冬を残しながら春へ変わる通り道は夕暮れ
疲れた大人たちの背中は、あの頃に戻りたいと呟く
思い出は醜いものをどこかへ捨て
美しいものだけを残していく
明日になれば、その美貌にさらなる磨きがかかるだろう
子供たちはよく笑う
何が楽しいのか笑いが絶えない
社会に染まるほどそれを忘れ
愛想笑いさえぎこちない
笑い方が下手になっていく
生き方が下手になっていく
だから思い出にすがるのだ
それは心が倒れそうな時
杖となって支えてくれる
どしゃ降りの中、傘も差さずにはしゃいでいたあの頃の記憶が
セピアの光を帯びた杖となって