創作小説屋

創作小説置き場。BL・R18あるのでご注意を。

月の女王-16

2014年08月09日 14時45分05秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』8冊目のノートから、抜粋。



「屋上、か」
「ああ。なんとかとバカは高いところが好きっていうからな」
「ちょ、ちょっと、何がいるっていうの?」
「だからバカがいるんだよ」
 軽口をたたきながらもクリスの表情は真剣だ。
 工場の壊れかけた鉄の非常階段はのぼるたびに大きな悲鳴をあげる。壁のあちらこちらにスプレーでいたずら書きがされていて、週末にどんな連中が集まっているのかを連想させている。
「よし、屋上ついた。と・・・・・・」
 屋上にたどりついた三人の目に入ったのは長身の男。朝日を背にしてたっているのでシルエットしか見えない。だが、クリスが「やっぱり」とつぶやいたのを香は聞き逃さなかった。
「ねえ、知ってる人・・・?」
 小声でいった香にクリスは苦々しく肯いた。
「オレの・・・・・・いとこだ」
「いと、こ?」
『ハイ!クリストティ!』
 男は嬉しそうにクリスに向かって手を振ると、
『久しぶりだね。何年・・・・・・』
「ここは日本だ。日本語で話せ、ジーン」
「おやおやおや・・・・・・」
 クリスの冷たい口調に男は大げさにため息をついてみせた。
「久しぶりの再会なのに冷たいネェ、クリスティ」
 ニッと笑った男の笑顔は不敵な感じがする。
「何が目的だ?あんな大人数催眠誘導してきて。なんのつもりだ?」
「なんのつもりって、それはもちろん香さんを敬愛する叔父上さまのところに連れて行くためだヨ。命令だからネ。今がチャンスだネ」
「そんなことできると思ってんのか?三対一で」
「三対一?」
 ジーンは、クリス、イズミ、そして自分を指差し、
「一、二、三・・・・・・ほんとだ。三対一だネ」
「何を言って・・・・・・」
「だって、さ、ネェ、古沢イズミさん」
 カツカツと音をたててこちらに歩いてくると、
「キミの大事なお姉さん、ボクの兄と結婚してるんだよネェ。それに最近、古沢の事業もあまりうまくいってないらしいネェ。キミがこのままホワイト家の命に逆らったらどうなるのかナァ」
「ジーンッてめぇ・・・」
「そうそう、クリスティ、アリスティは元気カナ?ケガでもしてないといいけど」
 さっとクリスの顔面が蒼白した。
「お前、まさかアリスに・・・・・・」
「やだナァ、何もしてないヨ。今はまだ、ネ」
「てめぇ・・・」
 にぎりしめたこぶしがふるえている。
 ジーンの方はくすくすと笑ったままだ。茶色がかった金髪、灰色がかった碧眼。クリスと顔のつくりは似ているが、雰囲気がまったく違う。
「さぁ、クリスティ、イズミさん。香さんをこちらに連れてきてください。肉親を傷つけられたくないのならネ。ほら、イズミさん・・・・・・」
「断る」
 腕を組んだまま、イズミが無表情に言い放った。
「え?今なんて・・・・・・」
「断る、といったんだ。姉や両親がどうなろうと私の知ったことではない。そんなものは香とくらべものにならない」
「イズミくん・・・」
 呆然としたように香がつぶやく。イズミは平然とジーンを見返した。
「そんなものを盾にしようとするとは心外だな。ジーン=マイルズ=ワルター。自分こそ両親の命などチリの重さにも感じていないくせに」
「あいかわらずクールだネ、イズミ。でもあのころのキミは姉さんを自分のことより大切にしていたのにナァ」
「人一人が守ることができるのはたった一人だ。今の私には香が一番大切だ。他は何もない」
「ふーん・・・・・・そう。じゃ、クリスティ、キミはどうする?」
「オレは・・・・・・」
「あぁ、そうか。キミもイズミと同じ?いや、ちょっと違うネ・・・キミはアリスティを憎んでいるのだっけネ?」
「な・・・・・・っ」
 おもしろそうにジーンはクリスの青ざめた顔をのぞきこみ、英語に切り替えた。
『よく考えてみたらボクの勘違いだね。クリスティ。キミがアリスティを見殺しにするなんて当然だよね。一度はその手で殺そうとしたんだものね」
「・・・・・・!」
 ジーンの言葉にクリスは苦しげに顔を背けた。ジーンは悦に入ったように、
『しょうがないよ。アリスティのせいでキミの母親は死んだんだもの。殺したくなるのもわかるよ』
「・・・・・・」
「あの・・・私、話がちっともつかめてないんだけど・・・」
 香は眉を寄せてジーンを見返し、
「とりあえず、あなた、誰?」
「おや、失礼。自己紹介していませんでしたネ」
 にっこりとわざとらしい笑みをうかべ、ジーンは優雅に頭を下げた。
「ハジメマシテ。ジーン=マイルズ=ワルターです。クリスティとはいとこという関係です。クリスティの母と僕の母は双子の姉妹なのです。ですから彼とは兄弟のように育てられました。小さいころのクリスティはそれはそれは天使のようにかわいらしく・・・・・・」
「そんなこと別に聞いてないんだけど」
「おや、では、何がききたいのですが?」
「あなたの目的よ。私を叔父さんのところへ連れていくっていったわよね?どうして?」
「どうしてって、命令でして・・・。あなたはホワイト家にとって重要な存在なんですヨ。月の姫」
「月の・・・姫?」
『・・・・・・ジーン』
 ききかえそうとした香の言葉に重ねてクリスは哀願の目をいとこに向けた。
『頼む・・・アリスには手を出さないでくれ。あいつは何も知らないんだ』
 ジーンは軽く肩をすくめ、
「だったらサ、月の姫をこっちにわたしてヨ。そうしたらアリスティには手をださないヨ」
 ジーンの言葉にクリスは目をふせたが、
「・・・・・・・・・」
 ふりかえり、そっと香の手を取った。
「え・・・・・・」
「クリストファー様・・・・・・?」
 香とイズミが目を見開く。ジーンはにっこりと、
「そうそう。クリスティ、いい子だネ・・・」
「・・・・・・・・・」
 クリスは香の手をつかんだまま、ゆっくりとジーンの方に視線をうつし、
「・・・・・・ジーン」
「なにかナ?クリスティ。早くこちらに姫を・・・・・・」
「香は渡さない」
 つかんだ手にぎゅっと力をこめ、クリスは言い切った。
「冗談じゃねぇよ。誰がてめぇのいいなりになるかよ」
「・・・・・・アリスティはどうする?」
「アリスは・・・アリスもオレが守る。香も渡さない。せっかく・・・・・・せっかくつかんだもの、オレは離さない!」
 どっとクリスの体が青いオーラに包まれた。


