彼は目を閉じて 枯れた芝生の匂い深く吸った
長いリーグ戦 しめくくるキックはゴールをそれた
肩を落として 土をはらった
緩やかな冬の日の黄昏に
彼はもう二度とかぐことのない風 深く吸った
何をゴールに決めて
何を犠牲にしたの 誰も知らず
歓声よりも長く
興奮よりも速く 走ろうとしていたあなたを
少しでもわかりたいから
人々がみんな立ち去っても私 ここにいるわ
同じゼッケン 誰かがつけて
また次のシーズンをかけてゆく
人々がみんなあなたを忘れても ここにいるわ
作詞・作曲は松任谷由実。1984年発売。
現在、フランスでラグビーのワールドカップが開催されています。日本は1勝1敗で、ここから真価が問われます。そして、個人的にラグビーの曲といえば、美しい情景がくっきり浮かぶ松任谷由実の「ノーサイド」。
冒頭の部分は風景を描写しているだけなのですが、美しく切ないですね。
「彼はもう二度とかぐことのない風、深く吸った」
「彼」が大学4年生だということが分かります。
「何をゴールに決めて、何を犠牲にしたの」から続く歌詞はユーミン自身なのか、架空の人物なのか分かりませんが、女性が「あなた」の心情を察している印象です。
最後の歌詞も好きです。
「同じゼッケン、誰かがつけて、また次のシーズンをかけてゆく。人々がみんなあなたを忘れてもここにいるわ」
時の無情さが遠回しに描かれています。よほどの選手でない限り、大概の選手は世間に忘れ去られます。「でも私は忘れない」という女性の決意で締めくくられています。
あの頃の大学ラグビーの人気は凄いものがありましたから。卒業して社会人でプレーを続ける選手もいますが、大学ラグビーに比べると社会人のそれは注目度が大きく落ちます。いわば大学生がラガーマンとして絶頂なのです。
そうした時代背景があり、この歌詞が生まれたとも言えます。それにしても歌詞、曲ともにさすがユーミン。名曲です。