ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

若い娘との会話

2013-01-23 17:33:26 | 
「お兄さんもやっぱりAKBが好きなの?」

「いや、そうでもない。女優の方が好きかな」

「綾瀬はるかとか」

「うん。そうだね。あと、北川景子」



二十歳そこそこの娘の問いに僕は正直に答えた。

ただ意図的に一人の女優を忘れたのだ

その言葉を忘れた。意図的に

菅野美穂の名を



彼女も間違えている

間違えるのは無理もないけど

僕はもうお兄さんじゃない



「へ~。菅野美穂。ずいぶん年上が好みなんだね」

そんな言葉が返ってくるのを恐れていたのかもしれない



僕に普通のところなどないのかもしれない

外見も内面もすべて

それなのに「普通は美徳」の世間の価値観の中で僕は必死にそれを演じてきた

僕には難解すぎる普通という名の役柄



「もっと普通っぽく恰幅をよくしてだな、路上に唾でも吐いて、小娘には説教のひとつでもしろよ!」

監督の怒鳴り声が耳にこびりつく



「俺には出来ないよ。俺には出来ない。普通の人の演技なんて」

心で呟きながら、これからも僕は普通を追いかけ、探し続けるのだろう

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