6月29、30日に王位戦第1局が行われ、挑戦者の豊島竜王が藤井王位を下しました。
これは藤井君にとって試練ですね。今局の敗戦で豊島さんとの対戦成績は1勝7敗。アマチュア時代を含めても、これだけ大きく負け越した相手はいないでしょう。多くのプロ棋士が藤井君に対して持つ感情を、藤井君が豊島さんに抱いているような気がします。
これほど持ち時間を残しての敗戦も初めてでしょう。それだけ考えどころのない将棋だったとも言えますが、「44手目、9五歩と突かれてすでに苦しいと思った」と彼はコメントしています。普段ならば、その前の段階で長考するはずですが、それもなかった。よほど意表をつかれたのか、平常心を失っていたかのどちらかだと思われます。
藤井、渡辺でもそうですが、豊島、藤井も対戦成績ほどの力の差があるとは思えません。要は棋風のかみ合い、相性の部分が大きいのだと思います。
ただ、あと3年程度で豊島さんに追い付き、追い越せないと、藤井時代が築けるかは微妙になります。そうしている間に後ろの世代が来ますから。藤井君ほどの天才が現れるとは思いませんが、羽生世代のような秀才集団が打倒藤井聡太の旗を掲げて現れる可能性は充分あり得ます。次世代の方が新しい棋譜で学んでいますし、何せAI時代ですから。
とにもかくにも藤井君には王位戦で豊島さんに2回は勝ってもらいたいです。