ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

心の杖

2024-03-01 10:39:43 | 

冬を残しながら春へ変わる通り道は夕暮れ

疲れた大人たちの背中は、あの頃に戻りたいと呟く

思い出は醜いものをどこかへ捨て

美しいものだけを残していく

明日になれば、その美貌にさらなる磨きがかかるだろう

 

子供たちはよく笑う

何が楽しいのか笑いが絶えない

社会に染まるほどそれを忘れ

愛想笑いさえぎこちない

笑い方が下手になっていく

生き方が下手になっていく

 

だから思い出にすがるのだ

それは心が倒れそうな時

杖となって支えてくれる

どしゃ降りの中、傘も差さずにはしゃいでいたあの頃の記憶が

セピアの光を帯びた杖となって

 

 

 

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