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月の女王-13

2014年08月06日 11時22分26秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』7~8冊目のノートから、要約と抜粋3。


 学校に提出する書類を高村にチェックしてもらおうとリビングに入りかけた白龍。
 夜なのにケーキを食べたいとごねるクリスとそれをたしなめる高村がイチャイチャしているのを目撃し、入りづらくて自分の部屋に戻っていく。

 当然、白龍がドアの向こうにいると分かっていて、ついついふざけて芝居っけを出していたクリスと高村。クリスが謝ろうと散らばった書類を拾い集めて白龍の部屋に行ったが、白龍はおらず、全開の窓辺のカーテンがはためいていた。
「そんなに刺激的だったかな・・・」
 つぶやくクリス。

 白龍は別に頭を冷やすために外に出て行ったわけではなかった。
 誰かに呼ばれたような気がして窓をあけると、マンションのすぐ真下の公園で紫のオーラが光っていたのだ。
(彼女だ!)
 白龍は躊躇することなく窓から飛び降りた。

 桔梗はハンカチを返しにきたのだという。
 怪我の心配をする白龍に「このくらいの怪我慣れてるから」と微笑む桔梗。

 思わず「会いたかった」と言ってしまい赤面する白龍。
 桔梗も、自分と境遇が似ている白龍と話がしたかった、という。

 桔梗は家族を織田家のために無くし、自分も殺されるところだったのを忍に助けられた、という。
 似ている、という桔梗に、白龍は頭を振る。

 自分は、家族を奪ったホワイト家の世話になどなれない。あなたは織田家の忍の元にいて本当に平気なのか?と。

↓↓↓

「ホワイト家を憎んでいるの?」
「憎むなんて・・・・・・」
 言葉を切り、大きくため息をつく。
「憎むなんて、そんな言葉では言い尽くせません。何もできない自分が情けなくて・・・。だからこそ、この予言のことを知ったときには驚喜しましたよ。これでホワイト家を取り潰すことができるって・・・。僕は必ず姫を覚醒させますよ。そして姫を守る。ホワイト家なんかに絶対に利用させない」
「でも・・・大地の使いクリス=ライアンは、ホワイト家当主のマーティン=ホワイトの・・・」
「ええ。知っています。でも彼もあの予言の夢をみた月の戦士の一人です。姫を守ることを最優先の使命とするはずです。それにホワイト家を継ぐ気はないといっているし、だから・・・」
「そうなの・・・・・・。だからあなたはクリス=ライアンの世話を受け入れられたのね」
「世話って・・・・・・」
 言いかけたが、それが本当のことだと絶句した。桔梗はさみしげに、
「ごめんなさい。変な言いかたして。でもやっぱりあなたと私は似ているわ。忍様も織田家を継ぐお考えはないから。それに私の家族のことと忍様は直接関係ないもの。だから私、忍様の元にいても平気・・・」
「そうですか・・・?」
 白龍の瞳に暗さが増す。
「僕は・・・実はあまり平気ではないんです。いくら直接関わっていなくたって・・・。わかっているんです、理性では。彼に何の罪もないことは・・・でもっ」
 顔を上げ、訴えるように桔梗の腕をつかんだ。
「でも頭から離れないんです。あの時の母の顔や父の最後の言葉・・・『自分だけを信じて生きていきなさい』と・・・。大好きだった叔父の最後の手紙には『ホワイト家の人間を信用するな』と・・・。信じていたんですよ・・・八才までの僕は。両親がいつも口癖のように言っていましたから。『こんなに幸せな生活ができるのはホワイト家のおかげだ』と」
「・・・・・・」
「その幸せな生活が壊れたのはみんな・・・みんなあいつらのせいなんですよ。テーミス王家の末裔だからといって、オレ達から絞り取った金でのうのうと暮らしている奴らの・・・っ」
「・・・・・・」
 ふわり、と温かい手が白龍の両頬を包んだ。
 白龍が我に返って何か言おうとしたとき、
「・・・・・・かわいそうに」
 静かに桔梗がつぶやいた。

↑↑↑

 桔梗自身はショックで家族を失った時の記憶を無くしているという。白龍のような思いをするのなら、記憶を取り戻したくない、と桔梗は言う。
 クリスのことを仲間として大切に思っているのなら、彼を憎んではいけない、と桔梗が言う。

 そんな話をしている最中に、クリスの気配が近づいてきた。
 見つからないうちに急いで帰る、という桔梗を呼びとめたものの、何も言えない白龍。
「また来てもいい?」
と、年上の貫録で微笑む桔梗に、もちろん、と答える白龍。