--------------------

長い・・・ので今日はここまで・・・。
せっかくなので、書いてあるラストまで丸丸うつすことにしました。

実はこのジーン=マイルズ=ワルターの存在も、読み返すまでスッポリ忘れておりました^^;
たぶん高3の受験のせいで中断して、そのまま20年以上経っちゃったんだよね~^^;

ではでは続きは明日。。。
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月の女王-15

2014年08月08日 14時40分22秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』8冊目のノートから、要約と抜粋2。


第4章 覚醒



 7月21日早朝6時過ぎ。
 香・イズミ・クリス・白龍の4人が、町はずれの工場跡地に向かって歩いていた。
 ぶーぶー文句を言うクリスとケンカをする香。

 ことの発端は、昨晩遅くにかかってきた一本の電話。同級生の<松村明美>が「助けてほしい」と言ってきた。
 明美が昨晩、他校の生徒にクリス達を連れてこいと言われたというのだ。
 妙子・クリス・白龍にのされた奴等が、いわゆる『お礼参り』を企てているらしい。

 妙子にはもう連絡済みだという。妙子は自分の友人達を連れて行くから、香達には絶対に知らせるな、と言っていたが、連れていかなかったら、自分も何をされるかわからないので、やっぱり香達にもきてほしい、という。
 そう言われて、嫌といえるはずもない香。
 イズミに事情を話し、クリスの家に電話をして、翌朝早く家を出てきたというわけだった。連中曰く、日中や夜だと目立つので、早朝が一番目立たなくて良いらしい。

