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レニングラード国立バレエ~ミハイロフスキー劇場~2012年1月5日「海賊」感想




レニングラード国立バレエ
―ミハイロフスキー劇場―
「海 賊」

―全2幕4場―
プロローグとエピローグ付
2012年1月5日(木)18:30開演 東京文化会館
<キャスト>
メドーラ:イリーナ・ペレン
コンラッド(海賊の首領):ファルフ・ルジマトフ
アリ(海賊):レオニード・サラファーノフ

ギュリナーラ:サビーナ・ヤパーロワ
ランケデム(奴隷商人):アレクサンドル・オマール
ビルバント(海賊):ウラジーミル・ツァル
セイード・パシャ(トルコの総督):マラト・シェミウノフ

フォルバン:オリガ・セミョーノワ
クリスティーナ・マフヴィラーゼ
ニーナ・オスマノワ
ニコライ・アルジャエフ
ロマン・ペトゥホフ

アルジェリアの踊り:アレクセイ・クズネツォフ

オダリスク:
タチアナ・ミリツェワ
アンナ・クリギナ
ヴァレリア・ザパスニコワ

指揮:アナトーリー・リバルコ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
第1幕約60分 休憩20分 第2幕約30分



昨日(1月10日)弟一家が遊びにきたのですが、仕事が休みなのに私が家にいるのをみて、
「めっずらしー!!!!」と言ってました。
1月1日の新年会を仕事で欠席したときなんて、「どこ行くの?スケート?バレエ?」と訊かれるし・・・
働いてたから!お正月は!!!!失礼しちゃうよ!


さてさて、ルジマトフがマールイの芸術監督に就任したときに(もう監督はやめたけど。現在芸術顧問。)新製作したのがこの「海賊」です。

マールイでの「海賊」のプロダクションは
マリウス・プティパ版をもとにピョートル・グーセフが1955年に第一弾を発表。
その後グーセフの決定版を1968年に取り入れていました。
グーセフ版でコンラッドを何度も踊っていたニコライ・ボヤルチコフが芸術監督となったのは1978年。
しばらくボヤリーは1980年に手がけた「白鳥の湖」以外は、演劇的な作品や、社会的なもの、前衛的なものを創ることが多く、クラシックに関しては、従来のレパートリーに拠っていましたが、90年代に入って古典作品のリニューアルや新製作を次々と開始。
その中で、「海賊」も1994年に、グーセフ版(オリジナルデザインのヴィルサラーゼの美術も含めて)を復活蘇演。
ボヤリーの昔のインタビューで『「活ける花園」の場面はややほのぼのとしすぎているきらいがありますが』という質問に対して『現在改良を試みています』と言ってましたが、そこらへんはプチ改良などを重ねていたのかな。

そして今回日本での初演となるこのプロダクションは、芸監になったときにルジが手がけたもの。
冗長な部分を省き、『よりスピーディーな展開』をということで、2009年3月に世界初演となりました。

海賊の魅力って、ある程度はその冗長なところにもあると思うので、二幕仕立て、かつ休憩含めて2時間で終わるって、どれだけ削られちゃってるんだろう、、、とちょっぴり不安もありました。
ネットなどの写真で見る衣装もイマイチ、ピンと来なかったし。

海賊で一番無駄というか、、バレエファンにとっては無駄ではないですけども、要はコール・ド・バレエとバレエファンのためにだけ存在するような「活ける花園の場」とか(あまりにも、ストーリーには関係なさすぎるし)ばっさり削られてたらどないしよー、ルジに藁人形届けるわけにはいかないしな。。。
なんて心配しましたが、花園はいくらなんでもカットされてないのは写真などで確認済み。
自分としては「まー、座布団組はナシ、だろう。。。。しかしそれにしても、どこをどう削ったら、2時間。。。」
と不思議だったわけです。



いやー!考えましたね~、ルジ!!!!
さすが~。

チョコチョコ削って、ストーリーのつじつま合わせも全然無理がないですし、「な、あるほど!」と感心しました。
よく海賊に限らず、古典に「合理性」を持ち込もうとすると、あまり上手く行ってなかったりしますけども、
これはほんとにわかりやすい!ハラショー!


ま、前の版の無駄もかなり好きだったのですが、これはこれでいい作品だと思います。
何より、めちゃ楽しかったから!



前置きが長くなりましたが、感想です。


観た場所:文化会館センター寄り通路側、けっこう前の方の席

プロローグの難破シーン
けっこう装置も大掛かりだし、演出も美術も豪華です。背景が美しい!
ま、でも、、、、実はプロローグのあたりはですね、すっかり指揮者のルバルコさんに目が釘付け。
というか、わたしの周り、みんな舞台よりも、指揮者のほうに首が固定されてたよ!

この日は「ガラの日はもう1人の指揮者で、ルバルコさんじゃなかった」と思ったのですが、
よくよく見直してみたら、ガラの日の指揮者も彼だった。。。全然覚えていないよ。

ルバルコさんの指揮は怒涛系は怒涛系なんですが、、、なんつうか、あの、わりと小柄な方だと思いますが、
イメージとしては「指揮のプレースタイルは岩城宏之、そんで彼をそのまんま上下にぎゅぎゅぎゅぎゅっと縮めた感じ」なのですね。(顔は全然似てません)
動きが激しいといっても、小澤氏や佐渡さんとか、レニー・バーンスタインみたいなああいう激しさではないんですよ。

開始早々、「この人途中で血管切れたらどうしよう」と心配になる力の入りっぷり。
あれは絶対に頚椎を傷めそうだよー。

ザ・熱血でとても「海賊」にふさわしかったですね。

で、気がついたら、お船がお空に消えて行きましたよ~、って(笑)

初演のリハーサルの写真

舞台写真と映像
きゃー、プハチョフかっこいい!やっぱりプハチョフはコンラッドが一番好きだなー。
憂いの王子もいいけども。こういう兄貴な役柄が一番好きだよ!


