松田聖子の夏の曲といえば「白いパラソル」「渚のバルコニー」「小麦色のマーメイド」など数々のヒット曲があります。私もリアルタイムで知っています。
大人になってからはベストアルバムを買い、シングルに加え、アルバムの曲も随分、知りました。なので、大抵は聖子さんの名曲は知っているのではないかと思っていました。しかし、まだまだあるものです。最近、You tubeで知った「ひまわりの丘」「サンセットビーチ」は素晴らしかったです。
アルバム「Pineapple」は1982年5月発売。オリコン最高位は1位。そのアルバムに「ひまわりの丘」は収録されています。作詞・松本隆 作曲・来生たかお
黒い小さなラジオ
耳に当てて歩く
ストライプのTシャツ
覚えているわ
冒頭の歌詞ですが、時代背景が分かります。来生さんの眩しいメロディーを聖子さんが溌剌と歌っています。
ひまわりの咲く
丘に座れば
入江はエメラルド
風が吹き抜ける
あなたの愛を
失うことを
ただ怖がっていた
あの夏の日
サビの部分にになると明るい曲調は維持しつつも、切なさも混じります。歌詞から夏の海が舞台で、恋人同士が楽しそうにしている印象が浮かび上がります。
しかし、最後の「あの夏の日」でそれが思い出であることが分かります。女性が相手の男性を忘れられない切なさが表現されています。
来生たかおさんのメロディーが素晴らしい。名曲だと思います。
「SUNSET BEACH」
この曲もアルバム「Pineapple」に収録。いかにパイナップルというアルバムが名盤かが分かります。願わくばレコードの針を落として聴きたかった。当時、私は小学生でテレビの聖子さんのシングル曲に反応しているだけでした。
作詞・松本隆 作曲・来生たかお
黄昏どき斜めの陽を浴びて
タオルを手に人が帰る
夕凪満しお足跡だけ
消し去る波
美しい風景が浮かびます。文学的ですね。「ひまわりの丘」に比べ、曲調も含めて寂しさが全体を覆っています。
ああ 夕日が海に溶ける
ああ 世界の終わりでもかまわない
渚の果て
ああ 夕日が海に溶ける
ああ あなたと生きてみたい気がする
渚の果て
「世界の終わりでもかまわない」と「死のうかってポツリ言うあなた」という言葉もあって、かなり後ろ向きですね。勝手に解釈すれば、この歌詞の中の男性は松本隆で、女性は松田聖子なのかもしれない。松本さんはどこか影があるように見受けます。ただ、こうした妄想や冒険が出来るのもアルバムならではでしょう。
初めて聴いた2曲で気付いたのは、私が来生たかおのメロディーが好きなこと。どちらの曲も来生さん作曲です。来生さんといえば中森明菜のイメージがありますが、聖子さんにも曲を提供していたのですね。そして松田聖子さんの並外れた歌唱力。当時は歌唱力の評価はそれほどされていなかったと思います。耳に心地よく、曲の世界観に入り込む天才ですね。
松田聖子と中森明菜。タイプが全く違かったからこそ二人は歌姫として奇跡的に並び立つ事ができました。そして豪華な作家陣。80年代は音楽的に幸せな時代と言えるかもしれません。