↓↓↓

「あ、おはよう、松村さん」
「きてくれてありがとう、斉藤さん」
 松村明美が照れたように笑う。
(そういえば・・・・・・)
 ふと、香は一つのことに気がついた。
(私、連絡網以外で、電話でクラスの人と話すのなんて、夕子と妙子さん以外で初めてだったんだ)
 そう思うとなぜか恥ずかしくなってきた。
(しかも、松村さんと話すのなんてあれが初めてなのに、『早く寝てね。おやすみ』まで言われてる。うわー・・・)
 一人で赤くなっていると、いきなり後ろから甲高い叫び声があがった。
「ちょっとー!なんで香ちゃんがいるのよー?!危ないじゃないーっ」
「あ、妙子さん」
「んもーっだぁれ?!あたしの香ちゃんに知らせた人は?!言わないでっていったじゃないのっ」
「まぁまぁ妙子さん、あの場には私もいたんだから・・・ね?」
「もーっ香ちゃんってば優しいんだから・・・・・・ま、そこが好きなんだけど。じゃ、あんたたち」
 ぱっとふりかえるとクリス、白龍、イズミを指し、
「香ちゃんのこと守ってあげてよっ」
「・・・・・・お前にいわれたくねーよ」
 ぼそっとふてくされたようにクリスは言ったが、妙子はあえてそれを無視して、
「じゃ、よろしくね。・・・あ、きたきたきた」
と、妙子が言うが早いか、五人の高校生らしき男子がこちらにやってきた。
「香ちゃん、紹介するね。私の友達。右から順に、鈴木君、佐藤君、田中君、高橋君、渡辺君」
「・・・・・・それ本名?」
「本名よっ当たり前でしょっ。中学のときの友達なの」
 妙子がニッコリと笑う。鈴木君たちが香に頭を下げているのを見ながら、クリスは白龍に耳打ちした。
「よくいうよな、友達だってよ。ありゃ、噂に名高い織田さんのとこの・・・・・・」
「菅原司直属の先鋭隊だな。僕も初めてみた」
「あんなもん動かせるってことは、妙子ってかなり司に信用されてるってことだよな」
「ああ。それにしてもどういうつもりだ?先鋭隊まで引っ張りだしてきて・・・」
「ちょっとあんたたちっ。男二人でなにコソコソやってんの」
 二人の間にぐいぐい入り込んだかと思うと、妙子はふと表情をあらためた。
「香ちゃんにあたしのこと言ってないの?」
「『あたしのこと』ってなんだよ?」
「今さらとぼけないでよね。知ってるんでしょ?」
「なにを?」
「・・・・・・まあいいわ。いわないでいてくれたことには感謝するわ。なるべくならこれからも内緒にしておいてほしいんだけど・・・お願いできる?」
「・・・・・・さあな」
 クリスはふいと視線を外した。その先では香とイズミと松村明美がなにやら楽しそうに話している。
「目的は何ですか?」
「目的?今日のこと?」
「ええ。先鋭隊まで連れてくるなんて・・・・・・」
「今日の目的はただ一つ。月の姫を傷つける可能性のある者を排除すること。それだけよ。あんた達に手を出したり、ましてや月の姫をこの機会に連れて行くなんてことは考えてないわよ」
「・・・・・・」
 信用できない、といった表情でクリスと白龍に見られ、妙子はちょっと首をすくめた。
「本当よ。だいたい、先鋭隊の五人ごときがあんたたちにかなうわけないじゃない」
「それはそれは・・・ずいぶん高く評価されたもんだな」
「あら、だって・・・」
と、妙子がいいかえそうとした、その時、
「きたっ」
 緊迫した声が上がった。
 工場の裏門のほうから男女二十名ほどが歩いてきた。歩いているのだが・・・・・・。
「なんか・・・・・・様子がおかしくないか?」
「自分の意思で歩いているわけではないようですね」
「どういうこと・・・?」
「つまり・・・」
「ね、なんか変じゃない?」
 ぐいっとクリスのシャツのすそをひっぱり、香が顔を出した。明美も異変に気がつき動揺しているようである。
「香、オレ達のそば、離れるなよ。・・・ワナかもしれない」
「ワナ?ワナって・・・スタンくんたちの?」
「いや、違うと思う」
 いやにきっぱりとクリスがいいきったのと同時に、
「きたよっ」
 わっと叫び声が上がった。前触れもなく、彼らは凶器となるべく棒やナイフをもってこちらに走ってきたのだ。明美が固まって震えるのを見て、妙子が中に割って入り、
「あんたはそこの物入れの中に入って扉を開かないようにして!何があっても出てきちゃだめだよ!」
 いいながらも、相手のナイフを蹴り落としている。明美があわてて物入れの中に入る。
「鈴木君佐藤君田中君高橋君渡辺君っ片っぱしからやっちゃってっ殺さない程度にねっ」
 こちらの方が人数は少ないが、妙子と鈴木君達の強さは抜群で、断然こちらが優勢に見える。
 妙子が悠々とふいうちを狙ったらしい男子生徒をけりあげた。それに対し、香はほうっと感心したように、
「すっごーい。妙子さんってば体柔らかーい。あんなに足あがるなんて」
「お前な・・・そんなこと悠長に言ってる場合か?」
「え?だってこっちの方が勝ってるじゃない?」
「いや・・・このままだと負ける」
 横でこの様子を黙って観察していたイズミが無表情に言い放った。
「え?なんで?」
「よく見てみろ、香。あいつら痛みも疲れも感じていない。それに対してこっちはかなり疲労している。本庄妙子ですら・・・」
「な・・・どうして・・・」
「何者かに操られているようですよ。ですから彼らは催眠状態であって自分が何をしているのかすら分かっていない」
「逃げたほうがよさそうだな」
「に、逃げるって・・・そんな、妙子さんを置いて・・・」
 言いかけたが、はっと口をつぐんだ。
「こっちに・・・きてる・・・」
「あいつらの狙いはお前だな、香」
 クリスは香を背にかくし、妙子に向かって叫んだ。
「妙子っ。奴等を食い止めろっ。オレ達で震源地を突き止めるっ」
「早くしてよっそうそう長くもたないからねっ」
 叫び返す妙子はなぜか楽しそうだ。しかし確かに動きは鈍ってきている。
「白龍、わかるか?」
「工場の屋上に一人。しかし、あれは・・・」
 言いかけたところに、鉄の棒を持った男がこちらに突進してきた。白龍が手をかざし風をおこす。
「白龍、ここで足止めしててくれるか?」
「・・・わかった。気をつけてくれ」
「うん。お前も。・・・じゃ、いくぞっ香、イズミ」
 ぐいっと香の腕をひっぱりクリスはかけだした。