第1幕第1場 浜辺のシーン
パンフレットのルジマトフの写真がバンダナなしで、少しがっかりしていたのですが、きちんと本物のフル装備衣装で登場です。
最近は筋トレにも励んでいるそうですが、素晴らしい肉体でした。
アリは今回は「奴隷」ではなくコンラッドの友人という設定でしたが(長年アリを踊ってきたルジにとって、ここは譲れなかったのかな~)、ま、特に同士・友人という雰囲気はなかったかと。
とても節度ある、アリらしい、謙虚な感じでした。
ツァルのビルバントもかっこいい!
さすがにワイルドなツァルとスターオーラが炸裂している+筋トレ効果ありのルジマトフとの並びだと、
若干サラファーノフのアリは、、、「金の妖精」っぽくて、可愛かったです。

なかなか綺麗系のアリって、、ルジマトフが頂点にいるから難しいですよね。
ワタクシ的には、フォンティーン&ヌレエフは別格として、どちらかというと、男はガツン!なモスクワ系がデフォなので、
(何回ガリムーリンで観たんだろう・・・・最近だとやっぱりシドルスキーがいいなあ
ちょっとリョーニャのアリは可愛いらしくってほほえましくって。

しかしまあ、リョーニャ及びルジの舞台マナーはなんていうのかな、、これが一流の芸術なんだな、と思いました。
第1場なんて、コンラッドもアリもほとんど踊らないのに、圧倒的な存在感。
所作の全てが美しいというか、至芸というか。
(リョーニャはアリとして美しいというより、1人の舞台人として美しい、という意味です。)

浜辺に打ち上げられたコンラッドご一行が岩陰に身を潜めているところに、ルイバチカたちがやってきます。

ギュリナーラ役のサビーナのエメラルドグリーンの衣装、綺麗でした。うっとり!写真で観るより、とても素敵です。(こういう色が似合っちゃうよりも、ほんとは超どピンクが似合うのが、古典の主役には不可欠なのかもしれないのですが、、、)
そして踊りも、サビーナらしい、軸のピシッとした、気持ちの良い踊り。
サビーナも、どちらかというと、お芝居よりも踊りそのもので全てを表現するタイプのダンサーですが、
彼女の場合、その踊りがダントツで上手いですから、派手さや華やぎがない分を補って余りあると思います。
素晴らしい!

ルイバチカ(浜辺の少女)たちにはフィルソワ、スホワといったベテランが混じっていて、とても嬉しかったです。
もちろんここ数年お気に入りのオリガ・アストレイコもいて、幸せ~。
こういう、お友達演技って、若い子ばっかりよりも、中堅・ベテランが混ざっていたほうが絶対にいいと思います。でないと、ただの上手い、学生さんの発表会になりかねないですから。

メドーラ役のペレンは、確かにですね、、、ルイバチカのお友達なんだけどさぁぁぁぁぁ。
もうちょっと、もうちょっと、、、ルイバチカより派手でもいいんじゃないのかな、と思う衣装なのですよ。
あれじゃ、ギュリナーラが主役じゃん。(ま、実際、、踊りのテクニックの見せ場というものは、ギュリナーラのほうが断然多いんですけどもね。)遠くから観たら、ルイバチカに埋没しちゃうような衣装です。

メドーラとコンラッドが恋に落ちる(?)的なくだりは超スピーディー。早!ロミジュリもかくや!
お水をどうぞみたいなところがかなり縮められ、あっという間に
「奴隷商人たちが来るわ、逃げて~~~~~」。

(いつも思いますが、ここでさっさといなくなるコンラッドご一行ってどうなのよ。。。。ま、それ言っちゃおしまいですけども・笑)

官兵さんはマックスとラプシャノフ。
奴隷商人ランケデムはサーシャ・オマール。
これがもう、鞭を嬉しそうにこれでもかとぶん回してくれて、いや~、満足ぅ!
そして、素顔を拝みたい人には邪魔であろうし、踊り手さんにも決して踊りやすいものではないと思いますが、
あの眼帯!私、眼帯フェチですから!最高~~~~~!
眼帯で片目が隠れていても、あの大きなお目目で表情豊かに演技していました。

奴隷市場に連れて行かれるメドーラたちを追いかけるコンラッド一味、というところで1場終了。

第1幕第2場 トルコの奴隷市場
セイード・パシャはマラトだったのですが、、、、たぶんマラトらしい、生き生きとしたキャラクテールだったと思うんですよ。ノリノリだったと思います。んがしかし!私の目は、パシャのお小姓(という年齢かどうかは???ですが)の青紫に釘付け!そのうち緑の若い方にも釘付け!
いやもう、、、楽しいのなんのって(笑)
青紫は、来日を何年も待ち続けたイーガリ・フィリモーノフ('73年生まれ)で緑はヤン・アメリニツキー('87年生まれ)!彼らの小芝居がいちいちツボでね、、、目が話せなくて困りましたよ。

てっきり、フィルはタマネギ頭(ターバン)のお客にいるだろうと思っていましたが、いないなー、ニコライはやっぱり若いよな~、なんて思っていたら、舞台の隅っこでやりたい放題だったという(苦笑)
1幕でも2幕でも、ほんと、面白かった~。
昔のマールイではこれが当たり前だったんだけども、最近こういうのにかなり飢えていたから、むさぼるように観ちゃいましたよ!
ほんとは踊ってるイーガリをみたいのは山々なんですけどねー。

