王位戦第3局は藤井王位が挑戦者の豊島竜王に勝利し、対戦成績を2勝1敗としました。
戦型は角換わり。やはり序盤は豊島ペースで進みました。戦場となった4筋で優位を築きます。互いに飛車がにらみ合っているのですが、藤井玉は6筋、豊島玉は3筋と玉飛接近の形になっていました。あまり良くないと言われる形です。
よって藤井さんは玉を7九に移動するのですが、その後、銀を手持ちにした豊島さんに5八銀と飛車取りの手がありました。これはある程度、将棋を知っている人なら、すぐに見える手です。しかし、何か悪い筋を見つけたのか、豊島さんは5八銀打とはせず、桂を跳ねました。
これに対して藤井さんは8八玉と堂々の入城。いつの間にか、主戦場の4筋から遠く離れ、有利不利はともかく、相変わらず玉飛が並んだままの豊島陣よりも安定しました。
ここから、3五歩、8三銀など非凡な手を放った藤井王位が豊島竜王を押しきりました。これで藤井王位の2勝1敗。私の予想も互角に変更します(笑)藤井さんが1勝リードして互角という感覚ですね。
地元神戸で立会人を務めた谷川九段も、幼い頃から期待していた二人がタイトル戦の舞台でぶつかり合う姿を間近で見て、心底喜んでいるのは想像に固くありません。
豊島さんと藤井さんの年の差は12才。その12年の間、羽生世代をはじめ、関東の強豪棋士たちと関西のトップ棋士として、孤軍奮闘したのが谷川さんでした。藤井、豊島を中心に強い棋士たちがひしめき合う現在の状況を感慨深く眺めているのでしょう。谷川さんはガンダムでいえばシャア・アズナブルに似ている気がします。よって感情を表に出すことはめったにないですが。
それにしても、スピッツの曲ではないけれど、ここ数日、夕焼けが本当に綺麗です。