↑↑↑

-----------------

さて。あと一回・・・むむむ。あと二回ってとこか・・・。
せっかくだから残りは全部写そうかな・・・
長いかな・・・^^;

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月の女王-14

2014年08月07日 10時32分24秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』8冊目のノートから、要約と抜粋。 



 織田ミロクの部屋を訪れる風間忍。
 ミロクの就寝前に顔を出すのが日課となっている。

「忍兄様、ぼくこの前から同じ夢ばかりみるんだよ。どうしてかなあ?」
とミロクがいいだした。

 夢の内容は、大きな丸いものと話をしている。何を話しているのかは分からない。でもいつも隣に同じ女の人がいる。その女の人は全然知らない人だけれども、忍兄様と一緒にいるときみたいにとても安心する。というもの。

 その夢を見始めたのは、14日の夜からだという。14日といえば月の姫の18才の誕生日・・・。

 ミロクが規則的な寝息を立て始めたのを見届けてから、忍は自室に戻ろうと廊下に出た。そのあとを真田がついてくる。

↓↓↓

 長い廊下に二人の足音だけが響いている。
 真田は一歩遅れて忍の後をついてきている。忍の方はそんな真田を振り返りもせずに歩いていたが、
「忍様・・・・・・お体のほうは・・・」
「真田」
 ピクリと肩を震わせ立ち止まると、
「ネズミがいるな」
「・・・・・・え?」
 聞き返した真田をおいて、さっさと自室に入りソファに身を埋めると、ドアをしめさせた。
「忍様・・・?」
「最近、司兄様の手の者に張られているんだよ。これではおちおち外で話もできない」
「司様が・・・。あ、でも忍様、このお部屋にももしかしたら・・・」
「大丈夫だ。この部屋に何か小細工をされた形跡はない。・・・といっても、お前か桔梗が何かをしたとしたら私にもわからないが」
「そのようなことは・・・・・・」
 うやうやしく真田が頭を下げる。
 風間忍には気配を見分ける能力がある。その日一日ぐらいは部屋の中に入った者を当てることができる。

「お前はミロクから夢の話をきいたか?」
「はい。大きな丸いものとお話をなさった、とおっしゃって・・・」
「その大きな丸いもの、というのは具体的にはどのようなものだと?」
「はい・・・ミロク様のお話によりますと、それは空に浮かんでいて、色は黄色ということです。ですからそれは・・・」
「月、か」
 ふいに顔を上げ、忍がつぶやいた。その瞳に微妙な興奮がみられる。
「はい。おそらく・・・」
「それで、いつも隣にいる人、というのは?」
「少し年上の、黒い長い髪の女の方だと」
「黒い長い髪・・・・・・。真田」
「は、はい」
 いきなり強い口調で名前を呼ばれ背筋を伸ばす。
 しかし呼んだほうの忍は、真田を背に窓辺に歩みより、
「・・・・・・月、か」
「・・・・・・?」
 ほっそりとした忍の影が床に長くうつしだされる。青白い月の光に照らされて忍の白い肌が透き通る。
「もうすぐだな・・・・・・」
 忍は月にむかって微笑みをうかべている。
 月は、陰り一つなく輝いている。


-------------------------------

時系列を書いてみようと、とりあえず香の誕生日から表にしてみた。
で、気がついた。

まだ週休二日じゃないから土曜日も当然学校だし、
海の日が制定される前だから、7月20日が一学期の終業式です。はい。
うん。時代を感じますね^^;

14日(火)香の誕生日
15日(水)クリス・白龍、転入。広樹の件。手に襲われる。アーサー来る。
16日(木)妙子転入。テニスコート横、手に襲われる。白龍倒れる。
17日(金)朝襲われる。香能力発動。放課後イズミ来る。
18日(土)更衣室からスタンにさらわれる。
19日(日)妙子の呼び出し→リンクススタンとの戦い。海での封印解除の儀式。
20日(月)大掃除。帰りにマック。恐喝されている同級生を助ける。

で、上記の話が20日の夜。

その後は、

21日(火)
22日(水)
23日(木)
24日(金)誕生日から10日目。第二の予言の日。

です。ノートに書いてあるのは21日の朝まで。

でも、記憶を掘り起こしてみて、
確かこういう設定だった・・・と色々思い出してきました。

これから24日までに、香の封印がとかれるのかどうか?!
が、一番問題ですね。
あーあのシーン書きたい。書こう。なんかワクワクしてきた。

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月の女王-13

2014年08月06日 11時22分26秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』7~8冊目のノートから、要約と抜粋3。


 学校に提出する書類を高村にチェックしてもらおうとリビングに入りかけた白龍。
 夜なのにケーキを食べたいとごねるクリスとそれをたしなめる高村がイチャイチャしているのを目撃し、入りづらくて自分の部屋に戻っていく。

 当然、白龍がドアの向こうにいると分かっていて、ついついふざけて芝居っけを出していたクリスと高村。クリスが謝ろうと散らばった書類を拾い集めて白龍の部屋に行ったが、白龍はおらず、全開の窓辺のカーテンがはためいていた。
「そんなに刺激的だったかな・・・」
 つぶやくクリス。