ちなみに、サーシャ・オマールは、翌日はランケデムではなかったので、このタマネギ&ワシーリー大聖堂頭のお客の中にいたそうです。

お客たちやパシャとのランケデムのやり取りも楽しかった。

ギュリナーラとランケデムの奴隷のパ・ド・ドゥ。
純粋に踊りを堪能できました。2人とも上手いわ~。
サビーナは全くもって、磐石の踊りだし、サーシャは跳ぶわ、跳ぶわ、跳ぶわ、、、。ハラショー。
まあ、無理やり注文つけるとして、
欲を言えば、もっとサポートが「紳士」だとなお素敵かな。
まるで、スケートのペアみたいだったしな。
そして、サビーナももっと「イヤイヤ」ダンスになってるとグー。


さて奴隷市場もさくさく進行してましたが、円卓に奴隷を上げて躍らせる、ってあれはナシ。
でも奴隷の踊りはちゃんとあります。
最初はまずパレスティナの踊り。
ここは特にソリストを立てることはなくて、しかも最初は延々跪いて「助けてください」「打ちひしがれた奴隷」な感じのこうべをぐるぐる、、、の繰り返しで、
「いくらなんでも、このまんま終わりじゃないよね・・・」と不安になりましたが、
ちゃんと立ち上がって、踊る場面もありました。
うーん、ここは、、、もうちょっと女性の美しさが出る構成だといいのにな。
ダンサーのお顔もベールでほとんど見えない。。。
たぶん、スヒフとか、背の高い子チームだったと思うのですが。


お次はルジが全く作り変えた、「アルジェリアの奴隷」
全員男の奴隷です。
ここでのソロはクズネツォフ。ってか、クズネツォフ以外誰が踊れるんだよ、こんなの、っていうくらいこれでもかの技術てんこ盛りの踊りです。
いいですねえ、クズネツォフ。
個人的には「クズネツォフの夕べ」とかやってほしいです。
構成は
・「太鼓の踊り」
・「サラセンの踊り」
・「アルジェリアの踊り」
アンコール「くるみ割り人形」
クズネツォフも身体が資本ですから、彼の出番の間は、女の子たちの踊りでつなぐ、と。どう?これ。(チケット、局所的にしか売れなさそう。。。。)

ここだけを見たときは、
「男性群舞にも見せ場を」というのと「男の奴隷=労働力も必要」という、演出の合理的解釈と思ったのですが、
後々になって、これが大きな意味を持つのだと判明!



メドーラたちが連れてこられて、そこはきちっとヴェールをとるくだりとか、
パシャがメドーラの美貌に卒倒しかけるとか、そういうのはありました。
ま、ヴェールを取るまでの、勿体つけるのは省略。

しかしこれで、どうやって縮めるのかと、ふと頭をよぎります。。。
本気で花園が心配になってきた。。。


コンラッド一味が現れてあっという間にメドーラたち奪還成功!ここもスピーディー。
いいんです、コンラッド、史上最強の海賊ですから。

しかし、前の版もそういうことにはなってましたけどもね、、、
奴隷全部かっさらって行っちゃったのは、ほんと、ルジ頭いい~~~~!

そか、ここで男の奴隷も連れてけば、洞窟の場面の男性コール・ドにそのまま使えるもんね!

そしてそのまま「洞窟の場」に突入です


第1幕第3場 洞窟の場面
フォルバンは
オリガ・セミョーノワ
クリスティーナ・マフヴィラーゼ
ニーナ・オスマノワ
ニコライ・アルジャエフ
ロマン・ペトゥホフ

これ以外に、海賊仲間たち、かっさらってきた奴隷たち、でとても賑やかな場面です。
本国と違って、舞台後方に高くなってる段や坂があったんですが、そこに布がかぶせてあって、
ルイバチカちゃんたちやら、パレスティナの奴隷が座っています。
あとのほう、アリのソロの前あたりで、海賊の1人が、布で滑ってひっくり返っていました・苦笑
周りのダンサーもめちゃ笑っていました。
そのまま、とりあえずアリの踊りのときは、寝たままで演技。
アリが踊り終わってからおもむろに女の子のところに合流。

この日はみなさんハッスルしていたようで、サラファーノフも滑ってた。


まずはコンラッドが帰ってきて「お頭~おけぇりなさいやし!」「おう、子分ども、土産だぞ!」みたいな騒ぎが短縮。
でもランケデムをさらってきたのはちゃんと披露されていました。
一生船の漕ぎ手か、、、、そんな感じでひっとらえられていきました。

そんなところはさくさく進行して、即、見せ場の「鉄砲の踊り」に。
フォルバンは、もう、リャブコフとクリギン(父)という理想コンビを観られなくなって久しいですが、
やっぱり、セミヨノワやアルジャエフやペトゥホフが入ると安心します。
アルジャエフはいつかビルバントでも観たいんですよねー。身長的に厳しいですが。。。
ラプシャノフもここに入ったら面白そうです。
(ま、今の方々に申し上げたいのは、、、もうちょっと、、、、こう、、、アホアホっぷりというか、
その悪巧み、穴ありすぎじゃ????みたいな、面白い演技が突き抜けてくれるといいなあと。)

ツァルはとても素敵だったけれども、踊りのキレはロットバルトのほうが良かったかな、と感じました。
でもまあ、ロットバルトはあれだけ踊りこんでいるから、もう、別格ですもんね。

下手のカウチに、
舞台袖からタタタターっと出てきたサラファーノフが飛び乗ったのですが、布で足を滑らせて、ひっくり返りそうになりましたが、そこはすごいバランス技で何事もなかったかのように立っていました。
そこから降りるときは、やや慎重でしたけども。

メドーラはようやくヒロインらしい衣装に着替えて登場。
メドーラとコンラッドとアリのパ・ド・トロワはとても綺麗でしたね。
それぞれのソロは、ルジは多少、ルジマトフ・バージョンにしたり、省いていた箇所もあったみたいですが、
それでも、オーラが凄かったです。リフトもけっこうやってたし。
(これならカーチャもいけるんじゃないかと思いましたが、結局翌日はカーチャ→ペレンに変更)
サラファーノフも綺麗な踊りで、、、、ま、私の求めるアリとは全然違いましたが、(だってどうしても「金の妖精」に見えちゃうんだもーん。・・・よほど、そこらへんの女子よりも、ラインが美しいのもいかんのだよな。
ほんと、チャーミングでした!)
美しいアリが好きな人には良かった、、、のかなとい思います。
なにしろやってることは、すごいのですから!


