ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

ど平和の路地裏で

2022-07-07 10:45:49 | 

ど平和の路地裏で

男が足を投げ出し、フェンスに持たれている。

昼に灼熱の陽光を浴びて

夕方にゲリラの雨に打たれ

しだいに男のもたれかかっていた頭はずり落ち

目は半開きになり、やがて伏せられた。

もう男は生きているか、死んでいるかもわからない

そうして夜は深まっていった

 

しばらくして朝日が路地裏を明るみにした

男はもういなかった

面影はフェンスのへこみだけ

何人もの人が足早に路地裏から駅前通りへ抜けていく

 

やがてそのうちの誰かが

ど平和の路地裏のフェンスにもたれかかる

秋風の吹く頃か

雪がちらつく頃か

桜の花びらが舞う頃か

それは知らない

 

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