 白龍は別に頭を冷やすために外に出て行ったわけではなかった。
 誰かに呼ばれたような気がして窓をあけると、マンションのすぐ真下の公園で紫のオーラが光っていたのだ。
(彼女だ!)
 白龍は躊躇することなく窓から飛び降りた。

 桔梗はハンカチを返しにきたのだという。
 怪我の心配をする白龍に「このくらいの怪我慣れてるから」と微笑む桔梗。

 思わず「会いたかった」と言ってしまい赤面する白龍。
 桔梗も、自分と境遇が似ている白龍と話がしたかった、という。

 桔梗は家族を織田家のために無くし、自分も殺されるところだったのを忍に助けられた、という。
 似ている、という桔梗に、白龍は頭を振る。

 自分は、家族を奪ったホワイト家の世話になどなれない。あなたは織田家の忍の元にいて本当に平気なのか?と。

↓↓↓

「ホワイト家を憎んでいるの?」
「憎むなんて・・・・・・」
 言葉を切り、大きくため息をつく。
「憎むなんて、そんな言葉では言い尽くせません。何もできない自分が情けなくて・・・。だからこそ、この予言のことを知ったときには驚喜しましたよ。これでホワイト家を取り潰すことができるって・・・。僕は必ず姫を覚醒させますよ。そして姫を守る。ホワイト家なんかに絶対に利用させない」
「でも・・・大地の使いクリス=ライアンは、ホワイト家当主のマーティン=ホワイトの・・・」
「ええ。知っています。でも彼もあの予言の夢をみた月の戦士の一人です。姫を守ることを最優先の使命とするはずです。それにホワイト家を継ぐ気はないといっているし、だから・・・」
「そうなの・・・・・・。だからあなたはクリス=ライアンの世話を受け入れられたのね」
「世話って・・・・・・」
 言いかけたが、それが本当のことだと絶句した。桔梗はさみしげに、
「ごめんなさい。変な言いかたして。でもやっぱりあなたと私は似ているわ。忍様も織田家を継ぐお考えはないから。それに私の家族のことと忍様は直接関係ないもの。だから私、忍様の元にいても平気・・・」
「そうですか・・・?」
 白龍の瞳に暗さが増す。
「僕は・・・実はあまり平気ではないんです。いくら直接関わっていなくたって・・・。わかっているんです、理性では。彼に何の罪もないことは・・・でもっ」
 顔を上げ、訴えるように桔梗の腕をつかんだ。
「でも頭から離れないんです。あの時の母の顔や父の最後の言葉・・・『自分だけを信じて生きていきなさい』と・・・。大好きだった叔父の最後の手紙には『ホワイト家の人間を信用するな』と・・・。信じていたんですよ・・・八才までの僕は。両親がいつも口癖のように言っていましたから。『こんなに幸せな生活ができるのはホワイト家のおかげだ』と」
「・・・・・・」
「その幸せな生活が壊れたのはみんな・・・みんなあいつらのせいなんですよ。テーミス王家の末裔だからといって、オレ達から絞り取った金でのうのうと暮らしている奴らの・・・っ」
「・・・・・・」
 ふわり、と温かい手が白龍の両頬を包んだ。
 白龍が我に返って何か言おうとしたとき、
「・・・・・・かわいそうに」
 静かに桔梗がつぶやいた。

↑↑↑

 桔梗自身はショックで家族を失った時の記憶を無くしているという。白龍のような思いをするのなら、記憶を取り戻したくない、と桔梗は言う。
 クリスのことを仲間として大切に思っているのなら、彼を憎んではいけない、と桔梗が言う。

 そんな話をしている最中に、クリスの気配が近づいてきた。
 見つからないうちに急いで帰る、という桔梗を呼びとめたものの、何も言えない白龍。
「また来てもいい?」
と、年上の貫録で微笑む桔梗に、もちろん、と答える白龍。