メドーラが「みんなをおうちに帰してあげて・はあと!」、コンラッド「うんうんいいよ、なんでも望みをかなえてやるよ!」に猛反発のビルバントたち!
でもお頭には逆らえないんだよね。

ここでのルジの命令&威圧演技は、、、、ソロル、、、、、だったけどさ。


ま、強いってのは、変わりないからいいのかな、ははは。

宴のあとの、「け、やってらんねーし!」のくだりでは、ユーモラスな演技のサーシャが上手い味を出していましたね。フォルバンたちから、結局眠り薬を盛る係りを押し付けられてるところとか、わかりやすい演技でよかったです。


メドーラとコンラッドのいちゃこらパラダイスは、やや短縮。
ここでの無駄なラブラブっぷり楽しかったのになあ。

でもいちおういちゃこら演技や踊りはあります。めっちゃくちゃラブラブという感じはなくて、そこはちょっと残念。でも、レベデフとの白鳥よりは「愛」は多少あったかな。
その間に、下手袖から匍匐前進で出てきたサーシャ@ランケデムが飲み物に眠り薬を入れて、
さらにその容器をブンブン振ってかき混ぜてよ~く溶かす演技は思わず観客の笑いをさそっていました。
ほかの場面でも、とにかく演技が可愛くてねー。パシャに「あいつら、海賊だからー」と訴えても訊いてもらえないところとかも、ツボでした。

まあたしかに、見張り番に、眠り薬を嗅がせて、昏倒するのを見て効果を確認とか、
コンラッドに眠り薬を仕込んだお花をプレゼントさせるとか、、、あれよりは、ほんっと、合理的ですよね。
(ま、お花であえなくダウンするコンラッド@プハチョフさんや、シャドルーヒンも可愛かったんですけど)

あっけなく眠ってしまったコンラッドに助けを求めるもむなしく、裏切り者一派とランケデムに攫われてしまうメドーラ。ナイフでビルバントを傷つける演出は踏襲。

逃げ遅れたビルバントは、昏倒からさめたコンラッドに、傷を見せて、戦いむなしく、メドーラをさらわれたことをアピール。
メドーラ再奪還を誓うところで1幕終了!


幕間の休憩時間は、みなさん口々に、「今日のルジは素晴らしかった」とルジマトフを改めて見直した方々が多かったのと、そして、やはり、この演出のスピーディーさや物語のわかりやすさ、そして、面白さを絶賛していました。
やはり、娯楽としてはとても良質なものに仕上がっているようです!
これならマチソワも怖くない長さですしね(笑)


第2幕 パシャの船のデッキ
意外とちゃっかりやってるギュリナーラやハーレムの女の子に囲まれてご満悦のパシャ。
現地でご覧になったオマール大好きさんによりますと、パシャ役だったマラーホフさんが本物の葡萄を食べていたとか(もちろん葡萄は自前で調達されたとか)楽しいエピソードもあって、そこはマラトはどうだったのかなー、なんですけども、はい、、、すいません、ほんとにマラトには申し訳ないのですが、お小姓2人に目を奪われていましてね。
彼ら、2幕では舞台中央後方で遊びたい放題。アルプス一万尺やら、お顔ムニムニとか(あやとりじゃんけんとかのあれ)、、、、あんたら、ちったーじっとしてなよ!ってくらい、いやもう、おなかが痛くなりました。
笑いこらえるの大変だったんだよ、オダリスクの場面とかさ。

ピチカートは無くなってました。


オダリスクでは、ガラを降板したターニャも踊っていてホッとしました。
ただ、あの、タイツ衣装でも膝のテーピングが気になりましたが、この日の踊りはまずまず。
(その後見た、7日の白鳥のトロワはとにかく不安定でびっくり!)
クリギナは安定してきましたね!ますます楽しみです!
ザパスニコワも去年のガチガチこわばった様子よりずっと伸び伸び踊っていて良かったと思います。

しかしオダリスクのタイツ衣装は、着る人を選ぶタイプですね。下手すっと、とんでもないことになりかねないですね。きらいじゃないけども。


托鉢僧に変装したコンラッドたちが乗り込んできます。
ランケデムが必死に「いや、だから、あれはー、海賊たちでー」と訴えても聞き入れてもらえません。
で、とりあえず、活ける花園の場面に突入、と。
ここがカットされなくて良かったです!

そして現地では子役投入なのですが、ここでは、小さい子チームがその役目。
舞台狭しと、華やかな女性ダンサーが一同に会して、とっても美しい場面でした。
これだよね~、やっぱり、クラシックバレエはこういう場面がお約束だよね~。
うっとり!

サビーナは、1幕も素晴らしかったですが、2幕が圧巻でした。
そしてペレンも、ようやく、ほんとにグランドバレエの主役らしい豪奢な衣装。
良かった良かった。


海賊たちがメドーラを再奪還するところは、ランケデムがコンラッドたちの正体を暴露して、争いに突入。
結局、メドーラが、ビルバントの傷で、彼の裏切りを暴く、、、というのがあったのかなかったのかは、わからないまま終わっちゃいました。
アルジェリアの奴隷や海賊一味が入り乱れての場面で、ビルバントやランケデムが殺されちゃうところはわかったんですけども。

エピローグ
野郎どもの大ウェーブの中、海賊船はまた船出です。
(子分置いてきぼりですか、、、。)


や~。

ま、前の海賊は別として、このルジマトフ版、これはこれで、とっても素晴らしい作品だと思います。
千秋楽がこれで良かった~。

また観たいです。何度でも何度でも!



