ど平和の路地裏で
男が足を投げ出し、フェンスに持たれている。
昼に灼熱の陽光を浴びて
夕方にゲリラの雨に打たれ
しだいに男のもたれかかっていた頭はずり落ち
目は半開きになり、やがて伏せられた。
もう男は生きているか、死んでいるかもわからない
そうして夜は深まっていった
しばらくして朝日が路地裏を明るみにした
男はもういなかった
面影はフェンスのへこみだけ
何人もの人が足早に路地裏から駅前通りへ抜けていく
やがてそのうちの誰かが
ど平和の路地裏のフェンスにもたれかかる
秋風の吹く頃か
雪がちらつく頃か
桜の花びらが舞う頃か
それは知らない