 桔梗が跳躍し、暗闇の中に消えて行ったところに、タイミング良くクリスが現れる。

↓↓↓

 振り返り、青い瞳を見返す。
「・・・・・・」
 知らず知らずクリスの顔と亡くなった叔父の顔が重なってしまう。少し似ているのだ。
「何やってんの?お前。書類ほっぽって」
「書類・・・・・・?ああそうか、高村さんに見てもらおうと思ったんだった・・・」
 半ば上の空で答える。先ほどの桔梗の言葉が離れない。
『クリス=ライアンのこと大切に思うでしょう?』
(・・・・・・大切?ああ、大切だよ)
 自嘲気味な笑みが浮かんでくることにも気がつかない。
(大切だよ・・・。彼は予言を成就させるための大切な『駒』だ。予言を成就させ、そしてテーミス王家になど頼らない新たな世界を・・・・・・)
「白龍どうした?」
 心配そうにクリスが顔を覗き込む。
 途端に白龍が息をのんだ。
(兄さん!)
 叔父の面影がクリスと重なり錯覚がおきる。
『ホワイト家のおかげでこうして暮らしていける』
『いくら感謝しても足りないくらいね』
 亡き父、母の声。そして・・・・・・
『ホワイト家の人間を信用するな。オレ達は利用されていただけなんだ。お前だけは生きてくれ。そして奴らを』
 叔父からの最後の走り書きのようなメッセージ。
(オレは・・・・・・)
「白龍?」
「! 触るなっ」
 とっさにはじいていた。クリスの白い手を。
「白龍・・・・・・」
 目を見開きクリスがつぶやく。
「あ・・・・・・」
 我に返り、白龍は自分のしたことの軽率さに内心舌を打った。
(何をやってるんだ、オレは・・・。感傷的になってもしょうがないだろう。こいつは大切な『駒』なんだ。こちらに手懐けるんだろう?万が一、ホワイト家に寝返ったりしたら・・・・・・)
「ごめん。その・・・びっくりして」
「うん。いいよ、別に」
 白龍がいいわけがましく言うのに、クリスはさみしそうに微笑み返し背をむけた。
「あ・・・・・・」
 そしてそのまま歩いていく。暗闇の中に金色の髪がとけこんでいく。一歩一歩離れて行く・・・。
「クリスッ」
 思わずさけんでいた。
「え?」
 驚いたようにクリスが振り返る。
「どうした?」
「あ・・・・・・いや」
 自分でもなぜ呼び止めたのか分からず、黙ってしまう。
(なんだ・・・・・・?今の気持ちは・・・・・・)
 それは『不安』というもの。彼を失うことに対する大きな不安。さみしさ。
(・・・・・・?)
 白龍は頭を軽くふった。
「なんでもない」
「そうか?」
 また歩き出すクリスに今度は遅れないようにその横を並んで歩いて行く。
『彼のことが好きでしょう?』
 桔梗の声が頭の中でこだまする。
(好き?オレがこいつを?ホワイト家の財力の下でお幸せに育ったこいつを?)
『彼を憎んではいけないわ』
(憎む対象ではない。そう決めたんだ・・・)
『自分の気持ちに正直に生きて』
(オレの気持ち・・・?目的はただ一つ。ホワイト家を取り潰すこと。そのためには何だってする。こいつのこともそのために利用しているだけだ)
「クリス」
 足を止め、クリスの腕をつかむと、
「わざわざ玄関にまわるのも面倒だ。ベランダから帰ろう」
「え・・・・・・」
 きょとんとクリスがみつめ返すのに、白龍は無表情を装ったまま、
「しっかりつかまっていてくれ。風に乗る」
「え・・・・・・」
 いうが早いか、白龍はクリスを連れて一気に二階のベランダまで跳躍した。
「すっげーーー」
 一瞬の出来事にほうけたままクリスがつぶやいた。
「風にのるって気持ちいいんだなぁ・・・」
「そうだな」
 適当に返事をしながら窓から中に入る。
(利用しているだけ・・・・・・それだけだ)
 白龍の瞳はいつもにも増して暗くなっていった。


-------------------------

祝・黒白龍登場♪♪

まあ言うほど黒くはないけどね。若いしね。


とうとう8冊目に入りました。

個人的にビックリしたこと・・・・・・
白龍の叔父さんの名前が、うちの長男と同じ名前だった(字は違うけど)^^;

ホントは(○○兄さん!)と書かれていたのですが、やめときました。

ああビックリした。
これ書いた約十年後にまさか自分の子供にこの名前つけてたなんて^^;

全然覚えてなかったです。
読み返すまで、白龍の叔父さんの存在なんてトンと忘れていたし・・・。
名前書かれてるのも、この一回だけだしね。
幸せな死に方してないキャラなので、ちょっとフクザツ・・・。


さてさて、とうとう8冊目。

あと3回くらいでノートに書いた分は全部書き終わるかな。
なんだかさみしいな・・・・・・。

話自体は半分くらい?いやまだ?

こんな感じに要約と、書きたいシーンだけ抜粋で書いていこうかなあ、やっぱり・・・。
書きたいシーンが一つあるのよね・・・。

そう思うと、詳しい時系列表を書いた紙をシュレッターしてしまったことが悔やまれる。
うーん。思い出せるかな・・・・・・。

あとこないだから思ってたんだけど・・・
ホワイト家って・・・いまや某携帯会社のCMを連想するから嫌だなあ・・・

でもこれを書いたの20年以上前だからさ。
当時そのCMだって当然なかったからさ!!