旧バージョンの海賊は、あれが映像で残っていたらなあと思いますが
(できればシャドルーヒンとスーシャのものとか、もしくは、クチュルクがギュリナーラのとか、
クリギンとリャヴコフが出てるのとか)
まあそれは、心の中に大切にしまっておきます。

今は時々、マールイのみなさんが、あちこちのコンサートに参加するときに、あのメドーラとコンラッドの衣装を使ってくれているので、心の乾きをちょびっと癒しています。








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レニングラード国立バレエ~ミハイロフスキー劇場~ 2012年1月3日「新春ガラ」感想

1月4日の記事に追記しました。

私が世界で一番好きなバレエ団はマールイ(ミハイロフスキー劇場)です。
(ミハイロフスキー劇場バレエ、日本ではレニングラード国立バレエとして親しまれていますが、
以下、マールイで・笑)

やっぱり、マールイを観ないと新年が来たとは感じられません。

昨日は待ち焦がれていた、マールイの2012年日本ツアーの初日!

新春ガラのプログラムは三部構成。
第一部 「くるみ割り人形」より第2幕 おとぎの国
第ニ部 「白鳥の湖」より湖畔の場
第三部 「ライモンダ」より第3幕 ライモンダの結婚式

12月は、高校生のバイト時代から、社会人になってもずーーーーーっと忙しい職種だっし、
「くるみ割り人形」が観られないのも、自分としては慣れている、、、つもりでしたが、、
いやいや。。。。
昨年末のなんと味気なかったことか!一度も「くるみ割り人形」を観ない12月でしたもんね。
観ようと思えば、ほかのバレエ団でも観られたのですがね。。。
そんな気持ちにもなれなかったのもありますし、忙しかったというのもあります。

第一部が始まったら、涙で視界がぼやけてしまって困りました。
あんなに楽しい(一応一般的には・苦笑。マールイのは一筋縄ではいきませんが。)バレエなのにね!


第一部 「くるみ割り人形」より第2幕 おとぎの国
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
改訂演出:ニコライ・ボヤルチコフ
キャスト
マーシャ:サビーナ・ヤパーロワ
王子:アンドレイ・ヤフニューク

ドロッセルマイヤー:マラト・シェミウノフ
くるみ割り人形:デニス・トルマチョフ
ねずみの王様:アレクセイ・マラーホフ
コロンビーナ:タチアナ・ミリツェワ→エレーナ・シリャコワに変更
ピエロ:マクシム・ポドショーノフ
スペイン人形:マリア・リフテル アレクサンドル・オマール
アラビアの人形:オリガ・セミヨノワ
 エレーナ・スヒーフ オリガ・ラヴリネンコ クセニア・ルシーナ ズヴェズダナ・マルティナ
中国の人形:ナタリア・クズメンコ アレクセイ・クズネツォフ
パストラル:アンナ・クリギナ エカテリーナ・ホメンコ アンドレ・ラプシャノフ
トレパック(ロシアの人形):
 ナタリア・パルフョーノワ アンナ・スホワ
 ニコライ・アルジャエフ ドミトリー・クドリャフツェフ
ワルツ:
 ヴァレリア・ザパスニコワ ヴィクトリア・ザリポワ マリア・グルホワ ダリア・エリマコワ
 ニコライ・コリパエフ アンドレイ・マスロボエフ デニス・モロゾフ ミハイル・ヴェンシコフ


わたしは仕事を終えて新幹線でギリギリ間に合ったのですが、開演前のアナウンスでコロンビーナ役のミリツェワがシリャコワに変更というのを聞いて、ちょっとしょんぼり。
ターニャのコロンビーナ観ておきたかったなあ。
次いつ観られるか、もうわかんないもんね。。。
怪我とかじゃないことを祈ります!

でもですね、変更のおかげで、シリャコワの顔を覚えられてよかったです。
「あーーーーー、あの、なんともいつもニコニコ笑顔のお嬢さんが、シリャコワなんですかー!」と思った次第。



紗幕ごしに、お手手つないだみんながいるのを観て、そこで涙ウルウル!
だがしかし。
何かが、何かが違う・・・・・

という違和感も抱きつつ。

美しい音楽にひたり、トルマチョフの職人芸の域のくるみ割り人形に見入り、
相変わらず、すっごく難しいドロッセルマイヤーの振付にいろいろ思いを馳せ、、、

あれ?あれ?

手下ねずみたちとネズミキングの衣装が違う?
グレーになってたよ!なんであのかっこいい黒を持ってこなかったんだろう?
ま、ねずみだから、、グレーは正解なんでしょうけどもさ。

それから背景が違う!
なんか、普通にかわいらしい背景幕になっていました。
あの、なんともおどろおどろしい、それでも愛着あるあの不気味な幕じゃなくなってた!
ツリーも違うような。


まあ、ガラで1回こっきりの上演だし、セットは借り物で済ませたのかな。。。
それにしても、衣装が違うのはなあ。残念。

というのもですね。芸監が変わって、クラシックバレエを新しいバージョンをやる、それも、コンテンポラリーでやってきた畑の人が、純クラシックを手がけるんだったら、まずはくるみ割り人形あたりから、手をつけるんじゃないかなー、なんて思いまして、そうすっと、ボヤリー版のくるみも、またおいそれと観られなくなっちゃうんじゃないかと、けっこう恐怖なわけですよ、ワタクシ、心が狭くてごめんなさい!
まあ、東京バレエ団みたいに、ワイノーネン版とベジャール版と両方持ってるみたいだったらねえ、いいんですけどもね。