 桔梗が跳躍し、暗闇の中に消えて行ったところに、タイミング良くクリスが現れる。

↓↓↓

 振り返り、青い瞳を見返す。
「・・・・・・」
 知らず知らずクリスの顔と亡くなった叔父の顔が重なってしまう。少し似ているのだ。
「何やってんの?お前。書類ほっぽって」
「書類・・・・・・?ああそうか、高村さんに見てもらおうと思ったんだった・・・」
 半ば上の空で答える。先ほどの桔梗の言葉が離れない。
『クリス=ライアンのこと大切に思うでしょう?』
(・・・・・・大切?ああ、大切だよ)
 自嘲気味な笑みが浮かんでくることにも気がつかない。
(大切だよ・・・。彼は予言を成就させるための大切な『駒』だ。予言を成就させ、そしてテーミス王家になど頼らない新たな世界を・・・・・・)
「白龍どうした?」
 心配そうにクリスが顔を覗き込む。
 途端に白龍が息をのんだ。
(兄さん!)
 叔父の面影がクリスと重なり錯覚がおきる。
『ホワイト家のおかげでこうして暮らしていける』
『いくら感謝しても足りないくらいね』
 亡き父、母の声。そして・・・・・・
『ホワイト家の人間を信用するな。オレ達は利用されていただけなんだ。お前だけは生きてくれ。そして奴らを』
 叔父からの最後の走り書きのようなメッセージ。
(オレは・・・・・・)
「白龍?」
「! 触るなっ」
 とっさにはじいていた。クリスの白い手を。
「白龍・・・・・・」
 目を見開きクリスがつぶやく。
「あ・・・・・・」
 我に返り、白龍は自分のしたことの軽率さに内心舌を打った。
(何をやってるんだ、オレは・・・。感傷的になってもしょうがないだろう。こいつは大切な『駒』なんだ。こちらに手懐けるんだろう?万が一、ホワイト家に寝返ったりしたら・・・・・・)
「ごめん。その・・・びっくりして」
「うん。いいよ、別に」
 白龍がいいわけがましく言うのに、クリスはさみしそうに微笑み返し背をむけた。
「あ・・・・・・」
 そしてそのまま歩いていく。暗闇の中に金色の髪がとけこんでいく。一歩一歩離れて行く・・・。
「クリスッ」
 思わずさけんでいた。
「え?」
 驚いたようにクリスが振り返る。
「どうした?」
「あ・・・・・・いや」
 自分でもなぜ呼び止めたのか分からず、黙ってしまう。
(なんだ・・・・・・?今の気持ちは・・・・・・)
 それは『不安』というもの。彼を失うことに対する大きな不安。さみしさ。
(・・・・・・?)
 白龍は頭を軽くふった。
「なんでもない」
「そうか?」
 また歩き出すクリスに今度は遅れないようにその横を並んで歩いて行く。
『彼のことが好きでしょう?』
 桔梗の声が頭の中でこだまする。
(好き?オレがこいつを?ホワイト家の財力の下でお幸せに育ったこいつを?)
『彼を憎んではいけないわ』
(憎む対象ではない。そう決めたんだ・・・)
『自分の気持ちに正直に生きて』
(オレの気持ち・・・?目的はただ一つ。ホワイト家を取り潰すこと。そのためには何だってする。こいつのこともそのために利用しているだけだ)
「クリス」
 足を止め、クリスの腕をつかむと、
「わざわざ玄関にまわるのも面倒だ。ベランダから帰ろう」
「え・・・・・・」
 きょとんとクリスがみつめ返すのに、白龍は無表情を装ったまま、
「しっかりつかまっていてくれ。風に乗る」
「え・・・・・・」
 いうが早いか、白龍はクリスを連れて一気に二階のベランダまで跳躍した。
「すっげーーー」
 一瞬の出来事にほうけたままクリスがつぶやいた。
「風にのるって気持ちいいんだなぁ・・・」
「そうだな」
 適当に返事をしながら窓から中に入る。
(利用しているだけ・・・・・・それだけだ)
 白龍の瞳はいつもにも増して暗くなっていった。


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祝・黒白龍登場♪♪

まあ言うほど黒くはないけどね。若いしね。


とうとう8冊目に入りました。

個人的にビックリしたこと・・・・・・
白龍の叔父さんの名前が、うちの長男と同じ名前だった(字は違うけど)^^;

ホントは(○○兄さん!)と書かれていたのですが、やめときました。

ああビックリした。
これ書いた約十年後にまさか自分の子供にこの名前つけてたなんて^^;

全然覚えてなかったです。
読み返すまで、白龍の叔父さんの存在なんてトンと忘れていたし・・・。
名前書かれてるのも、この一回だけだしね。
幸せな死に方してないキャラなので、ちょっとフクザツ・・・。


さてさて、とうとう8冊目。

あと3回くらいでノートに書いた分は全部書き終わるかな。
なんだかさみしいな・・・・・・。

話自体は半分くらい?いやまだ?

こんな感じに要約と、書きたいシーンだけ抜粋で書いていこうかなあ、やっぱり・・・。
書きたいシーンが一つあるのよね・・・。

そう思うと、詳しい時系列表を書いた紙をシュレッターしてしまったことが悔やまれる。
うーん。思い出せるかな・・・・・・。

あとこないだから思ってたんだけど・・・
ホワイト家って・・・いまや某携帯会社のCMを連想するから嫌だなあ・・・

でもこれを書いたの20年以上前だからさ。
当時そのCMだって当然なかったからさ!!

コメント
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