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月の女王-12

2014年08月05日 17時02分01秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
『月の女王』7冊目のノートから、要約と抜粋2。

↓↓↓

 東京、目黒にある織田邸の一室、菅原司のプライベート専用の部屋に、スタン=ウェーバーは幼馴染のリンクス=ホウジョウと共に呼びだされた。内容はあいかわらず聞かされていない。リンクスもあいかわらず何もいってくれない。
「リンクス=ホウジョウ、スタン=ウェーバー、参りました」
「入れ」
 人を命令するのに慣れた声が厚いドアの向こうから聞こえてきた。何度聞いても好きになれない、と密かにスタンは思う。
「・・・ということから『月の姫』の封印はいまだ完全にはとけていないと思われます」
 司の前に立っている少女が入ってきたスタン達には見向きもせずに報告を続けている。
「ですが、感情の高まりにより、一時的に本来の力を発揮するということは、今までの実験結果でもおわかりのことと・・・」
「ああ、わかった。もういい」
 面倒くさそうに話を打ち切り、
「お前はもう帰っていいぞ」
「はい・・・あの、司様、お願があります」
 ついと少女が顔をあげた。司は尊大な口調で、
「なんだ。言ってみろ」
「はい・・・・・・司様の先鋭隊の高校生を五人ほど派遣いただきたいのです」
「別にいいが・・・何に使うんだ?」
「はい・・・近頃『月の姫』の通う高校の生徒をターゲットにした恐喝事件が相次いでおりまして・・・本日も危ういところで姫が巻き込まれそうになりました」
 ポニーテールがかすかに揺れる。
「姫に危険が及ぶ前に、その者たちの排除を・・・」
「ああ、かまわん」
 司はにやりと笑うと、
「五人などではなく、もっと連れて行ってもいいぞ。なにしろ『月の姫』はオレの妻となる女だからな」
「つ、妻ぁ?!」
 思わずすっとんきょうな声で叫んでしまい、スタンは並んでいるリンクスに小さくこずかれた。
(つ、妻・・・・・・げーーー香ちゃんかわいそーーー)
 思いながら、はたと一つのことに気がついた。
(ってことは、香ちゃんの決められた男って・・・司?)
 司の顔色をうかがおうと視線を走らせたが、司のほうはなにやら考えこむように少女を見つめていた。
「妙子、お前、今いくつだ?」
「・・・・・・十八です」
 少女・・・・・・本庄妙子がうつむいたまま答えると、
「顔をあげろ。・・・・・・十八か。だんだん美奈子に似てきたな。初めて会ったときはとても親子には見えなかったのにな」
「司様・・・・・・」
 目を伏せた妙子の横顔がなぜかさみしそうに見える。
「ではこの先も『月の姫』のそばから離れるな。わかっているな?自分の役目は」
「はい・・・失礼いたします」
 音もなく立ちあがり、妙子は出て行った。

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 部屋に残ったリンクスとスタンは司から、

・月の姫の封印をとくには月の戦士の力が必要なはずだから、封印が完全にとけるまでは監視のみでよい。
・封印が完全にとけてから、自分の元に月の姫を連れてくるように。
・月の戦士・西の白龍の両親は、ホワイト家当主が直接関わっていた汚職事件のもみ消しのために自殺に追い込まれた。東のクリスは当主の甥である。この事実は二人を仲違いさせるのに使える。

 という話をされる。

(えっらそうだなぁ。自分は何にもしないくせに・・・・・・)
と、スタンは心の中で思っても、リンクスのために口にも顔にもださないよう気をつける。

 部屋を出たところで、待っていた妙子に呼び止められる二人。客室に案内される。

 白龍とクリスの話が、どうも司が独自に調べたことではなく、忍がわざと司に漏らしてきた話のようなのが気になる、と妙子は言う。
 妙子自身はそのことに、桔梗との会話から気がついたのだが、そうなってくると、自分がそのことに気がついたこと事態も、忍の計画の一つなのでは?と・・・忍の考えがまったく分からないのが不安だという。

「それって、司・・・様(←リンクスに「様をつけろ」と言われている)が弟に利用されてるってことじゃないの?」

 スタンの発言に、リンクスが激しく言い咎める。
 男二人の険悪なムードをあえて無視して、妙子が淡々と話を進める。

 桔梗のことを「桔梗姉さん」と呼ぶ妙子に、「妙子と桔梗って姉妹なの?」と聞くスタン。
 妙子が司に仕えはじめたときに、忍が年の近い桔梗を紹介してくれたのが、桔梗との出会いだという。


↓↓↓

「とにかく」
 前触れもなくリンクスは立ちあがり、二人に向かって宣言した。
「オレ達がすべきことは司様の命に従うこと、それだけだ。これが忍様の計画だろうがなんだろうが関係ない。司様のために行動する。それのみ」
 そしてさっさとドアに向かって歩き出し、
「いくぞ、スタン」
と、一言だけ声をかけて部屋を出て行った。
「あーもー置いていくんだからー」
 スタンはぶつぶついいながらコーヒーを飲みほし、慌てて立ち上がると、
「コーヒーごちそうさま」
といい、続いて出て行こうとしたが、
「あ、そうだ、妙子」
 ふと思い出して立ち止った。
「なに?」
「香ちゃんの『決められた男』って司のことなの?」
「・・・・・・」
 一瞬とまどったような間が空いたが、
「分からないのよ。まだ。でも、司様にならなくてはならない・・・・・・」
「ふーん・・・・・・」
 よくわからない日本語だなあ、とスタンは思った。
「でさ、香ちゃんって、結局何なの?リンク、そういうこと全然教えてくれないんだよ」
「あたしも詳しいことは知らないの。でも、一つだけ確かなのは『月の姫を手に入れた男は世界を手にいれることができる』ってこと・・・」
「へぇぇぇぇ・・・想像つかないなぁ。香ちゃんって普通の子なのにね・・・」
「そうね・・・・・・でも不思議な子よ、あの子。なんかそばについていてあげたいって気持ちにさせられるの」
「ふーん・・・あ」
 外からバイクのエンジンの音が聞こえてきた。リンクスが待っているようだ。
「じゃ、いくね。妙子。香ちゃんを・・・」
「なに?」
「香ちゃんを守ってあげてねっ」
 勢いよく飛び出していったスタンを見送ったあと、妙子は力なくソファーに座りこんだ。
「守ってあげたいわよ。できることなら。・・・・・・でも」
 クッションを抱き込み、小さくつぶやく。
「司様・・・・・・あなたを裏切りたくない」
 その声は誰にも聞かれることはなかった。