ま、そんな、個人的な思いもあって、ちょっと、あの幕が恋しかったのでした。

(しかし、この後、第二部で、古い衣装を着ていた人がいて、その彼は
「新しいほうの衣装はまだ届いていない」と言ってたから、くるみもそうだったのかもしれません。
わかんないけど。。。ま、幕に関しては、置いてきた、のが正解なのかな。)


でもそういう違和感も、マラーホフさんのねずみキングがトルマチョフに踏まれてずるずる引っ込んでいくところや、
マーシャとくるみ割り人形の粉雪パ~っていう振付とか観てたら、もういいかな、って思っちゃいました。
やっぱり、踊りが一番だよね。


スペイン人形のリヒテルとサーシャは鉄板ですな。
サーシャはここでのソロもよかったですが、最後のコーダのピルエットがやはり格別でした。
素晴らしい。
しかし相変わらず細いなあ。

アラビアちゃんたちは、ごめんなさい、セミヨノワそっちのけで、後ろの4人をガン見してました(苦笑)
ああ~、たぶんセミヨノワも素敵だったと思うのですが、王妃様やスヒフやラヴリネンコやダーシーちゃん(わたしにとては、ルシーナはなんとなくダーシーっぽく見えるのです)が美しい踊りを見せてくれて、
ご本人たちも美しいですし、、、うっとり!


中国人形のナターシャとクズネツォフも鉄板コンビ。
ご本人たちの超絶頂な日ではなかったかもしれませんが、このあとの海賊や白鳥での活躍が楽しみになります。
今年は辰年だし、なんとなく、あの中国の衣装もお正月らしくていいな~、って思いました。

パストラルだとラプシャノフの上手さがよくわかりますね。
いや、上手い踊り手さんなんですが、どうしても持ち役がトルマチョフやクズネツォフと被っているぶん、
比べられちゃうし、「まだまだ」みたいに思う部分もあるのですが、葦笛はいいんですよねぇ~。
クリギナ可愛かった!

毎年、ツアーが進むに連れて、とんでもないことになっていくトレパックなんですが、今回はなかなか良かったと思いました。

ワルツはね、ちょーっと、観ていた席が近すぎて、全体的なものはわからないんですが、
上手の男性で、1人、超真剣な顔で踊ってる人がいて、それがけっこう気になったのでした。
あれ、誰だったんだろう。(背の高い人。鼻も高かった。←あんた、何見てんだよ・・・)
ワルツのみなさん、だいたい笑顔全開なのにね。
マスレンニコフの笑顔に癒されました~。


グラン・パ・ド・ドゥ(&ワルツの男性4人)はね、シャチホコもアクロバティックなのも、叙情的なのも、ほぼだいたい良かったんですけどもね、途中でリフトのタイミングが合わなかった箇所があって、ちょっと現実に戻ってしまいました。。。
リフトのキャッチで、バランスを崩して、あわててサビーナを抱えなおしていたんですけども。
いや、それまで、涙ウルウルで、ヤフニュークも「相変わらず上手いよなー。このまま、このままの状態でいラストまで~」なんて思っていたら、「・・・・・・!!!!!!」。
まあ、あのリフトのタイミングのずれに関しては、お互い様なんだろうし(もしかしたら、どちらかが、一方的に悪かったのかもしれませんけども)、「やらかした」までは行かないと思うんだよね。
ま、やらかしてはいるんですが・・・

ヤフニュークは、やらかすと、とたんに「全開バリバリモード」から「安全運転モード」になるところがあるから、
そこは「なんてこたーないんだぜ!」という風に舞台をこなしてくれればなあ、と思うのでありますよ。
バックヤードでもあっけらかんはこまりますが、舞台の上ではね。
それを言うと、、、、シヴァコフもプハチョフも、少々やらかしても、しれっと続けられるあれ、舞台人としてはすごいことだと思います。
ああいうのを「鷹揚の精」というのだろうか(←誉めてるんだよ。)
そしてサビーナも、「金平糖の精」を、幕が下りるまでは貫いてほしいなー、と思うのですね。
サビーナは完璧主義者なんだろうけども。

ま、ちょっと、そこらへんで気になることはありましたが、全体的に大満足です。
大好きな踊り手さんだから、どうしても、そういうのが気になってしまうのですよ、お許しあれ。

カーテンコールでの、マラト(ドロッセルマイヤー)がトルマチョフ(くるみ割り人形)を小脇に抱えて出てきたのが一番ツボでした。
抱えちゃうマラトも、抱えられちゃうトルマチョフも最高だよ!




あれまあ、もうこんな時間!
明日も早朝勤務→東京でバレエ なので、今日は「くるみ割り人形」で終わり。
続きはまた。

まー、白鳥は、、、ごにょごにょ。。。。
正直あの2幕は、、、、あまり好みじゃないですなー。ははは。でも7日と兵庫はまっさらな気持ちで観ますよ!


というわけで、ここから追記です。
2011年1月10日追記


第二部 「白鳥の湖」より第2幕 湖畔の場
作曲:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワノフ、アレクサンドル・ゴールスキー、アサフ・メッセレル
再演出:ミハイル・メッセレル

オデット:イリーナ・ペレン
ジークフリート:ヴィクトル・レベデフ
悪魔:ウラディーミル・ツァル
小さい白鳥:アンナ・クリギナ エカテリーナ・ホメンコ マリーナ・ニコラエワ ヴェロニカ・イグナツェワ
大きい白鳥:ヴァレリア・ザパスニコワ マリア・グルホワ アステリーク・オハネシアン


ツァルのロットバルト(新しいバージョンではほんとは「悪の天才」という名前)、いきなりボヤルチコフ版の衣装で美しく高いジュテでご登場したので、
「えええ?何で?やっぱり日本では古いほうを踊るのかい?」(それはそれでかまわないぜ!)と思いましたが、
そんなはずはあるわけなく。
ええ、しっかりと、ゴールスキー/メッセレル版で舞台は進行。

何故だろうなー、やっぱり新しい衣装は、いろいろと取り付けが大変そうだから、ガラは省略、、、?
それともあれか、大々的に「新演出」をうたっているだけに、日本での全幕初演にむけて、
新しい衣装のお披露目もストップがかかってるのかしら?

