってクリス相手だけだよな、香って。本当は香、アーサーじゃなくてクリスのことのほうが・・・・・・」
「きゃーきゃーきゃーっ」
ばしばしとクッションではたきながら、香は真っ赤になっている。イズミはそれを受け止めて、
「図星、か?」
「なにいってるのよっ。アーサーさんはその中三のときに好きだった人にちょっと似てて、好きな本に出てくる人にも似てて、憧れてただけっ」
「じゃ、クリスは?」
「あ、あれは・・・なんか初めから話しやすくて・・・昔から知ってた人みたいっていうか・・・」
香はうーんと考えこんだが、ポンッと手をうつと断言するように言った。
「弟よ。弟がいたらこんな感じよきっと」
「ふーん・・・弟ね・・・仲良し姉弟だねぇ」
ひやかし気味にいうイズミに香はがなりついた。
「私のことはいいからっ。イズミくんはどうなわけ?!好きな人は!?いるの?いないの?!」
「え、私?!」
「そうよっ白状しなさいっ」
「そ、そんなこと言っても・・・」
女同士の長い夜はまだまだ続きそうである。
↑↑↑
-------------------------
七冊目、もうちょっとで終わるんだけどーーー。
夏休みでなかなか書けませんっ。
今、子供達が習い事いってる隙に書いてみたっ。
あと5分くらいで帰ってくるはず。
とりあえず切りのよいここまで!!ギリギリセーフ!