↑↑↑

 香の部屋。香がオーラを操る練習をイズミにしてもらっているがなかなかうまくいかない。
 力を大きくしようとすると、頭の中に靄がかかってしまい、何かがこれ以上力を大きくするのを止めようとする、と香が言う。
 香がイズミに「いつから能力がつかえるようになったの?」と聞く。

 するとイズミは、十年前、夢に老婆が現れてからだ、と答える。おそらく他の三人も同じ夢を見ていると思う、というイズミの言葉に、香は自分は見ていないから能力ないのでは・・・というが。


(あなたは夢などではなく直接本人に会っている・・・十年前に。そしてあまりにも強すぎるその能力を封じられたんだ。今こそ封印を解く時がきたのに・・・・・・)
「イズミくん?」
 香の声にはっと手を離した、不思議そうな瞳で見上げる香は無邪気そのものだ。
(なぜ、封印はとかれたのに能力が戻ってこないのだ?やはり白龍がいっていたように姫自身が封印を・・・・・・)


 真剣に見つめてくるイズミに照れる香。ただでさえカッコいいのに・・・という香のセリフに、イズミはカッコいいと言われるのは複雑・・・という。
 CMに出て以来、女子からプレゼントが届くようになったし、バレンタインのチョコレートもたくさんきてお返しが大変だったという。

 あげるほうも一生懸命なのよ!という香に、チョコあげたことあるんだ?と聞くイズミ。

 実は中学三年生のときに、塾が一緒だった男の子に片思いをしていて、チョコをあげようとしたけれども、彼女がいると知ってできなかった、という香。
 彼のことはただ見ているだけで、一度も話したこともなく、彼女がいると知った時も別にショックを受けなかったという。

↓↓↓

「なんで話しかけてみなかったんだ?遠くで見ているだけで十分ってやつ?」
「ま、それもあるけど・・・」
 香はちょっと肩をすくめると、
「私、男の子と話すの苦手だから。基本的に初対面の人とも話せないし」
「そのわりには、クリスト・・・・・・クリスとはよくしゃべってるじゃないか?あれはなんだ?」
「あれは、あっちが話しかけてくるからっ」
 急にムキなったように香が反論した。イズミは面白そうに、
「でも白龍や高村さんと話すときはやけに緊張しているし、アーサーと話すときは真っ赤になってるし・・・」
「や、やっぱり赤くなってる?!私?!」
「なってるよ。やっぱり香、アーサーのこと・・・・・・」
「あーもーっ。イズミくんまであのバカと同じこと言わないでよっ」
「あのバカ・・・・・・?」
 少し考え、それがクリスのことだと気がつき、
「そんな風にいうのってクリス相手だけだよな、香って。本当は香、アーサーじゃなくてクリスのことのほうが・・・・・・」
「きゃーきゃーきゃーっ」
 ばしばしとクッションではたきながら、香は真っ赤になっている。イズミはそれを受け止めて、
「図星、か?」
「なにいってるのよっ。アーサーさんはその中三のときに好きだった人にちょっと似てて、好きな本に出てくる人にも似てて、憧れてただけっ」
「じゃ、クリスは?」
「あ、あれは・・・なんか初めから話しやすくて・・・昔から知ってた人みたいっていうか・・・」
 香はうーんと考えこんだが、ポンッと手をうつと断言するように言った。
「弟よ。弟がいたらこんな感じよきっと」
「ふーん・・・弟ね・・・仲良し姉弟だねぇ」
 ひやかし気味にいうイズミに香はがなりついた。
「私のことはいいからっ。イズミくんはどうなわけ?!好きな人は!?いるの?いないの?!」
「え、私?!」
「そうよっ白状しなさいっ」
「そ、そんなこと言っても・・・」
 女同士の長い夜はまだまだ続きそうである。

↑↑↑

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七冊目、もうちょっとで終わるんだけどーーー。
夏休みでなかなか書けませんっ。

今、子供達が習い事いってる隙に書いてみたっ。
あと5分くらいで帰ってくるはず。

とりあえず切りのよいここまで!!ギリギリセーフ!


コメント
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