って、思ったんですが。
後でツァルご本人にお話を伺ったところ(正確には、知人に訊いてもらった、ところ)
「まだ衣装が届いていない」ということでした。
あらまあ大変!
でも、ワタクシ的にはあの新しい衣装より、こっちのほうが好きだから、全然構いませんことよ~おほほほほ~。

しかし、古いほうを、予備で持ってきてくれたツァルのおかげで、ちょっとファンとしてはラッキーでした。


王子が森に来て→オデットを見つけて→悪魔に追い払われて→コール・ド登場

ではなく、オデットより先にコール・ドが出てくるんですよね。

ま、そういうのもね、オデットが登場するときに、まさに「真打登場!」じゃないですが、
今か今かとプリマの出を待ち焦がれるのもいいのだと思うのです。
常に物事の、良い面を見るべきだと、そうは頭ではわかっているし、
あんまり「前のに愛着あるから!」って、依怙地にならずに、まっさらな心で受け止めよう!と思っていたのですよ。

でもやっぱり。ちょっと落ち込みましたね。
あまりにも長い間、見続けたってのも大きな要因だと思います。

えーとね、私のバレエ観賞歴ってのは、まあ、約22年くらいですよ。
(18歳で高校卒業して、高校時代よりはるかにバイト料が多く入るようになってからですね。
それまでは、たまーにテレビで観るとか、数年に1回観るか、、って感じで、
フィギュアスケートを見るほうが圧倒的に多かったし。)
で、その大半がマールイとかぶさってるわけだから、これだけ観てしまうと、なかなか頭は切り替わらない。

しかも、バレエを観始めたころは、まずは真ん中の人なり、ソリストがお目当てですよね。
コール・ドだけの踊りのときならいざ知らず、真ん中で誰かが踊ってたら、周りなんて目に入らないわけよ。

だんだん多少は詳しくなって、もちろん、マールイ以外にもバレエは観ていたから(何しろ当時はロイヤルに夢中でした、ムハメドフも移籍してたし)、それこそ「白鳥の湖」もたくさん観ました。

ただねぇ。。。
やっぱり、「いつものマールイ」を観るときと、よそのバレエ団を観るときって、アタシ、やっぱ、あれなんだわね、普段観たことないバレエ団だと「真ん中」を観てるんだなぁ。
そもそもチケットも「真ん中」目当てで買うんだもんなぁ。
それに最初はマールイも、海外ゲストの主演日は決まってても、純マールイのキャストは当日までわからなかったしね。(ハビちゃんや、その後のペレンたちの頃からですよ、あそこまで自前のプリマで十分チケット売り出せるようになったのってね)


そんな感じで、これまで
「コール・ドはマールイで味わう」感じだったんですよね。
まだ主演が誰かわかんない真夏にチケットを買ってたし、
それが冬になって、たまたま手持ちのチケットがお目当てさん主演日なら超ラッキー、
そうでないときは、周りで十分楽しめる、、、、ってね。


だもんでねぇ。
そういう、ずーーーーーっとずーーーーーっと、観ていたものがいきなり変わっちゃったのは、ほんと寂しいのよね。
でもわたし、決してモスクワ系が嫌いなわけじゃないんですよ。
(ってか、むしろ、モスクワ派だったのよね、最初はさ。)

そういう、
「物事の良い面を観なければ」「先入観は良くない」というのを頭に言い聞かせながら、見てたんだけど、
そういうのって、なんかつまんなくってさ。

ああやだ!もう!!!!


でもおそらく、
一番のショックは、フィルソワが白鳥の中にいないことだと思います。
ノヴォショーロワさんやスホワはいるのは救いでしたが、、、、。
わかってはいたのですが(新版では白鳥に入っていないって知ってたし)、
いつも働きづめで、新しい版ではハンガリーのコール・ドかソロをやってればいいんだから、
そりゃ、たまには休ませてあげようよ、とは思っていたけどさー。

寂しくて寂しくてたまらなかったですよ、ほんと。

ペレンは、オマール大好きさんが言うように、たしかに、太ったというか、上半身がかなり筋肉質になっていました。
脚は相変わらず綺麗でホッとしましたけども。これもコンテの影響なのかなあ。
レヴェデフは髪型とシャドーの感じが、旧ソ連ちっく(笑) もはやこれは、マールイ期待の男子のデフォなんだろうか。
でも可愛かったですね~。
踊りも美しかったですし。
オデットのソロを見守るのも、そんなに気になりませんでした。


そういうどよーんとした気持ちで観ていた中で、思わずわれに返ったというか、「なんじゃありゃー!」というか、ゲゲゲと思ったのが、大きな白鳥の振り。
あれはねー、あまり好きになれないなあ。
それとも、好きなダンサーが踊ったらまた別なのかな。


7日に期待しよう!









