ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

鉄人

2018-04-25 22:09:55 | 
あなたの詩を書くのはこれが最初で最後だろう
ラジオで聴く声が高くかすれていて異変には気づいていた
衣笠さんも生身の人間だったと今更ながら思い知らされた
戦友の江夏さんが俺もすぐ行くからと語っていた

僕が野球を見始めてからあなたの引退の日まで
衣笠祥雄の名は常にスコアボードにあった
彼がベンチを温めることはなかった
皮肉にも引退後もベンチを温めることはなかった

当時のセリーグには華やかな三塁手が多かった
巨人の原、阪神の掛布
そして広島のサードには常に衣笠がいた
今や死語になりつつあるホットコーナーそのものだった

あなたはミスター赤ヘル、山本浩二とともに広島黄金期を築き上げた
トラ少年の僕にとって、巨人とともに目の上のたんこぶだった
阪神が優勝した年ですら、広島には負け越したのだから

カープ女子受けは芳しくないであろういかつい外見とは違い
選手を見る眼差しは温かく、穏やかだった
ジャズにも精通したお洒落な衣笠さん
長く野球ファンを楽しませてくれてありがとうございました
最後まで出場し続けた71年の人生、お疲れさまでした
そしてさようなら、心優しき鉄製の人

コメント
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