第三部 「ライモンダ」より第3幕 ライモンダの結婚式
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:マリウス・プティパ

ライモンダ:吉田都
騎士ジャン・ド・ブリエンヌ:エドワード・ワトソン

ハンガリー国王アンドレイⅡ世:アレクセイ・マラーホフ
伯爵夫人シビラ・ド・ドリス:アンナ・ノヴォショーロワ
ハンガリーの踊り:エレナ・フィルソワ ロマン・ペトゥホフ
ヴァリエーション:アンナ・クリギナ


今年のツアーで一番の楽しみがこれ!と言っても過言ではありません。
「ライモンダ」自体が大好き、フィルソワとロマンが大好き、都ちゃんが大好き、ついでに(おい)ワトソンも好き!

またいつ観られるかわかんないから、ちゃんと観なくちゃ!と思っていましたが、
もう、マラーホフさん@トランプの王様、じゃなかった、アンドレイⅡ世を観たら涙がじわ~。
ノヴォショーロワさんを見て、きりりと気持ちを引締めましたが、
グラン・パ陣が出てきて、ウルウル。。。。やべえ。

ハンガリーの出、それだけで涙の堤防決壊(←早)

や、ちょっとですね、そのう、ボリショイと記憶がごっちゃになっていて、
ボリショイの場合マズルカ→ハンガリー→グラン・パだから、、、、なんて思っていたら、
いきなりハンガリーが始まっちゃって、「きゃー!心の準備が!!!!」状態。

ほんとは後ろにいるマックスたちもしっかり観たかったのですが、フィルソワ&ペトゥホフ夫妻に目が釘付け。
ああ美しかった。感動的だった。
彼らの、決して派手ではない、けれどもなんていうか、決めるべきところは決める、なおかつ上品なあの雰囲気が好きなのです。エレガントなんです。

いろんなダンサーから
「あああれ(ライモンダ)はね~、2年に1回やれば、まだいいほうだねー」と言われていますが、
ほんとに勿体無い。こんなに上品で美しくて豪華な美術をほったらかしにしておくなんて!
スターシステムをケフマンはとりたいのかもしれませんが、だったらいいじゃん、オッシーもペレンもカーチャもいるんだから、プリマのためにあるようなこの作品、なんで上演しないんだよー、ヂグショー。

えーっと、グラン・パのメンバーは、、、、、
けっこう忘れちゃってる自分て一体、、、すいません、真ん中に集中しすぎた。。。
男の子はわりと覚えてるんだけどね。女の子はダーリャ、オーリャ、ザパスニコワ、、、、、オスマノワもこっちでしたっけ?
カトル担当はコリパエフ、クリギン、ヤフニューク、レベデフ。
ほんであとはヴェンシコフとモロゾフとマスロボエフと、、、誰だっけ?エレメーエフは来てないんだよね。うーんと、えーと、マリニンとかですか?

最初は前回の来日公演の大失態を防ぐために、「そうか、そうだよね、うんうん、ここは手堅くマスロボエフとモロゾフかね」と思ったんですよ、男性4人のカトル・メンバー。
「うーん、でもやっぱ、ここは期待のレベデフだろうし、、、はじかれるのは誰だ?」なんて思いながら観てました。
そして、身長ではともかく、ちょっとガタイの良すぎるミーシャはまず入らないだろう、
入ったら入ったで、めちゃくちゃ心臓に悪いし。ぼそ。

と思っていたら、なんとまあ、ニコライ、ニキータ、アンドレイ、ヴィクトルという、
容姿、実力、劇場の期待や思惑エトセトラエトセトラであろうメンバーでした。

まあ結果、ニキータは見事にやらかしちゃったわけですが、やらかしたあとも、全力で気合十分で、
さらにやらかしてしまい、事態を収拾つけることはできませんでしたけども、、、

でもね、やらかした後でも、決して安全運転になるとか、しょぼーんとなるとかはなくて、
そういう舞台度胸はいいんじゃないかな、と思いますね。
ヤフニュークは、やらかすと、とたんに安全運転になっちゃいますからねえ。
(あ、わたし、アンドレイ・ヤフニュークはもちろん大好きですよ、念のため。
数少ないモスクワ系男子ですし!)

しかしまあ、そのヤフニューク。
プレッシャーもストレスもないこういうとき、なんてまあ伸び伸びとすんばらしく踊っていることでしょう!
びっくりだわよ。
ええ、それはもう、美しい丹精な踊りでした。うっとり。


レベデフはこれまた、素晴らしい、完璧なテクニックを見せてくれました。
上手いですね~~~~。
いい子が入ったなあ。マリインスキーに持ってかれないようにね。


ヴァリアシオンを踊ったクリギナ、彼女も完璧でした。
ここ数年の中では一番じゃないですか?
嬉しかったです。


都ちゃんとワトソンは、マールイととても良く調和していたと思います。
キエフとの共演のときより、断然素敵でした!

あ~、幸せ~。

できることなら、コミカルな演目に定評がある都ちゃんだけに、騎兵隊の休息や、コッペリアやリーズの結婚や(レパートリーにはないですけどもね)、ドンキなんかでマールイと一緒に踊っているのを観たかったなあ。
でもライモンダでの共演は、両者のファンとしては、幸せ以外の何ものでもないです。


ワトソンは、ちょっとお疲れ気味だったかもしれませんね。
なんとなく、「戦場から帰ってきたばかりなのに結婚式か、、、このあとまた、俺戦争なんだけどね。。。」見たいな疲弊感、もとい、ちょっと悲壮な感じもしなくはない。
でも、来てくれただけで、感謝したくなるような、舞台マナーでした。
危ういところもきちっと修正してくろところとか、さすがでした。

お友達とも話したのですが、ハンガリーの踊りのときって、みんな生き生きしてるよね、って。
ま、違う作品でも、だいたい似たり寄ったりの振りかもしれないですけども、
それだけに「うちら、これ、得意!」みたいな感じがいいんですよ。


ダンサーの皆様お疲れ様でした!

新春にふさわしい、素晴らしい「ライモンダ」でした。




 

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